花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

卵・たまご・タマゴ

2006-10-29 23:09:09 | Weblog
今日はめずらしく代官山に行ってしまった。ゲストのるふなさんのお友達が習っているという「エッグアート」の世界を覗いてきたのだ。

先生の個展ということで、手の込んだ繊細華麗な作品ばかり。鶏や鶉だけでなく駝鳥や鵞鳥まで、様々な大きさの卵が華麗なアートに変身する。繊細な透かし彫りや機械仕掛けの卵もあるし、なんだかファベルジェ作のロマノフ家のイースター・エッグを想起してしまった。

さて、卵と言えば先日上野の森美術館で観た「ダリ回顧展」!ダリ劇場美術館の卵飾や「卵の家」は言うまでも無く、作品の中に見えるダリの胎内回帰願望と言ったらかなり興味深いものがある。私的に一番気になる「ナルシスの変貌」だってタマゴ♪ (今回の回顧展には来ていない>念の為)



じゃぁ、一体「卵」って何なのだろうとネット検索したら山田維史氏「卵形の象徴と図像について」を発見。そうそう、山田氏ってゲストのシルフさんが大好きなアーティストだった♪

まぁ、哺乳類に進化する以前の人類の遠いご先祖さまは卵から孵化していたはずだから、胎内の記憶を持っていたダリが胎内帰願望を持っていたって不思議は無い。もしかして、誰でも持っている願望かもしれないしね。

ということで、エッグアートからとりとめのない卵話でお茶濁し。かなり反省モード(^^;;;

国立新美術館 建築ツァー(2)

2006-10-22 23:45:20 | 建築
建築ツァーは2D展示室の右奥からいよいよバックヤードに向かった。扉を開けるとメタリックな光沢がまぶしい大きなエレベーターが並んでおり、私たちもこの中に乗り込み地下1階に下りて行く。展示作品の搬入ルートを遡る=搬出ルートを辿る。

   


地階にはたくさんの大きな搬送用カートが並んでいた。このカートに絵画を並べて運ぶのだろう。その搬入・搬出用の駐車場に向かう途中に、なんと「審査室」に案内された(・.・;)

   
  

『国立新美術館』は“THE NATIONAL ART CENTER , TOKYO”であり、“NATIONAL GALLERY”ではない。コレクションを持たず、国内最大級の展示スペースを生かした多彩な展覧会の開催、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及など、アートセンターとしての役割を果たす、新しいタイプの美術館とのこと。

結局、美術団体等に会場を貸したり、年に何回か自主企画展を行うと言うことらしい。ということは、この「審査室」というのは美術団体が主催する公募展用の審査室?!
審査室内は教室のように前には絵画を展示できるボードがあり、その作品を審査する人々の座る席が設置されていた。

まぁ、私的感想を言わせてもらえば、なんとも釈然としない美術館だと思う。国民の税金を使った美術館だが、美術団体に所属しないアーティストも利用できる開かれた美術館なのだろうか?多分、パリのグラン・パレやミラノのパラッツォ・レアーレをイメージするような展覧会場にするつもりなのだろうけど、これって美術館と呼べるものなのだろうか?そうか、だからこそ「アートセンター」なのか…と合点(^^;;;

さて、脇道から戻りバックヤードのルートは駐車場へと続く。なんとも広い駐車場である。搬入・搬出用に作品を降ろしたり上げたりできる四角い灰色のジャッキが自動制御で上下できるようになっている。さすがに便利な機能満載の新しい美術館だと感心した。

   


次に、地階のバックヤードスペースから、地階フロアのホールに向かった。このホールにはミュージアム・ショップやカフェが設けられる。ショップをチェックするのは美術館めぐりの楽しみのひとつだし、オリジナルグッズも期待できそうで要チェックかも♪

   


で、ツァーはエスカレーターで1階ホールへと戻った。が、ここで解散ではない。円錐エントランスを出て、正面の大きな円盤のような屋根を持った円柱形の建物に向かった。さて、これは何? 答えは傘立てだった!う~ん、やられた気分(笑)

   


ということで、最新の設備と機能を持った国立新美術館「ザ・ナショナルアートセンター・トウキョウ」の建築ツァーは解散となったのだった。ちなみに国立新美術館のロゴは佐藤可士和氏によるもの。




それにしても、多くの公立美術館が予算が無くて困っているのに、ずいぶん贅沢な美術館ができたものだと思う。いや、その贅沢とは建物についてだけであり、コレクションが無いというのも、やはりソフト面にお金を出し渋る行政の箱物志向の一面を見たような気もした(^^;;;

国立新美術館 建築ツァー(1)

2006-10-16 02:36:19 | 建築
来年1月にオープンする国立新美術館の建築ツァーに参加見学してきた。
国新美のサイトをチェックしていたら建築ツァーについての公募が出ていたので、すかさず申し込んでしまったのだ。実は別日の夜のツァーにも申し込んだが、こちらは抽選で外れてしまった(涙)


さて、初めて見たその外観は...

  


黒川紀章設計のこの新しい美術館は膨らみのあるガラス張りの造形が面白く、円錐型のエントランスから中に入ると、吹き抜けのロビーは明るい採光に満ちていた。

  


まず、ツァーはエレベーターで3階に上り、特別に屋上庭園(中庭)に案内され、周りを取り囲む、ライブラリー・講堂・研修室などをガラス越しに覗くことができた。この庭園には竹が植えられていてオシャレ。各部屋の扉は灰白色で、波をデザインした赤い取手が印象的なのだが、これは黒川氏のこだわりのデザインだそうだ。




3階にはポール・ボキューズが日本で始めて開くレストラン「ポール・ボキューズ・ミュゼ」ができる。既に店頭メニューまで用意されていた。美術館閉館後も夜10時まで営業するそうなので、ぜひ食べに行かなくちゃ、と思ってしまった(笑)。一階からそびえる丸く大きな柱の上に位置し、3階フロアと直結している。2階フロアにも同じように円柱の上にカフェのスペースがある。

   


エスカレーターで2階に下り、展示スペースを見学する。2階フロアの壁は縦ストライブ木の間は白く見えるが、実は淡く橙色の光る照明が中に隠されている。夜はこの照明が特に映えるそうだ。




さて、展示スペースだが、とにかく広い!2階には企画展示室が3室並ぶが、一番左の2Eは特に天井が高くて開放感があった。可動式のパネルでフレキシブルに仕切ることができる。この展示室はインスタレーションとか大きな彫刻に向くだろうなぁ、などと思ってしまった。ところがそれだけでなく、コンピュータを使った展示物を想定して床にはPC用の配線が縦横に設置されていた。更に、この新美術館は空調口は床にあって、小さな穴の開いた床面の上に手をかざすと確かに空気が吹き出ていた。
真ん中の2Dは展示用の壁が既に設置されていて、その壁面を見ているだけでかなり多数の絵画が展示できそうだ。

  

ということで、次回、地階のバックヤード見学に続く。

「ウィーン美術アカデミー名作展」(1)

2006-10-14 13:31:46 | 展覧会
ゲストのcojicoさんへのレスを書きながら、以前「エロイカより愛をこめて」の『パリスの審判』の一コマをスキャンしたことを思い出し、画像を探し出した。作者である青池保子さんの隠し味はたまらない。なにしろマリアーノ・フォルトゥニーまで何気に登場するなんて渋すぎ!♪ ちなみに、『パリスの審判』は旧スターリン時代に略奪されたクラナッハの絵の返還をめぐる物語である。

ということで、クラナッハ(図録表記はクラナハ)も来ている「ウィーン美術アカデミー名作展」(損保ジャパン東郷青児美術館)を観てきた。

この秋に開かれている主要な展覧会を観て廻ったのだが、その中で私的に一番観応えがあり満足感を覚えたのはこの展覧会だ。なにしろ代表作品が多く来ているうえに内容的にも充実、また、その作品が北方ルネサンスからクールベまでの西洋古典絵画という、まさに私のための展覧会だった(笑)

ウィーン造形美術アカデミーのギャラリーは、ヒエロニムス・ボス《最後の審判》を観るために訪れたことがある。ここは珍しく美術館図録は置いていなかったし、大学付属だから広報活動はしないのかなぁと思っていたら、なんと向こうから出張興行でやってきてくれたのが嬉しい♪

まず、展覧会のオープニングは意外なことにヴァン・ダイク《15歳の自画像》だった。画家自身の若々しい才気と強い自負心がこちらに向けた視線から感じられる作品である。が、クレーフェやクラナッハの前に展示するのは時代的に、ん?、とも思う。まぁ、アカデミーのサイトでも代表作品に位置づけられているようで、美術大学という性格を象徴する作品だからこそなのだろう。

で、その後にルーカス・クラナハ(父)の《不釣合いなカップル》《ルクレティア》《ヘラクレスとアンタイオスの戦い》と続く。クラナハを面白く思うのは皮肉っぽい醒めた感触を感じることで、きっと画家自身もそうなのかもしれない。ルターの親友でありながら宗教画を多く描いていたりする。注文があれば何でも描くのが当時の画家かもしれないが、割り切れる怜悧さがあるということだと思うのだ。もちろん優れた宗教画も多く描いているが、コルマールのウンターリンデン美術館《磔刑》などは、最新モードで着飾ったマグダラのマリアがキリストよりも目立ってしまうという不思議さも併せ持つ。

さて、《不似合いなカップル》はそんなクラナハらしく、ぬけぬけとした二人のやりとりを楽しみながら皮肉たっぷりに描いており、好色老人の財布袋に手を入れる若い女性の何食わぬ表情なんてまさに絶品(笑)。この男女を入れ替えた作品(ブダペスト国立美術館)もあるようなので参考までにご紹介(^^;;。左はウィーン作品。右はブダペスト作品。

    
   
きっとこのような世俗画の延長線上にCARAVAGGIOの「女占い師」や「いかさま師」があるのだよね。

ところが、《ルクレティア》は意外なことに皮肉さを感じさせない悲壮さがあって、思わず絵の中に惹き込まれてしまった。



描いた主目的はヴィーナス像と同じかも知れないけれど、それでもテーマに相応しい表情は秀逸だと思う。西美にあるグイド・レーニの同主題なんかよりも私的には好ましい。

《ヘラクレスとアンタイオス》は北方ルネサンスの画家に多く観られるテーマで、どちらかというとムキムキ筋肉を誇張する作品をよく見ているが、残念ながらこのクラナハのレスリングは迫力に欠ける(笑)。彼の描く独特の優美な曲線を持つ女性像に比べ男性像があまり魅力的ではないのは画家自身の嗜好なのだろうか?(^^;;;

それにしても、同時代人であるデューラーやグリューネヴァルトに生真面目さを感じるのに、クラナハには世俗的なニュアンスが濃厚に感じられ、そこがクラナハ的な魅力なのだなぁと思った展覧会だった。

ということで、一応、まだ続く予定(^^ゞ

お絵かき

2006-10-03 23:16:21 | 西洋絵画
ゲストの桂田さんには遠く及ばないのだが、ちょっと私的な所用でお絵描きしてしまった(^^ゞ。もちろん、ヘタ(笑)

ちょうど手元にあった貰いもののクレヨンで描いたのだが、これがなかなかに扱い難かった。なにしろ上に色が載らないし…とほほ。

  

模写すると、CARAVAGGIOが画面構成や果物の色の配置を計算しながら描いていることがひしひしと伝わって来る。黄味がかった背景が光の効果を盛り上げていることにも気づく。ふと、フェルメールの白い壁を想起してしまった。もちろん、ド・ヘタの私には光と影を描き込む力も無い(涙)

で、PCに取り込んで色を載せて、アラを隠すために縮小(笑)



CARAVAGGIOの著作権は既に時効だし、私が模写して・加工したって誰の迷惑にもならないと思うのだが、法的に何か抵触するだろうか??