花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

エステンセ図書館「Parole Sacra(聖なる言葉)」展 超サクッと感想。

2024-08-31 17:14:20 | 展覧会

なんやかんやで、去年(2023年)秋の北イタリア旅行記の続きを書きそびれているが、国立西洋美術館「写本」展の感想ついでに、旅程の順番無視でモデナのエステンセ図書館「Parole Sacra(聖なる言葉)タナハ-聖書-コーラン」展について触れたいと思う。

モデナのエステンセ美術館「Ter Brugghen(テル・ブリュッヘン)」展にはボローニャのFさんと一緒に観に行ったのだが、Fさんが「ちょうどエステンセ図書館で特別写本展が開催されているから、ぜひこちらも観ましょう!」と案内してくれたのだ。(Grazie!! >Fさん)

「テル・ブリュッヘン展」の入口

で、「テル・ブリュッヘン展」を観終えて昼食をとり、図書館展示室の開館時間に合わせ、美術館と同じ建物内にあるエステンセ図書館(Biblioteca Estense Universitaria)に移動した。

・「Parole Sacra(聖なる言葉)タナハ-聖書-コーラン」展

https://gallerie-estensi.beniculturali.it/events/parole-sacre-tanakh-bibbia-corano/

「神の言葉が受け継がれ、広まった多くの貴重な形を証明しています。」

エステンセ図書館(Biblioteca Estense Universitaria)展示室(sala Campori)

「展示されている写本の中では、《ボルソデステの聖書》が際立っており、極めて例外的に一般に展示されています。1455年から1461年にかけて作られたこの作品は、公爵の文化政策の証であり、フェラーラに対する彼の権力を証明するステータスシンボルといえるものでした。実際、フェラーラのミニチュアの最高傑作であると同時に、イタリア・ルネサンス期のミニチュアの絶対的な傑作でもあります。」(公式サイトより)

ということで、2冊の《ボルソデステの聖書》が展示されていた。国立西洋美術館「写本展」のレオネッロ・デステの《レオネッロ・デステの聖務日課書》零葉にはエレガントさがあったが、《ボルソ・デステの聖書》は彩飾過多でかなり煌びやかである。

《ボルソ・デステの聖書》(1455-1461年)(146 di 623 • 072V - MS.V.G.12 / 147 di 623 • 073R - MS.V.G.12)

※ご参考↓:上記《ボルソ・デステの「聖書」》全ページのデジタル画像

https://edl.cultura.gov.it/item/0k53ezoojo

《ボルソ・デステの聖書》(1455-1461年)(198 di 585 • 098V - MS.V.G.13 / 195 di 585 • 097R - MS.V.G.13)

※ご参考↓:上記《ボルソ・デステの「聖書」》全ページのデジタル画像

https://edl.cultura.gov.it/item/yzjgxqd9r7

その他に、ヘブライ語聖書のタナハも2冊...

《タナハ》

《タナハ》

アラビア文字のコーランも2冊....

《コーラン》

《コーラン》

「一神教では、言葉と聖書の間には、伝達や啓示の異なる形式に関係なく、解けない絆があります。神は言葉で世界を創造し、言葉の中で彼は受肉し、言葉を通じて彼は預言者に自分自身を明らかにします。この理由から、偉大な一神教は、神聖なテキストを書くという物質的な行為を通じて、言葉の拡散に生きてきました。」(公式サイトより)

展示数は少なかったが、それぞれの個性ある聖書は彩飾のあり方も異なり、私的にも興味深く観ることができた。


国立西洋美術館「写本」展 サクッと感想(2)

2024-08-27 22:14:37 | 展覧会

今回の写本展は「零葉」を中心とした展示だったが、最終章に1冊の「写本」《ガブリエル・ケーロの貴族身分証明書》が展示されていた。

《ガブリエル・ケーロの貴族身分証明書》スペイン、グラナダ(1540年)

枠装飾には金地に色鮮やかな動植物が静物画風に描かれているので、どう見ても南ネーデルラント=フランドル風であり、すなわちイスパノ・フラメンコ様式のように思われた。

というのも、実はこの《ガブリエル・ケーロの貴族身分証明書》とよく似た写本を以前に観ていたのだ。拙ブログでも書いたが、第8回「西洋中世学会」の企画展示「さわって体験 中世写本 とその周辺」展に出展されていた《神聖ローマ皇帝カール5世発行の爵位証書》である。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/16050d0b44ee78bf47c47665c690e721

《Niculas de Campooへの神聖ローマ皇帝カール5世発行の爵位証書》発行地:スペイン、バリャドリッド(1550年)八木健治氏「羊皮紙工房」蔵

八木健治氏の「羊皮紙工房」サイトによると(拡大写真も見られます)

https://youhishi.com/medieval_manuscripts_gallery#toc1

「金泥で塗られた欄外装飾は、「イスパノ・フレミッシュ」(スペイン+フランドル)様式。フランドルのゲント・ブルージュ様式を踏襲し、動植物が立体的に描かれています。」とあった。

内藤氏の写本も八木氏の写本も、両者とも「装飾文字のD」から続いて「ON CARLOS」の文字が描かれている。すなわち、スペイン国王 Don Carlos=カルロス1世(カール5世)なのだ

まぁ、スペイン王国は正式にはカルロスと母のファナとの共同統治であり、公文書のサインは女王フアナとカルロス1世の2つのサインが添えらるそうだ。しかし、ファナはトルデシリャス修道院に幽閉なので、やはりカルロス1世が前面に出るいうことになるのだろう。

《カスティーリア女王ファナ1世の印章》

上↑の展示印章の表記が「カスティーリア女王」とあるが、スペイン王国成立(1516年)以前の印章なのだろうか?? 図録を(購入せず)読んでいないので私的に謎である

さて、また、展覧会の最後の方に興味深い零葉があった。『クレメンス集』の余白部分に注釈を書き込んでるのだが、それも図形デザインの中に書き込むという洒落たことをしている

《教皇クレメンス5世およびヨハンネス22世『クレメンス集』(ヨハンネス・アンドレアエの注釈を伴う)零葉》フランス南西部、おそらくトゥールーズ(1330-50年頃)

当時は枠外余白部分に注釈や感想(更には似顔絵、いたずら書きまで)など書き込むことが普通に行われていたのかもしれない。

というのも、以前、拙ブログで「ボッカッチョの余白書き」として、2013年秋にラウレンツィアーナ図書館(フィレンツェ)で観た「BOCCACCIO AUTORE E COPISTA」展に触れたことがある。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/5955ebb50d138b6e90ade5aa4b7590f1

私の撮った写真は不鮮明だったが、注目すべき画像をネットで見つけたのでコピペ紹介したい

ジョヴァンニ・ボッカッチョ自筆原稿《ラテン語雑集(アンソロジー)》(14世紀)ラウレンツィアーナ図書館(フィレンツェ)

私見だが、ボッカッチョの方がアンドレアエよりもデザイン的に凝っているし、本文を含めぜーんぶボッカッチョの自筆というのも凄いんじゃないかと思うのだけどね

ということで、様々な種類の「写本」の世界を勉強するとともに、内藤氏の情熱をひしと感じられる素晴らしい「写本」の世界を堪能できた展覧会だった。


国立西洋美術館「写本」展 サクッと感想(1)

2024-08-25 22:41:03 | 展覧会

国立西洋美術館「内藤コレクション 写本-いとも優雅なる中世の小宇宙」展を観た感想をサクッと書きたい。6月に観たのに、すっかり遅ればせの感想文となってしまった

https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2024manuscript.html

2019年秋の版画素描展示室の「写本」展を観て、内藤コレクションの概要を知ったつもりだったが、今回の展覧会ではその膨大なコレクション内容に驚いてしまった。内藤裕史氏のコレクション形成への情熱がその一枚の零葉からも伝わって来るようだった。

オープニングは内藤氏が最初に購入した作品のひとつ《詩編零葉》が展示されていた。

《詩編零葉》フランス北部、パリあるいはアミアン司教区(?)(1250-60年)

装飾もシンプルで色遣いも抑えた上品な零葉で、内藤氏が惹かれたのもわかるような気がする。

展覧会の章立ては....

Ⅰ)聖書、Ⅱ)詩編集、Ⅲ)聖務日課のための写本、Ⅳ)ミサのための写本、Ⅴ)聖職者たちが用いたその他の写本、Ⅵ)時祷書、Ⅶ)暦、Ⅷ)教会法令集・宣誓の書、Ⅸ)世俗写本

それぞれの章の展示作品がほぼ年代順で、制作地(国・地方)も表記されていたので、年代が下るにつれ彩飾が美麗になっていく様や、国や地方によ彩飾の違いや、同時代における彩飾様式の国際化が伺えたり、私的にも彩飾写本の展開を勉強できる貴重な機会ともなった。

リュソンの画家(彩飾)《時祷書零葉》フランス、パリ(1405-10年頃)

上記↑のリュソンの画家の華やかな枠装飾など、いかにもパリの写本だなぁと思う。クリスティーヌ・ド・ピザン工房を想起させるものがある。

で、私的に嬉しかったのは《レオネッロ・デステの聖務日課書》零葉だった。

フランチェスコ・ダ・ゴディゴーロ(写字)、ジョルジョ・ダレマーニャ(彩飾)《レオネッロ・デステの聖務日課書》零葉(部分)イタリア・フェッラーラ(1441-48年)

レオネッロ・デステ(Leonello d'Este,1407-1450)時代の写本は麗しくもエレガントだったのだなぁとしみじみ見入ってしまった。というのも、ボルソ・デステ(Borso d'Este、1413–1471) 時代になると彩飾も過剰になるので、私的にレオネッロの趣味の良さに惹かれてしまうところがある

それとは別に、下記↓のようなヘントやブルッヘを中心とした南ネーデルラントで流行した枠装飾の展開が面白い。

《時祷書零葉》南ネーデルラント(1500年頃)

解説には植物モチーフを散りばめたトロンプ・ルイユ風とあったが、私的には枠装飾の静物画的展開を見てしまう。例えばマリー・ド・ブルゴーニュの時祷書の画家の静物画的志向をも想起するのだが、自然観察とリアルな細密描写というネーデルラント的展開がとても興味深い。


初めての福岡(3)(大宰府~福岡~仙台)

2024-08-23 01:51:09 | 国内旅行

大宰府の九州国立博物館を出た帰り、実は楽しみにしていた事があった。大宰府名物の梅ヶ枝餅を食べること!!

ゲストの山科さんから事前に「太宰府で、梅ヶ枝餅(焼きたて)たべるのなら、参道で一番天満宮に近いところの左側の寺田屋の奥の喫茶コーナーが推薦です。天気が良ければお庭の中の赤もうせんで、「抹茶+梅ヶ枝餅」いただけます。」との情報を頂いていたのだ(^^)v。(山科さん情報に深謝です!!)

当日はあいにくの雨だったので、お庭の赤もうせんで「抹茶+梅ヶ枝餅」はできなかったのだが、店内喫茶コーナーで「煎茶+梅ヶ枝餅」をいただいた

本当に熱々の焼きたて梅ヶ枝餅で、中の餡も私の大好きな粒あんだし、もう美味しくいただきました~

もちっとした食感を楽しみ、身体が温まったところで、宰府から福岡へと戻ることにした。

JR博多駅近くのホテルに荷物を預けていたのでピックアップが必要である。近鉄の大宰府駅から博多駅へは近鉄の駅から地下鉄の駅に乗り換えが必要だ。せっかくだから福岡の中心部も見ておきたいなぁと、スマホの地図を見ると三越と大丸があるので、福岡(天神)駅で一旦降りることにした。

地上に出てみると西日本新聞の看板文字も見えたし、高層ビルが立ち並ぶさすがの大都会感があった。でも、三越も大丸も店内をサクッと眺めてみたのだが、雨のウィークデーだからか買い物客は少なめのような気もした。ということで、一応福岡観光(?)をしたことにし、地下鉄の天神南駅から博多駅へと向かったのだった。

荷物をピックアップして福岡空港へと向かう。福岡に来て博多ラーメンを食べていないなぁと、空港内でラーメンコーナーを覗いてみたのだが、どの店も激混みで(コロナ禍中だし)怖くなり、空いているレストランに逃げ込んでしまった。で、食べたのはラーメンではなくちゃんぽん

昔長崎で食べたちゃんぽんには負けるけど、まぁ仕方ありませんね

帰りの仙台行きの飛行機は楽天イーグルスのラッピング機だった。

しかし、この帰りの機内の気圧変化で左耳に異常が発生、後日、鼓膜に穴を開ける手術を受けることになり、想わぬ福岡土産になってしまった。とは言え、一泊二日の充実の福岡旅行ではあったのだった


九州国立博物館 常設展(超サクッと感想)。

2024-08-19 21:29:57 | 美術館

九州国立博物館の建物は、東博や京博の重厚さとは異なり、意外にも明るく現代的な建物だったのが印象的だった。

常設展を観る前に、1階の「Mカフェ」で「長沢芦雪」展を観た後のホッとお茶タイムを。

さて常設展は、九州が古代から大陸や半島との交流が盛んだったから、その考古学的な遺物や大宰府を中心とした歴史遺物など、九州の歴史・経済・文化をザクっと一望できる見応えのある内容だった。

で、先ず目を奪われたのは豪華絢爛の色絵絵付けの皿や壺のシリーズっだった!!

さすが九州は有名な窯元が多いし、なるほどなぁ~と見入ってしまう。

で、もちろん長崎の出島貿易の輸出品として螺鈿漆器も多く作られたのは知っていたが、まさかフリーメーソン柄まであるのには驚いた。フリーメーソン会員から受注した貿易品との事だが、江戸時代ならVOC(オランダ東インド会社)経由なのかな?

《フリーメーソン螺鈿箱》 (江戸時代 19世紀)九州国立博物館

刀剣類もかなり充実していた。その中に波紋の際立つ国宝の刀もあった。

国宝《刀 無銘則房》(備前 鎌倉時代 13世紀)九州国立博物館

でも、私的に目を惹かれたのは陶磁器類だった

重要文化財《灰被天目 虹天目》(南宋~元時代 13-14世紀)文化庁

で、なんと!東博からの展示品もあったのだ

《青磁管耳花入》龍泉窯 古川家伝来(南宋時代 12-13世紀)東京国立博物館

で、ほっこり気に入ったのは...縄文時代の壺型土器。

《壺型土器》(縄文時代 前20~前10世紀 )九州国立博物館

薄色と赤色の土で形成された土器で、その色彩とデザインがお洒落。解説では「縄文時代後期の東北地方を中心に分布する土器。胎土の白色と部分的な赤彩による赤白のデザイン性を高めた渦巻文や頸部の橋状取手が特徴的である。」とのこと。東北人の血が騒いでしまったかも(笑)。


九州国立博物館「長沢芦雪」展サクッと感想。

2024-08-16 17:04:16 | 展覧会

遅ればせながら、九州国立博物館「生誕270年 長沢芦雪-若冲、応挙につづく天才画家」展を観た感想をサクッと書きたい。(展覧会チケットに感謝です!!>山科さん)

https://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s71.html

※出品目録:https://www.kyuhaku.jp/exhibition/img/s_71/exhibition_s71.pdf

事前にゲストの山科さんから、後期展示では芦雪作品だけでなく若冲《象と鯨図屏風》も展示されるとの情報を頂いていたが、やはり福岡行きの主目的は「ローマ展」のカラヴァッジョだったから、泣く泣く前期展示を観ることとなった。どうみても後期の方が見応えありそうな内容なのだよね

とは言え、久しぶりに芦雪の躍動感溢れる大画面作品を色々と観ることができたし、更に最後の章では当時の京都画壇の充実ぶりに想いを馳せてしまった。

もちろん、長沢芦雪(1754-1799年)は辻惟雄先生の「奇想の系譜」でも挙げられた奇想の画家として有名ではあるが、私的に師匠の丸山応挙(1733-1795年)が元々好きなので、大胆な作風の芦雪が応挙の高弟という意外性が好もしい。

長沢芦鳳《長沢芦雪像》(江戸時代 18世紀)千葉市美術館

今回の前期展示で、一際目が吸い寄せられたのは無量寺の《虎図襖》ではあった。観者の眼前に飛び込んで来るような迫力の大画面である。

長沢芦雪《虎図襖》(1786年 天明6年)和歌山 無量寺

が、以前にも観ているので、私的に面白く観たのは西光寺《龍図襖》だった。

長沢芦雪《龍図襖》(江戸時代 18世紀)島根 西光寺 

何というか、もちろん勇壮な龍ではあるのだが、襖に収まるように無理やり身体を(特に尻尾部分!)丸め曲げてみましたぁ~的な、大胆な筆致と墨筆の淡さと掠れ具合も相まって、ユーモラスな風情を感じてしまったのだ

で、嬉しいことに芦雪は師匠応挙の仔犬の愛らしさも引き継いでいる

長沢芦雪《布袋・雀・犬図》(江戸時代 18世紀)和歌山 無量寺

長沢芦雪《仔犬図屏風》(江戸時代 18世紀)江戸千家・蔵

それで、久々に思い出したのだ。ロサンゼルスのカウンティ美術館で観た丸山応挙《Puppies among Bamboo in Snow》を。やはり仔犬もより写実的なのである。

丸山応挙《雪竹仔犬図屏風(勝手な和訳です), Puppies among Bamboo in Snow》左隻(1784年)カウンティ美術館(ロサンゼルス)

丸山応挙《雪竹仔犬図屏風( Puppies among Bamboo in Snow)》左隻一部拡大

ご参考:https://collections.lacma.org/node/2266592

ということで、今回の生誕270年記念展覧会でも、長沢芦雪の画家としての力量は美術ド素人の私も了解することができた。でも、やはり好きなのは師匠の丸山応挙の方だなぁと思う(ごめんね) 。なにしろ、出会いが上野で観た《氷図屏風》(大英博物館)だったのだから...。


初めての福岡(2)大宰府天満宮。

2024-08-14 17:26:09 | 国内旅行

今年の夏は暑い日が続いているが、福岡の太宰府では猛暑日が国内の最長連続記録を更新しているようだ。しかし、私が大宰府を訪れたのは2月下旬、まだ肌寒く、天満宮の梅の花が盛りを過ぎようとする頃だった。

ということで、かなり遅ればせながら(大汗💦)福岡旅行の続きを書きたいと思う

当日は朝から雨だったが、九州国立博物館「長沢芦雪展」を観るため大宰府に向かった。(展覧会チケット&大宰府情報に深謝!!>山科さん)

福岡市内から大宰府へ移動のため西鉄に乗ったのだが、ちょっと興味津々の乗り鉄気分だった。大宰府駅に到着した後は大宰府天満宮へと向かう。御神牛を過ぎ、太鼓橋を渡り心字池にも降りてお庭を眺め、天満宮の門前へ。

上↑の心字池にもザーザー降りの雨

しかも!!御本殿は大改修中であり、御本殿前に「仮殿」が建てられていた。仮殿の屋根に樹木って斬新と言うか...不思議な光景ではあった。

工事中の御本殿脇にあの菅原道真公を追ったという「飛梅」が...。ビニールシートが背景だと、なんだか風情も無くて可哀そうな気がする

ということで、天満宮の(花も散り際の)梅林を眺めながら九州国立博物館へと向かった。


舟越桂《ラムセスにまつわる記憶》。

2024-08-04 22:00:30 | 日本美術

「芸術新潮」8月号は今年3月に逝去された彫刻家舟越桂の追悼特集号だった。

以前、記憶は曖昧だが、東京国立近代美術館か東京都庭園美術館かで、舟越桂の作品展を観たことがある。初期の静寂な人物像はなんとなく有元利夫を想起させた。また、舟越安武が父であることを知り、岩手県立美術館で観た安武作品を思い出し、なるほどなぁと思った記憶がある。

今回の芸術新潮の記事を読むと、やはり一時期有元利夫の影響を受けたようであり、更にルーヴル美術館《フィレンツェの婦人》がお気に入りだったらしく、多分、初期ルネサンスの作風が好みだったのだろうと推察された。

《フィレンツェの婦人》ルーヴル美術館(ガラス光反射のため正面から撮れなかった

私的には、宮城県美術館(常設展)で舟越作品《ラムセスにまつわる記憶》が展示されていた記憶が新しい。なので、芸術新潮に記載されていた舟越作品所蔵先一覧で、所蔵が石巻市博物館になっていたのに驚いてしまった。えっ?宮城県美術館の所蔵ではなかったのか?!そして、石巻に購入提案する気の利いた学芸員がいたのか?!と

舟越桂《ラムセスにまつわる記憶》(1986年)宮城県美術館にて(所蔵:石巻市博物館)

2011年の震災で石巻文化センターが被災した後、《ラムセスにまつわる記憶》は泥の中から救出されたようだ。

ラムセスは謎だが、大理石の玉眼は震災の記憶をも宿しているように思える。