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花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

2025初夏のイタリア旅行(4)ローマ「CARAVAGGIO 2025」展 サクッと感想①

2025-06-23 23:03:22 | 展覧会

「CARAVAGGIO 2025」展は日時予約制だが、会場のパラッツォ・バルベリーニの入口には既に人々の列ができていた。展覧会は既に3月から始まっているが、相変わらずの人気ということなのだろう。実際、会場内もかなり混雑していた。

今回の展覧会については「現代とのつながりの見えない展覧会である」との批評もあるようだが、それは仕方がないことだと思う。以前、元Metのキース・クリスチャンセンが「展覧会とは集めることのできた作品の結果である(意訳)」とクールに書いていたが、特にカラヴァッジョのような現存する作品の極めて少ない画家の回顧展なのだから、24作品(「?」も含め)を集めた結果を素直に褒めてあげたくなる。

例えば、2009年ボルゲーゼ美術館「Caravaggio/Bacon」展のような、カラヴァッジョと現代画家との競演であれば「現代とのつながり」もわかりやすい。しかし、多分、今回の趣旨はパラツォ・バルベリーニに《マッフェオ・バルベリーニの肖像》が帰還したことを寿ぐ展覧会なのだと思う。(未だ買取交渉中??)

さて、展覧会のオープニングは回顧展の定石としてカラヴァッジョ初期作品、それも私的に「?」作品から始まった。(美術ド素人の勝手な「?」なので申し訳ありません。m(__)m

 

左)カラヴァッジョ「?」《ナルキッソス》(年代表記無し)バルベリーニ国立古典絵画館

右)カラヴァッジョ「?」《果物を剥く少年》(1595-96年頃)英国ロイヤルコレクション

2月の旅行記でバルベリーニの《ナルキッソス》が「CARAVAGGIO(?)」になったことを書いたが、今回の展覧会では(?)が省かれており(解説では一応触れてはいたが)、バルベリーニ側の苦慮が伺われた。

《果物を剥く少年》は解説にもあったが数ヴァージョン存在し、真作・模作については微妙である。あくまでも美術ド素人の見解ではあるが、果物の写実描写は優れているものの、人物表現の拙さを見ると今回の英国作品も多分「?」のような気がする(汗)。

ちなみに、東京の石塚コレクションにも《果物を剥く少年》の別ヴァージョンがあったはずで、まだコレクション中にあれば幸いである。(もし、あれば、いつか拝見したいです。>石塚様)

そして、カラヴァッジョの自画像と言える《病めるバッカス》が並んだ。

カラヴァッジョ《病めるバッカス》(1595-96年頃)ボルゲーゼ美術館

先に並んだ2作品との質の違いが際立つ。今回、私的に目についたのは果物が置かれたテーブルである。遠近法的には歪みがあるが、ああ、《キリストの埋葬》の石棺に似ているなぁ...と。この頃のカラヴァッジョは未だ角の凸面効果に気付いていない。若いなぁ。しかし、明暗効果による人物の造形、そして瑞々しい果物の静物描写の巧みさは、既に画家の力量を際立たせている。



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