花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

《イザベル(イザボー)・ド・ポルテュガルの肖像》(J.P・ゲッティ美術館)。

2021-10-30 23:47:26 | 西洋絵画

前回紹介した三翼祭壇画《キリストの奇跡》(ビクトリア国立美術館)の中央部分には、ちょうど真ん中あたりにパンを受け取っている貴婦人が描かれている。下記美術館サイトURLで拡大して観ることができるのでご参照あれ。

https://www.ngv.vic.gov.au/explore/collection/work/3736/

このご婦人は、多分、フィリップ・ル・ボンの奥方であるイザベル(イザボー)・ド・ポルテュガルと思われる。なにしろ、J.ポール・ゲッティ美術館で観た《Portrait of Isabella of Portugal》にそっくりなのだから

ロヒール・ファン・デル・ウェイデン工房帰属《イザベル・ド・ポルテュガルの肖像》(1450年頃)J.ポール・ゲッティ美術館

https://www.getty.edu/art/collection/objects/651/workshop-of-rogier-van-der-weyden-portrait-of-isabella-of-portugal-netherlandish-about-1450/

ちなみに、下↓はヤン・ファン・エイクがフィリップ・ル・ボンに派遣され、ポルトガルで描いた《イザボー・ド・ポルテュガルの肖像》(婚約用顔見世絵画)を元にした模写作品だ。残念ながらヤンの原作は失われている。

https://en.wikipedia.org/wiki/Portrait_of_Isabella_of_Portugal_(van_Eyck)

一方、《カナの結婚》翼では夫君のフィリップ・ル・ボンと思われる人物も出席者の中に見えるし、続く男性陣はシャルル・ル・テメレールにマクシミリアン1世、フィリップ・ル・ボー...かしらね??

ロヒール・ファン・デル・ウェイデン帰属《フィリップ・ル・ボンの肖像》(1450年頃)アントワープ王立美術館

で、もしかして《カナの結婚》場面のシャルルと思われる人物の手の身振り(キリストに向かい自分を指さしている?)は自分が主役という表現なのだろうか?? ということは、やはり「マーガレット・ヨークの世紀の結婚」場面になるのだろうか???

いずれにせよ、この祭壇画はブルゴーニュ公家に関わりのある人物によって発注されたものだと思われ、私的にも実に興味深い。


三翼祭壇画《キリストの奇跡》(ビクトリア国立美術館)。

2021-10-18 23:00:32 | 西洋絵画

『マーガレット・オブ・ヨークの「世紀の結婚」- 英国史劇とブルゴーニュ公国』(大谷伴子・著)を読み始めたところだが、私的に表紙の絵が興味深かった。

調べてみると、メルボルンにあるビクトリア国立美術館所蔵の三翼祭壇画《キリストの奇跡》の一部分だった。

聖カタリナの伝説の画家(工房)《キリストの奇跡 三翼祭壇画》(1491-1495年)ビクトリア国立美術館

https://www.ngv.vic.gov.au/explore/collection/work/3736/

特に注目に値するのが左の《カナの結婚》場面であり、なんだかご存知寄りの方々が列席しているような気がするのだ

そして、美術館サイトに、この祭壇画に関する興味深い論考(研究)を見つけた。

https://www.ngv.vic.gov.au/essay/contributions-to-the-study-of-the-triptych-with-the-miracles-of-christ-the-marriage-of-cana/

翻訳機能でサクッと読んでみたのだが、いやはや、面白いではありませんか


「ショパンコンクール2021」反田恭平がファイナル進出♪!

2021-10-17 10:43:56 | 音楽

「ショパンコンクール2021」ファイナル進出12人の中に、日本からは反田恭平さんと小林愛実さんが入った。おめでとうございます

で、実は密かに反田君を応援していたから嬉しかった。と言っても私にピアノ演奏の機微がわかるハズも無く、たくおん君のYoutube「TAKU音TV」を楽しく見ている単なるもの好きにすぎない。

その「たくおん」君の番組に反田君がゲスト出演したのだが、これがめちゃ楽しかった

【反田恭平】男子2人でおうちモンブラン会 inウィーン【前編】【おしゃべり散歩】

https://www.youtube.com/watch?v=RlH7XzE6VQs

【反田恭平】男子2人でおうちモンブラン会 inウィーン【後編】【初食レポ】

https://www.youtube.com/watch?v=tUVhMOMXLaM&t=0s

この動画を見て、反田君ってフツーの若者じゃん、って凄く親近感が持てたのだわ(笑)

ショパンコンクール3回戦後のインタヴューでは「思うような演奏ができなかった」と悔しさをにじませていた反田君だったが、蓋を開けてみたらファイナル進出決定!!!もう、よかった、よかった

ファイナルではぜひ思う存分自分の世界をピアノの音に載せていただきたい。もちろん、できたら優勝してほしいなぁ


ボッティチェッリ《Man of Sorrows(悲しみの人)》がオークションに。

2021-10-10 12:03:41 | 西洋絵画

サンドロ・ボッティチェッリ《Man of Sorrows(悲しみの人)》(1500年頃)がサザビーズのオークションに出るようだ。

https://www.sothebys.com/en/articles/sandro-botticellis-the-man-of-sorrows

今年2月の《ラウンドエルを持つ青年の肖像》(1480年)に引き続きオークションに出るなんてちょっと驚きかも。

ちなみに、この《Man of Sorrows(悲しみの人)》を見て、パラッツォ・ビアンコのメムリンク《(Cristo benedicente)祝福のキリスト》を想起してしまった。

ハンス・メムリンク《祝福のキリスト(Cristo benedicente)》(1485年)パラッツォ・ビアンコ

wikipediaの画像ファイルでは題名英訳が《Man of Sorrows》になっている

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hans_Memling_Cristo_benedicente.jpg

メムリンク作品は当時フィレンツェにあって、ドメニコ・ギルランダイオも模写している。

ドメニコ・ギルランダイオ《The Man of Sorrows(悲しみの人)》(1490年頃)フィラデルフィア美術館

https://www.philamuseum.org/collection/object/101837

このメムリンク《悲しみの人》の対になる《悲しみの聖母》もペルジーノ(&工房)が模写している。

※ご参考:https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/a24f118c41fcacf2b0b518cc1e68eb95

当然 、ボッティチェッリも観ているはずで、私的にはその影響の答えがこの《Man of Sorrows(悲しみの人》だと思うのだが、美術ど素人の暴走だろうか?

ともあれ、できればどこかの美術館が落札して欲しい。個人コレクターに落札されると私たちは観る機会がなくなってしまうから(涙)。


宮城県美術館「コローから印象派へ」展の超サクッと感想(^^;

2021-10-04 23:09:55 | 展覧会

宮城県美術館で「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」展と「宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美―東北ゆかりの品々」を観た。

取りあえずは「風景画のはじまり コローから印象派へ」展の超サクッと感想から(^^;

https://www.khb-tv.co.jp/s001/010/musees-reims-2021/index.html

(ちなみに、この展覧会は損保ジャパンで開催された展覧会の巡回展である)

【出品目録】

https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/871750.pdf

展覧会は、印象派へと向かう作品群を紹介しているものの、展示はコロー作品が多かったのも了解される。

私的に興味深かったのは、コロー以前の風景画家にクロード・ロランの影響と、17世紀オランダ風景画の影響が色濃く見えたことである。特にジョルジュ・ミシェル《森のはずれの藁ぶき小屋》(1795年)など、あれっ?ライスダールのハーレムの砂丘を描いた作品と似ているのでは?と思ってしまった程だった。やはり、風景画のキモは陽光による陰影表現なのだと再認識してしまう。

で、展示作品で一番私の眼を喜ばせてくれたのは、やはりモネ《ベリールの岩礁》であり、陽光に輝く海の色の美しさに魅了された。なんだかなんだ言っても私はモネ好きなんだわ

クロード・モネ《ベリールの岩礁》(1886年)ランス美術館

さて、ちょっと不思議だったのは今回の展示のテーマは印象派に至る道なのだが、バルビゾン派のテオドール・ルソーとかディアズ・ド・ラ・ペーニャ作品などがあったのに、ミレー作品が見えなかったのだ。その代わりなのだろうか? 興味深かったのは第3章(仙台では最終展示室)の版画コーナーだった。

私の目を惹いたのは、多くの版画作品と共に、当時エッチング化されたミレー作品が掲載された「イリュストラシオン」誌だった。ああ、ゴッホが描いたミレー作品模写はこれらのエッチング作品を参照したものなのか!!と了解できたのが収穫だった。

ということで、駆け足の超サクッと感想でした