花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ウィーン美術史美術館とアムステルダム国立美術館「Caravaggio-Bernini」展。

2019-11-30 23:46:43 | 展覧会

以前にも書いたが、現在、ウィーン美術史美術館で「Caravaggio&Bernini」展が開催されている。

https://www.khm.at/en/visit/exhibitions/caravaggio-bernini/

カラヴァッジョ《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(1607年)ウィーン美術史美術館

「Caravaggio&Bernini」

・会場:ウィーン美術史美術館

・会期:2019年10月15日(土)~2020年1月19日(日) 

この展覧会はアムステルダム国立美術館にも巡回する。

アムステルダムの展覧会チケットも発売されたようなので、改めて触れておきたい。

https://www.rijksmuseum.nl/en/caravaggio-bernini

「Caravaggio-Bernini. Baroque in Rome」展

・会場:アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum,Philips Wing

・会期:2020年2月14日(金)~2020年6月7日(日)

まぁ、ローマのボルゲーゼ美術館に行けば、そのまんま「カラヴァッジョとベルニーニ」なのだけれど、ウィーンではボローニャのグイド・レーニ作品なども展示されているようだが、どんなストーリー展開を見せているのか、また、アムステルダムでは違った展開もあるのか、興味津々ではある。


カラヴァッジョ《キリストの埋葬》のオランスの身振り。

2019-11-28 23:09:40 | 西洋絵画

最近、興味深い本を読んだ。浅野和生・著『図説 中世ヨーロッパの美術』(2018年)河出書房新社(ふくろうの本)である 

ビザンティンの壁画では、キリストの埋葬の際に後ろで両手を上げて泣くマグダラのマリアの姿がときどき描かれている(図:スヴェーティ・ニキタ修道院の壁画)。この姿はルネサンス絵画にも受け継がれたし、もっと後の、カラヴァッジョの「キリストの埋葬」の中にまで、その反映を見ることができるだろう。」(浅野和生『中世ヨーロッパの美術』, pp077-078

もちろん、記述では「反映」なので、両手を上げているのがマグダラのマリアとは言っていない。

※参考:スヴェーティ・ニキタ修道院の壁画のYoutube動画 ↓ 。《キリストの埋葬》は(2:30頃に登場)

https://www.youtube.com/watch?v=8DuEaVrQWd4 

さて、カラヴァッジョの《キリストの埋葬》 ↓である。(昔撮ったボケ写真の使い回しですみません

カラヴァッジョ《キリストの埋葬》(1602年)ヴァチカン絵画館

今まで、私的には両手を上げているのはクレオパのマリアだとばかり思っていたので、思いがけず、えっ?マグダラのマリアなの??確認しなくては!と一瞬焦ってしまったが、昔読んだ「西洋美術史研究(2001/No.5)」及び『カラヴァッジョ-聖性とヴィジョン』における宮下先生の「オランスの身振り」を再確認することにより、改めて、なるほど!と了解できた。

「ピエタや哀悼の場面に、両手を上げるマグダラのマリアやクレオパのマリアが登場することはビザンチンからイタリアに受け継がれた伝統であり、ここにそれが見られることは不自然ではない。」(宮下規久朗・著『カラヴァッジョ-聖性とヴィジョン』(2004年)名古屋大学出版会, p164)

ということは、マケドニアの片田舎にあるスヴェーティ・ニキタ修道院壁画《キリストの埋葬》は、カラヴァッジョ《キリストの埋葬》の時代を遡る原型のひとつなのだ!!と思うと実に感慨深いものがある。


「LEONARDO DA VINCI 1452-1519」切手♪

2019-11-27 22:04:24 | 西洋絵画

ルーヴル美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念の大規模な展覧会が開催され、日本でもNHKが特番を組んだり、なにかと話題になっているようだ。もちろん、本国イタリアでも...。

ということで、Posteitaliane(イタリア郵便局)からレオナルド・ダ・ヴィンチ記念切手シートが発売された

https://www.poste.it/prodotti/leonardo-da-vinci-v-centenario-della-scomparsa.html

嬉しいことにボローニャのFさんからの郵便物にその「LEONARDO DA VINCI 1452-1519」切手が貼ってあったのだ!!(Grazie‼>Fさん)

やはりイタリア国内にある作品が切手になっているが、何故かウフィッツィ《受胎告知》は選ばれなかったようだ


「カラヴァッジョ『キリストの埋葬』展」にあたり...。

2019-11-26 18:56:20 | 展覧会

以前、拙ブログで「カラヴァッジョとミケランジェロのニコデモ」というテーマで書いたことがあるのだが

 https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/46335b9f6c0fc529b547e39118403b0d

 

カラヴァッジョ《キリストの埋葬》のニコデモ(拡大)

今回の2020年「カラヴァッジョ『キリストの埋葬』展」にあたり、イタリア語版Wikipediaをチェックしてみたたところ...

https://it.wikipedia.org/wiki/Deposizione_(Caravaggio)

なんと 

La figura di Nicodemo è l'unica a rivolgere lo sguardo verso l'osservatore ed è interessante notare che l'ammirazione di Caravaggio per Michelangelo Buonarroti si riveli anche nella figura dello stesso Nicodemo, il cui volto altro non è che il ritratto del grande scultore fiorentino (che, a sua volta, si era già ritratto in veste di Nicodemo nella Pietà Bandini ).」(wikipediaイタリア語版より引用) 

「ニコデモの姿は観察者に彼の視線を向ける唯一のものであり、ミケランジェロ・ブオナローティへのカラヴァッジョの賞賛が、彼の場合、同じニコデモの姿に表明されていることに気付くのが興味深い。そのニコデモの顔は偉大なフィレンツェ人彫刻家の肖像に他ならない。(ミケランジェロは既に《バンディーニのピエタ》のニコデモを自画像としていた)」(拙訳に間違いがあったらごめんなさい 

ミケランジェロ《バンディーニのピエタ》

おおおイタリアでは既に「カラヴァッジョのニコデモ=ミケランジェロ説」が定説になっているのだろうか?


2020年「カラヴァッジョ『キリストの埋葬』展」が!!

2019-11-24 01:34:14 | 展覧会

2020年「バチカンと日本 100年プロジェクト」で、なんと!カラヴァッジョ《キリストの埋葬》が来日するようだ!!(むろさんさん情報に感謝です!!)

・「カラヴァッジョ『キリストの埋葬』展(仮称)」

・会期:2020年10月21日(水)―11月30日(月)(36日間)

・会場:国立新美術館 2階企画展示室1E 〒106-8558東京都港区六本木7-22-2

 https://vj100.jp/event/

 https://www.asahi.com/articles/DA3S14267776.html

カラヴァッジョ《キリストの埋葬》(1602-03年)ヴァティカン絵画館

いやぁ、フランチェスコ法王(教皇)の来日に合わせての発表なのだろうが、なんとも嬉しいニュースだ。なにしろ、私的に大好きな作品なのだからそれにしても、36日間だけ...って激混かも...


東京国立博物館「正倉院の世界」展(前期&後期)サクッと感想(^^;

2019-11-19 20:17:16 | 展覧会

東京国立博物館「正倉院の世界-皇室が守り伝えた美」展(前期&後期)を観た感想をサクッと(^^ゞ 

https://artexhibition.jp/shosoin-tokyo2019/

本当は奈良の「正倉院展」を観るべきなのだろうが、如何せん仙台から奈良は遠く、宝物の一部とは言え、東京への引越展は嬉しかった。併せて正倉院の成り立ち(756年聖武天皇崩御供養)と歴史を、改めて勉強する良い機会でもあった。現在でも天皇の勅使が蔵の鍵を開ける儀式が行われているなんて凄いと思う。

展示は、有名な《螺鈿紫檀五絃琵琶》等の宝物から埃のような屑裂(正倉院裂の!)まで多岐に渡り、囲碁の碁石(模様付き色も鮮やかですっごく可愛い)とか、球体銀透彫《銀薫炉》(内部が巧妙!)とか、花柄のフェルト段通とか、水差し《漆胡瓶》(中国 唐または奈良時代・8世紀)とか、聖武天皇の身の回りの生活が想像されるのも興味深かった。

いうことで、まずは、その成り立ちを語る資料から。前期の展示だったので記憶が朧げなのだが、多分《東大寺献物帳(国家珍宝帳)》だと記憶している(間違っていたらごめんなさいっ💦)。光明皇后が「思い出の品を寄進するので、どうぞ聖武天皇が阿弥陀菩薩になれますように」と、仏教で国を治めようと努力してきた聖武天皇を本当に理解し応援していたんだろうなぁと、夫である天皇への深い愛情が切々と伝わって来る書面で、なんだかじーんとしてしまったのだ。 

さて、今回の東京展の目玉は何と言っても前期展示の《螺鈿紫檀五絃琵琶》(中国 唐時代・8世紀)だろうと思う。

http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000010076

長い時を超えた螺鈿細工の美しさはひと際オーラを放っていた!背面の螺鈿装飾が豪華!! この極めて貴重な琵琶の再現模造品も同時に展示してあり、制作過程の映像を見ると、一層昔日の匠たちの技術力に驚き、尚且つ、現代における再現挑戦をした現代の匠たちの存在自体も有難かった。 

上記↑は展示室最後を飾っていた明治期に作られた《模造 螺鈿紫檀五絃琵琶》(1899年)

同じく螺鈿の美しさが際立つ《平螺鈿背八角鏡》(中国 唐時代・8世紀)にも当然!魅了された。鏡という道具を超えた美術品だと思う。できたら我が家にお持ち帰りしたいと思ったほど!!

有名な《黄熟香(蘭奢待)》(東南アジア)はその大きさに驚いてしまう。足利義政や織田信長などの切り取った跡が生々しく時代を映しており、権力者をも魅了してやまない香りの魔力をガラス越しに「見た」ような気がした(前期では展示室に良い香りが漂っていたが、もちろん蘭奢待ではないハズ)。

で、私的今回一番押しの宝物は《白瑠璃碗》(ササン朝ペルシア 6世紀ごろ)。

http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000011989 

めちゃくちゃ私好みのガラスボウルだった!!透明な丸い切子の中に更に小さく丸い切子が刻まれており、光が当たると、小さな光が乱反射してきらきらと輝くのだ。ずっと見ていても見飽きないほどで、このボウル欲しいっ!!と切に思ってしまった 

展示室の最後の方には、正倉院の一部実物大(?)模型がド~ンと設置されていて、大型映像とともに正倉院の全容も知ることができたし、尚且つ、現代でも正倉院を開けるには天皇の勅使による勅書が必要であり、その鍵を開ける儀式も映像で見ることができた。

上↑ は昔学校で習った校倉造り高床式倉庫よね。臨場感あり

上↑は勅書が折り込まれた正倉院の封印と錠前の再現模造品。

展示室の最後は先に画像を紹介した明治期に作られた再現模造品《模造 螺鈿紫檀五絃琵琶》と《模造 螺鈿紫檀阮咸》が展示されており、写真撮影ができるコーナーになっていた。

上↑は明治期に作られた《模造 螺鈿紫檀阮咸》(1899年)

今回、正倉院宝物の一部だけでも目にすることができたのは目の果報であり、当時の美意識やそれを支えた職人技、そして「正倉院」という類まれな保存装置(?)に心から感謝したくなった。世界に誇るべき日本の宝だよね


再び東京1泊2日(^^ゞ

2019-11-13 23:58:12 | 国内旅行

先月末に東京・名古屋・京都へ旅行し、展覧会感想もまだ書いていないのに(汗)、再び東京に行ってきた。今回は...

◆国立西洋美術館

・「ハプスブルク展」 

        

・「内藤コレクション展-ゴシック写本の小宇宙」 

◆上野の森美術館

「ゴッホ展」

 ◆東京国立博物館

・「正倉院展」後期  

・「文化財よ、永遠に」

・「国宝 聖徳太子絵伝」(法隆寺館)

 (法隆寺館からの眺め)

もちろん、国立西洋美術館と東京国立博物館(本館)では常設展もチェックした。

東京・名古屋・京都の展覧会感想も頑張って書かなくちゃね。ちなみに、東博の「正倉院展」は前期と後期を合わせて感想を書きたいと思う。


名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」取りあえずサクッと感想(^^ゞ

2019-11-05 23:44:18 | 展覧会

名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」を観た感想を、取りあえずサクッと

 

日本でカラヴァッジョ作品を観ることができるだけでも有難いし、まぁ色々と思うことは多かったけれど、意外にまとまった展覧会になっていて、なんだかほっとした今回の名古屋展の目玉は《ゴリアテの首を持つダヴィデ》であり、このカラヴァッジョ晩年を象徴する作品だけでも名古屋に出かけた甲斐があったし

更に、私的に嬉しかったのは、カラヴァッジョ関連本で知ってはいても、今まで観る機会のなかった個人蔵の帰属作品を何点か観ることができたことで、これも収穫のひとつだった。真作かどうかは美術ド素人の私が判断できるはずもないが、自分の目で確かめ感じることはできたのである。 

さて、展覧会の構成は

Ⅰ)1600年前後におけるカラヴァッジョと同時代の画家たち

Ⅱ)カラヴァッジョと17世紀のナポリ画壇

Ⅲ)カラヴァッジョ様式の拡がり 

問題は、オーソドックスな構成ゆえに、その構成作品の少なさと、敢えて言えば、薄さが気にかかったが、もしかして、あの貸出不可事件の影響もあるのかもしれない。会場ではその薄さを補うかのような解説の多さが目を引いたが、本当は展示作品により観客に伝わることこそ望ましいと思うのだけどね。 

特に主役のカラヴァッジョに関する解説は地図や写真を使ったりの懇切丁寧なものだった。多分、今回の展覧会が東京を外した地方巡回展であり、カラヴァッジョを広く紹介したいという意欲の表れであっただろう。だが、私的にはカラヴァッジョのドラマチックな生涯を追いかけるよりも、照明等に気を配り、作品自体をもっと生かして見せて欲しいと思ってしまった。 

ちなみに、図録には「カタログ」追加作品が挟まっていたが、その追加分が不可8作品の補填作品だとすると、やっつけ仕事にしては意外に良い作品を集めたのではないかと思ってしまった。いずれも個人蔵であり、私的に初見の作品が多く興味深かった。 

と言うことで、取りあえずのサクッと感想であり、各作品等については別途書きたいと思う。興味深い作品も色々あり、アンニバレ・カラッチやオラッツィオ・ジェンティレスキ、ジュゼッペ・デ・リベーラ等作品もあって嬉しかったし、その他触れたい作品も色々あるしね。


駆け足旅行(東京・名古屋・京都)後篇

2019-11-02 23:59:15 | 展覧会

東京・名古屋と続いた駆け足旅行、さて、3目は...

京都国立博物館 「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展

三十六歌仙のうち展覧会での展示予定は三十一歌仙、更に展示替えありなので、実際に観ることができたのは二十数歌仙である(数えてない)。しかし、多くの貴重な断簡が集合する機会は滅多にないので、名古屋ついでに観ることにしたのだ。今回の展覧会は「切断」と「流転」にスポットライトを当てているが(ドラマチックだしね)、私的には詞「伝・後京極良経筆」に注目であり、そこら辺の解説が薄過ぎて、なんじゃい‼ だった。あくまでも「伝」なので良経筆なのかは不明であり、このモヤモヤ感を晴らしてほしかったのにねっ

展覧会を観た後は、京博すぐ近くの「養源院」へ。

「養源院」は浅井長政の菩提寺であり、浅井家三姉妹が守って来た歴史が残っている。血天井と俵屋宗達の杉戸扉絵が有名であるが、「牡丹の間」にも狩野山楽筆の襖絵があり、こじんまりしているものの、なかなかに見応えのあるお寺さんだった。録音で流れるご住職(?)の解説がご愛嬌

養源院を出た後、京都駅行のバスもすぐ来て、意外に早く駅まで戻れた。とりあえずホテル近くのカフェでサクッと遅めの昼食を取り、伊丹空港行きのバスチケットを購入。帰りは伊丹発の仙台行き最終便なのだが、時間が微妙に余ってしまった。京都駅でお買い物するには人が多過ぎて疲れそうだし、めんどうなので早めにバスで伊丹に移動した。

で、伊丹空港の全日空側の建物が改装中で、夕食のためのレストラン探しに失敗してしまった。2階中央にちゃんとしたレストランやショップがあるのも知らず、工事中の連絡通路脇にあった和食屋に入り、不味い穴子丼など食べてしまったのだ食事後に空港探検をして、ようやく空港の全容がわかった

ということで、伊丹から仙台に戻り、二泊三日の駆け足旅行が無事終了できたのだった。やはり、年寄りにはハードな旅だったかも