花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

チェント市立絵画館

2014-11-30 01:29:25 | 美術館
ボローニャのFさんから、震災前に訪れた「チェント市立絵画館」の写真画像を頂いていた。今回その一部を紹介したい。(Fさんに感謝!)

実は、故サー・デニス・マーホンの写真の背後の作品に見覚えがあった。Fさんから頂いていた画像をチェックして、やはり!だった。


故サー・デニス・マーホン 「da Guercino a Caravaggio」展覧会公式サイトからの画像


グエルチーノ《説教する洗礼者聖ヨハネ》チェント市立絵画館(ボローニャのFさん撮影)

どうやら、マーホンはチェントにもコレクション寄贈をしていたようだ。もしかして、この《説教する洗礼者聖ヨハネ》はマーホンの寄贈作品だと思われるのだが...(?)。

ちなみに、下記の画像は震災前の絵画館の中の様子だ。

チェント市立絵画館内部(ボローニャのFさん撮影)

隣に私の一押し作品、 《聖母のもとに現れる復活したキリスト》が見える!

グエルチーノ《聖母のもとに現れる復活したキリスト》チェント市立絵画館(ボローニャのFさん撮影)

この作品は2012年の春、ローマのパラッツォ・バルベリーニ「Guercino 1591 - 1666」展を観た時、私が一番感動した作品である。当時のブログにも書いたが、キリストと聖母の交わす眼差しに、ついウルウルと涙をこぼしてしまった。我が子の傷口に手触れ、大丈夫かと見上げる聖母の心痛の涙。母の肩を優しく抱き、大丈夫だと応えるキリストの眼差し。宗教画とは言え、普遍的な母と子の情愛をエモーショナルに、そして、確かな存在感と技量を持って描き込んだグエルチーノに感嘆した。ああ、バロックの画家だなぁ、と。

先ほどリンクを貼ろうとTBS「グエルチーノ展」公式サイトをチェックしたら、なんとこの2作品も来日するようだ。再会できるのが嬉しい。

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(3)

2014-11-28 23:56:50 | 展覧会

さて、展示作品を紹介しよう。まずは、故マーホンの原点であるグエルチーノから始まった。オープニングは(1)で紹介したように、ベネデット・ジェンナーリの《グエルチーノの肖像》だ。
(画題は花耀亭の翻訳なので、誤訳があってもお許しあれ)

■ベネデット・ジェンナーリ(Ⅱ世)(1633-1715)

・《グエルチーノの肖像》ボローニャ国立絵画館(マーホン寄贈)


ジェンナーリの肖像画を観ると、確かに斜視である。一説では、グエルチーノの自画像を模写したもの、との説があるが、そうであればなおさら画家の眼差しのありようが伝わってくるような気がする。

グエルチーノの本名はジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ(Giovanni Francesco Barbieri) (1591 - 1666)。エミリア地方のチェントに生まれる。斜視のためグエルチーノと綽名される。17歳ごろにはボローニャに出てルドヴィーコ・カラッチと出会い、カラッチ派の影響下で描いていた。後にローマに出て、ボローニャのルドヴィーシ家出身のグレゴリウス15世に用いられるようになる。が、教皇の死後、チェントへ戻ることになる。

蛇足だが、ローマの「カジノ・ルドヴィーシ」はカラヴァッジョの天井画だけでなく、グエルチーノの天井画《オーロラ》でも有名だ。

■グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)(1591-1666)

・《ウェヌス、マルスとクビド》エステンセ絵画館(モデナ)
 

今回の展覧会のメインの作品である。マルス(マーキュリー)とウェヌス(ヴィーナス)の間にクビド(キューピッド)が居て、観る者に向かって指さし、恋の矢を放とうとしている。豊満な肢体のウェヌスと言い、多分パトロンの嗜好に合った作品なのだろうなぁ、などとニンマリ眺めてしまった。ヴィーナスの皮膚やもマルスの鎧には画家の力の入れ具合を見たような気がする。

・《聖トマスの懐疑》ヴァティカン絵画館


キリストの傷口に指を入れてみる聖トマスに、思わず、カラヴァッジョの影響でしょ!、と言いたくなってしまった(^^;。なんだかんだ言ってもボローニャ派だってカラヴァッジョを無視できなかったはず。グエルチーノは復活後のキリストに旗を持たせる図像が多いなぁ。

・《時間、マルス、ウェヌス、クビド》エルミタージュ美術館


イタリア語が「Tempo」になっていたから「時間」と訳したが、私的にはクロノスよりもカイロスを描いているような気がするのだがどうなのだろう?クビドに網を仕掛けて捕まえているが...?まぁ、恋の狩猟には待つ時間も大切だし、捕まえるチャンスも必要だし、やはり「時間」が必要なのかも?うーん、美術ド素人には解題は無理なようだ(^_^;)。で、この作品の前に立つとカラヴァッジョ的な明暗法を強く感じるのだ。
追記:ウルカヌスにマルスが網で捕まった話をクビドに置き換えているのかもしれないが、でも「Tempo」はウルカヌスのこと?ウェルカヌスは鍛冶屋・火山の擬人化だし、不思議??)(再追記:網では無くヴェールを剥ぐだったら、「時は真実を明らかにする」ということで、時間のクロノスだ!!)


・《ベルナルディーノ・スパーダ枢機卿の肖像》スパーダ絵画館(ローマ)


素晴らしい肖像画だと思う。枢機卿の個性が画面からリアルに立ち上がってくる。何よりも薄色の目の虹彩が際立ち、枢機卿の知的で冷たい情熱のようなものが伝わってくる。スパーダ絵画館のコレクションは枢機卿の集めた作品が基になっている。私も訪れているがボローニャ派作品が多い。グイド・レーニも枢機卿の肖像画を描いているが、私的にはグエルチーノに軍配を上げたい。絵画館にはボッロミーニの遠近法的トンネルがある(中に入ることができた!)。

・《本を持つ老人》エステンセ絵画館(モデナ)

見た瞬間、リベーラみたいだと思った。カラヴァッジョ風だったり、リベーラ風だったり、当時の流行を取り入れていたのかもしれない。ちなみに、「Vecchio」は古典古代の寓意かもしれないが、簡単に老人と訳した。

・《アビシャグの息子を復活させるエリシャ》ミラノ教区博物館

・《つばめの聖母》ボローニャ国立絵画館


聖母が人差し指につばめをとまらせて、幼児イエスに「ほら」っと見せている微笑ましい作品だ。

・《ペルシャのシビラ》カピトリーニ美術館(ローマ)

・《カルトーシュを持つシビラ》ボローニャ国立絵画館

・《アムノンとタマル》エステンセ絵画館(モデナ)


ダビデの子アムノンとタマル(旧約聖書:サムエル記下第13章1節-39節)の物語だ。アムノンがタマルに言い寄る場面だと思う。で、観た瞬間、カラヴァッジョの《女占い師》を想起。カラヴァッジョの影響大だと嬉しくなった(^^;;


カラヴァッジョ《女占い師》カピトリーニ美術館

・《ロザリオの15の謎と花輪を支える二人の有翼のプット》・サン・ジョルジョ教区教会(チェント)


チェントから出展されていた素晴らしく豪華な祭壇画絵画タベルナクルムである。で、中央二人は天使ではなく「due Putti」になっていた。

・《聖カルロ・ボッロメーオの奇跡》サン・セバスティアーノ教区教会(チェント)

ミこちらもチェントからの出展。ミラノのサン・カルロ・ボッロメーオですね。画像が見つけられなかったけど、構図は向かって左上から右下への斜め構図で、なんと右下には可愛い猫が描かれていたのだ♪
追記】:ボローニャのFさんから画像紹介があり、画像を追加UPした(感謝です!)。小さいけど猫が見える。

以上がメモを基にまとめた出展作品だが、ご覧の通り、チェントからの出展は2作のみだったのだ。


ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(2)

2014-11-27 00:02:30 | 展覧会
前回紹介した《グエルチーノの肖像》のベネデット・ジェンナーリはグエルチーノの師匠だったジェンナーリの孫で、Ⅱ世を付けて表記されることもあるようだ。

それから、残念ながら今回は覧会図録は購入していない。あの「I Caravaggeschi」(6kg!)の重さに加えて更に書籍類を購入するなんて考えられなかったからだ。なので、自分の書き取ったメモを中心に話を進めていく。記憶違い、誤記等があってもお許しあれ。図録は国立西洋美術館のライブラリーに入ると思うので、興味のある方はそちらで見せてもらえるかも。

展覧会構成は
・グエルチーノ
・グイド・レーニ
・ドメニッキーノ
・アンニバレ・カラッチ
・バッティステッロ
・ルドヴィコ・カラッチ
・カラヴァッジョ
・ニコラ・プッサン


グイド・レーニ《アタランテとヒッポメネス》カポディモンテ美術館

まさに故マーホンの研究の足跡に沿った展示となっていた。グエルチーノからカラッチ派(ボローニャ派)を経てカラヴァッジョへ。戦後すぐの論文で扱ったプッサンを最後に交え、イタリア・バロック美術偏愛&研究の流れが一望される展覧会だ。会場の壁にマーホンの言葉が記されており、彼の美術への眼差しを言葉によって追憶できるようにもなっている。

で、いやはや驚いたことに、作品解説がイタリア語、英語の他に、なんと中国語が併記されていた(@_@;)。確かにイタリアの観光地には中国観光客がめちゃくちゃ多いが、遂にここまで来たか…と。恐るべし中国パワー(^^;;

さて、今回はエルミタージュ美術館からの作品が目立ち、特にカラヴァッジョ《リュート奏者》とドメニッキーノ《マグダラのマリアの浮揚》は展覧会のハイライトと言っても良いのではないかと思った。


ドメニキーノ《マグダラのマリアの浮揚》エルミタージュ美術館

私見だが、西美の「グエルチーノ展」はエルミタージュ美術館作品は外されるのではないだろうか?今回のローマでの展覧会と西美の展覧会の趣旨は違う。多分、2011-2012年に開催されたチェント市所蔵作品を中心にした「Guercino 1591 - 1666」展と似た構成になるのではないかと思う。

次回は展覧会の展示作品を具体的に紹介して行こうと思う。

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(1)

2014-11-26 00:44:42 | 展覧会
ローマのパラッツォ・バルベリーニ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展を観た。


「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ」展ポスター

故Sir John Denis Mahon(1910~2011)は英国のイタリア美術史家でありコレクターである。日本の書籍ではデニス・マーンとの表記が多いが、展覧会場で英語の音声ガイドを借りたら「デニス・マーホン」と発音していた。なので、今回は表記を「マーホン」にしようと思うが、本当はどうなのか詳しい方はご教授あれ。


故サー・デニス・マーホン(1910~2011) 後ろの絵はグエルチーノだと思う

オックスフォードで美術史を専攻したマーホンは、1934年にパリでグエルチーノ作品を初めて購入。グエルチーノやボローニャ派の個人コレクションを形成しながら、イタリア・バロック美術の権威としてキャリアを進めていく。英国だからジョン・ラスキン(カラッチ派嫌い)の影響が強かっただろうに偉いよね(^^;。ちなみに、1990年代には自分のコレクションをボローニャやダブリンなどの美術館に寄贈している。

でも、私的にはマーホンと言えばカラヴァッジョ研究家としてのイメージが強い。“The Burlington Magazine”での真作発表論文など、センセーショナルで面白いものが多い。まぁ、晩年は真作乱発のきらいがあったけどね(^^;;;

そんな故マーホン卿の美術史家としての功績を顕彰したのが今回の展覧会だった。もちろん文字通り、グエルチーノからカラヴァッジョまで、最後の方にはニコラ・プッサン特集もあった。マーホンの偏愛し、研究対象とした画家たちの作品が並ぶ展覧会である。

展覧会はベネデット・ジェンナーリ(Benedetto Gennari)《グエルチーノの肖像》から始まった。ジェンナーリはグエルチーノの弟子である。


ジェンナーリ《グエルチーノの肖像》

う~ん、長くなりそうなので続きはまた。ちゃんと書きますから、今回は(^^;;;

友を悼む。

2014-11-22 01:42:45 | Weblog
友人のるふなさんが先週の金曜日に亡くなった。去年の3月、年度末の忙しさの中で喀血し、緊急入院した。一時は回復したかのように思われたが、入退院を繰り返し、遂に帰らぬ人となった。自分の肝臓を自分の身体の細胞が攻撃するという難病だった。

でも、私は必ず回復すると信じていた。お見舞いに行くたび、快気祝いはMちゃんの店でしようね、退院したら美味しいもの食べに行こうね…と話していたのに…。

なんでも、本音で話せる友だった。明るく聡明で、好奇心が強くて研究熱心、更にA型気質の完璧主義。O型アバウトな私はいつも頼ってばかり…。お見舞いに行っても、病人の方が気遣ってくれていた…。もう、せつないっったら! 

そんな友の喪失感はやはり大きい。でもね、無常感に襲われるからこそ、残された者はしっかりと生を全うしなくちゃと思う。

「グエルチーノ展」早割チケット。

2014-11-17 23:45:03 | 展覧会
「グエルチーノ展」のサイトで「早割チケット 期間限定・お得なチケット!」があることを知った。「前売り券よりもさらにお得なチケット」という惹句は魅力的(笑)。「早割チケット」はオンライン購入できるが、実券は国立西洋美術館のみの扱い。

と言うことで、国立西洋美術館で「ホドラー展」を観たついでに、早速購入した。


「グエルチーノ展」早割チケット

今回のチケットは種類が色々あるようで、割と地味~な画家だから、西美も色々戦略をたてているんじゃないかと思う。でも、TBSがテレビ宣伝すれば、きっと一躍「有名画家」になっちゃうんだろうなぁ~(^^;;

で、「ホドラー展」ですか? 画家の作風の変遷を知るのは面白かったですよ。「チューリッヒ美術館展」も観ていたし、先に「スイス・スピリット展」でもニーセン山シリーズが印象的だったし。なんかムンクに似ているなぁ、とか、北国の画家って象徴主義的な傾向があるんだなぁ、とか、ああシャバンヌかぁ、とか、色々...。そうそう、リズムとか平行線とか、画家の持つ幾何学的偏愛こそが個性なんだなぁ、とか...で、自分の感想が終わってしまった。つまり、心が動かされなかったということです。すみません、保守反動の古典派ですから(^^;;;

カラヴァッジョ《恍惚のマグダラのマリア》の真作発見?!

2014-11-16 03:54:28 | 西洋絵画
ボローニャのFさんからいただいていた大事な情報を書くのをうっかり忘れていた(^^;;;

カラヴァッジョが1610年7月18日にポルト・エルコレで亡くなった時、3枚の絵を残していたが、その内の1枚が《恍惚のマグダラのマリア(Maddalena in estasi)》である。



現在コピーを含め8枚の《恍惚のマグダラのマリア》が存在するが、その1枚をロベルト・ロンギ財団のミーナ・グレゴーリが数年前から調査していた。その調査の結果、「真作である」と発表したとのこと。

http://www.repubblica.it/cultura/2014/10/24/news/e_lei_la_vera_maddalena_svelato_il_mistero_di_caravaggio-98877106/?ref=search



イタリア「レプブリカ紙」10/24付けの記事


真作裏付けとした当時の記録の写真

さて、カラヴァッジョ研究者たちの反応はどうなのだろうか? また、真作発表展覧会はいつになるのだろうか?

フランクフルトでミントティー。

2014-11-16 01:58:45 | 海外旅行
フィレンツェへはフランクフルト経由だった。フランクフルト空港に着き、フライトスケジュールでフィレンツェ便を確認すると、なんと1時間遅れの出発予定になっていた。

仕方がないので空港内のバールでひと休み。カウンター上のケースに美味しそうなプリッツェルが見える。プリッツェルをひとつ…それから…ハーブティーはありますか?

もちろん、と、お兄さん。やおらガラス容器から生のミント葉を掴むと、豪快にちぎり、ポットに入れ、熱湯を注いで出してくれた。空港内のバールで本格的なフレッシュ・ミントティーが飲めるなんて! 



プリッツェルをつまみながら、清々しいミントの香りに癒され、しばしの間、ほっ。

しかし、これからがまだ大変だったのだ。搭乗用の移動バスに乗り、飛行機の前に着いたのだが、なんと飛行機の整備が終了していない!どうやらタイヤに空気を注入している模様。搭乗できたのはそれから40分後である。フィレンツェ着は最初の予定より2時間遅れになってしまった。

フィレンツェ到着の午後にはボローニャでFさんと会う約束になっている。待ち合わせの時間に間に合うのだろうか?

東京都美術館「ウフィッツィ美術館展」を観た。

2014-11-15 01:01:20 | 展覧会
東京都美術館「ウフィッツィ美術館展」を観た。フィレンツェに行った後で観たら、多分がっかりするだろうと思ったからだ。案の定、お湯で薄めたミネストローネのような...(すみませんです)(^^;;;

内容としては、ボッティチェッリとその周辺、フィレンツェのメディチ家の歴史とマニエリスムの紹介といったところか。図録を見ていないので、以下の感想(?)に見当外れ等あったらお許しあれ。

作品の見どころはボッティチェッリ《パラスとケンタウロス》なのだろうけど、私的に、おおっ!と思ったのはペルジーノと工房《悲しみの聖母》だった。この《Mater Dolorosa》には明らかにフランドル絵画の影響が甚だしい。堅固な写実描写、特に白い頭巾の質感描写が「神のごとき」ペルジーノの確かな筆力を示す。だが、口元がフィレンツェ・ルネサンスっぽくて、フランドルの清冽な趣を少しく裏切ってくれる。イタリア・ルネサンスは聖母だって人間っぽいのだよね。


ペルジーノと工房《悲しみの聖母(Mater Dolorosa)》ウフィッツィ美術館(フィレンツェ)1500年頃

実は作品を観ながらに、これはロヒール・ファン・デル・ウェイデンの影響だろうか?と思っていた。が、何と、ローマの「メムリンク展」を観て、ああ、ハンス・メムリンクだったんだ!と納得した!!日を置かずローマで疑問が解けるなんて...)^o^(

「メムリンク展」での解説によると、元々イタリア(フィレンツェ)にはメムリンクの《祝福のキリスト》と《悲しみの聖母》が対の祭壇画として存在した。《祝福のキリスト》は現在ジェノヴァのパラッツォ・ビアンコに所蔵され、今回の「メムリンク展」に出展されている。一方《悲しみの聖母》は現在イギリスの個人コレクションに所蔵されている。


メムリンク《祝福のキリスト(Cristo benedicente)》パラッツォ・ビアンコ(ジェノヴァ)1485年

で、更に驚いたことに、「メムリンク展」ではメムリンク《祝福のキリスト》の隣に、ドメニコ・ギルランダイオ)による模写作品《祝福のキリスト》(1590年)フィラデルフィア美術館所蔵も並んで展示されていたのだ!

したがって、ウフィッツィの《悲しみの聖母》はペルジーノ(と工房)によるメムリンク作品の模写だということだよね。ちなみに、個人コレクションの《Mater Dolorosa》の画像は探したのだけど、不鮮明ながらこちらのサイトでなんとか見ることができる。ウフィッツィ作品をメムリンク作品とする画像が多すぎるのだ。

それにしても、ペルジーノやギルランダイオを始め、フィレンツェの画家たちはどれだけメムリンクに魅了されたのだろうね?! いや、ファン・エイク以来のフランドル絵画に、と言うべきかもしれない。

今回のローマ「メムリンク展」はメムリンクのイタリアとの関係性に焦点を当てていたので、まさにペルジーノがメムリンクからの影響を受けていることを証明する作品だとも言えよう。事前に観ていて正解だったかも。と言う訳で、「ウフィッツィ美術館展」を観ていて良かったぁ~(^^)v

イタリアに行ってきた。

2014-11-13 22:49:17 | 海外旅行
イタリアに行ってきた。今回は移動が多く、老体を酷使し過ぎてしまったようだ。疲労がなかなか取れない。寄る年波には勝てません(~_~;)

さて、今回の旅の目的だが、最初はボローニャのFさんに依頼した本『I Caravaggeschi』のピックアップと、ピエロ・デッラ・フランチェスカの追いかけだったので、トスカーナとペルージャを中心に考えていた。


『I Caravaggeschi』(SKIRA刊) 2冊組で合計の重さが6kg!


ピエロ・デッラ・フランチェスカ《サンタントニオ祭壇画》国立ウンブリア美術館(ペルージャ)

ところが、Fさん情報から観たい展覧会がいくつか出てきた。初期の日程を急遽変更、なんとか調整したものの、非効率的な移動であるのは否めない。早い時期に東京⇔フィレンツェ間の航空券を手配済みだったこと、本が6kgという重い本だったこと、あれやこれや移動に係わる縛りがあったのだ。まぁ結局、それを何とか凌いだ訳だが、やはり実際として大変だったのだ(笑)

今回の日程は...
・仙台 ⇒ 東京 ⇒ (フランクフルト) ⇒ フィレンツェ
・フィレンツェ ⇒ ボローニャ ⇒ フィレンツェ(1泊)
・フィレンツェ ⇒ ローマ(1泊)
・ローマ ⇒ フィレンツェ(1泊)
・フィレンツェ ⇒ ペルージャ(2泊)
・ペルージャ ⇒ アレッツォ(4泊)
          ・アレッツォ → サンセポルクロ → モンテルキ → アレッツォ(日帰り)
          ・アレッツォ → コルトーナ アレッツォ(日帰り)
・アレッツォ ⇒ フィレンツェ(3泊)
          ・フィレンツェ → プラート → フィレンツェ(日帰り)
・フィレンツェ ⇒ (フランクフルト) ⇒ 東京(1泊)
・東京 ⇒ 仙台

東京を入れたのは、東京で展覧会を観ているからだ。(okiさんチケットに感謝!)

出発前&到着後の東京で観た展覧会は...
<東京>
・東京都美術館「ウフィッツィ美術館展」
・東京国立博物館「国宝展」
・国立西洋美術館「ホドラー展」
・三井記念美術館「東山御物」
・松濤美術館「醍醐寺展」
・Bunkamura「夢みるフランス絵画」
・山種美術館「金と銀」

イタリアで観た展覧会は
<ローマ>
・パラッツォ・バルベリーニ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョへ)」展
・スクデリエ・デル・クイリナーレ「MEMLING(メムリンク)」展


パラッツォ・バルベリーニ「da Guercino a Caravaggio」展 ポスター


スクデリエ・デル・クイリナーレ「MEMLING」展 垂れ幕
<プラート>
・パラッツォ・プレトリオ美術館「Bellini, Caravaggio, Tiepolo ei maestri della Pittura Toscana e Veneta nella Collezione Banca Popolare di Vicenza(ベッリーニ、カラヴァッジョ、ティエポロとトスカーナとヴェネト絵画の巨匠-ヴィチェンツァPOPOLARE銀行コレクション)」展

好きとは言え、どれだけ過酷な旅だったか...(笑)
と言うことで、イタリアで訪れた美術館・教会等の詳細は...続きます(^^;