花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「東京海上ビルディング」。

2022-05-02 13:55:34 | 建築

今回、仙台から国立新美術館へと東京駅経由で直行したが、当然、地下鉄千代田線に乗るため二重橋まで歩く。いつもは地下道を通って移動するが、今回は地上の行幸通りを歩いて移動した。

和田倉門あたりは「三の丸尚蔵館」に行きすがら、周囲のビルに注意を払うこともなく急ぎ通り過ぎるだけだったが(汗)、今回は「東京海上日動ビル」を見るために立ち止まった。

周囲のコンクリートビルとは一線を画す、レンガ色で品のある佇まいが本当に美しい建物だった!!

建築家前川國男が設計した「宮城県美術館」移転問題は、移転無し存続、で決着したが、同じ前川設計の丸の内「東京海上ビルディング」が再開発で解体されることになり、やはり保存を求める声が上がっている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/95654

ビルを愛する人々の声を集めた本も出ている。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784860351175

機能性を追求したコンクリートビルとは違う、建築物としての美を併せ持つこのビルは、私的にも後世まで残してほしいと思う。


白井晟一「松濤美術館」の《謎の蛇口》(^^;

2022-02-05 22:19:20 | 建築

録画していた『HNK日曜美術館』の「天使か悪魔か 建築家 白井晟一」を見た。なんだか異色の建築家だなぁと面白く見てしまい、「白井晟一 入門」展を開催した松濤美術館や他のサイトを色々チェックしてみた。

https://shoto-museum.jp/exhibitions/194sirai/

https://shoto-museum.jp/wp-content/uploads/2021/11/Sirai_PR_Web_1115-1.pdf

松濤美術館は展覧会を観に何度か訪ねたことがあったが、恥ずかしながら建物自体に注目したことは無く、今回サイトを見て改めて美術館の建物全容を知ることになった。美術館カフェも利用したことがあり、黒い革張りの大きな椅子が懐かしい。他の美術館カフェとは違う大人っぽい雰囲気だったなぁ。

https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/25043

http://tokyopasserby.blogspot.com/2011/03/01_26.html

で、ネットの松濤関連画像を色々興味深く眺めていたら、美術館壁面の《謎の蛇口》が登場し、昔は全然気が付かなかったと思うのと同時に、あれっ、この形似ているなぁ!!と想起した「もの」があった。もちろん、その「もの」には蛇口は無かったのだが。

下↓ 白井晟一による「松濤美術館」右壁の《謎の蛇口》。

下↓ 想起した「もの」

↑ フィレンツェにある初期ルネサンス建築の屋内エントランスで見つけた小さな「fontanella(水飲み・手洗い)」(多分)である。昔は水が出ていたのだろうか??

扉の上のルネッタにはアンドレア・デッラ・ロッビア《受胎告知》が。

すなわち、そう、フィリッポ・ブルネレスキ(Filippo Brunelleschi, 1377 - 1446年)設計(後継:フランチェスコ・デッラ・ルナ)「孤児養育院 Ospedale degli Innocenti )」(現在は美術館)である。

美術ド素人の妄想だが、もし白井がこの小さきフォンタネッラを頭の片隅に覚えていて、ふと思い出して取り付けたとしたら...楽しいのになぁと思ってしまったのだった


「カジノ・ルドヴィージ」オークションは4月7日に持ち越し。

2022-01-20 12:36:27 | 建築

カラヴァッジョの描いた天井画のある「カジノ・ルドヴィージ・ボンコパーニ」がオークションに出されることは知っていたが、2022年1月18日のネットオークションでは入札者がでなかったようで、2022年4月7日に通常のオークションに出されるようだ。

https://artemagazine.it/2022/01/19/asta-casino-dellaurora-tra-i-possibili-contendenti-anche-bill-gates/

私的には2010年のカラヴァッジョ没後400年展覧会の時に「カジノ・ルドヴィージ」を訪れることができた。訪問記を書いているので下記URL ↓ ご参考まで。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/b2dc4a8427c1593ab46952d1cee876da

 

イタリアでは政府の介入を求めるネット署名活動が行われているが、私的にもイタリアの公的機関が購入して欲しいところだ。(購入希望者予想にビル・ゲイツの名が挙がっているが、個人的感想だが、ダ・ヴィンチの手稿が日本で公開された時の展示が酷かったので、彼には落札して欲しくない。)


サント・ステーファノ聖堂(ボローニャ)。

2021-09-07 22:05:16 | 建築

NHK「まいにちイタリア語」テキスト9月号の入門編は「エミリア=ロマーニャ州に注目!教会や建築の見どころもいっぱい」。ということで、懐かしのボローニャ周辺が特集されていた。

なかでも私的に嬉しかったのは「サント・ステーファノ聖堂(La Basilica di Santo Stefano)」が扱われていたこと。思わずボローニャで撮った写真をチェックしてしまった

ボローニャのサント・ステーファノ聖堂は、「教会から教会へと、壁一枚で繋がっているように建てられている『七つの教会群』。起源はとても古く、一説によると5世紀までに遡る。外観は素朴なレンガ色だが、よく見ると模様をなしているところも...。内部にはさまざまな時代の様式が混在しており、迷路のような『パワースポット』のような、独特な雰囲気の空間が広がっている。」(NHKテキストより)

※ご参考:「Santo Stefano Bologna」公式サイト

https://www.santostefanobologna.it/

※ご参考:「平面図」(各教会が壁に接して建てられているのがわかる)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:S._Stefano_(Bologna)_-_planimetria.svg

 

Chiesa del Crocifisso(十字架の教会)

Chiesa del Santo Stefano(聖墳墓教会)の中にある古い説教壇

Cortile di Pilato(ピラトの中庭)。中央に見える建物は聖墳墓教会の建物外観。

 

Il Chiostro(中世の回廊。中央に井戸)

ロマネスクとゴシックが混在しているような...??

床面の色石模様。

ボローニャと言えば「サン・ペトロニオ聖堂」が有名だが、私的にはこの古い歴史を纏った「サント・ステーファノ聖堂」の方が好もしい。初めてFさんに連れて来てもらった時は、暗くて迷路のような内部に驚いたものだったが、Fさんお推めの奥の売店の品揃えも楽しかった。ボローニャの語学学校に通っていた時は学校が近くだったので、ふらりと何度か訪ねたし、私的にもボローニャのお薦めスポットである


ヘルムート・ヤーン「ソニーセンター」(ベルリン)。

2021-05-10 17:02:58 | 建築

ネットのニュースで知ったのだが...

「ヘルムート・ヤーン氏死去 世界的建築家、交通事故で」(合掌)

https://news.yahoo.co.jp/articles/56b72b58c6c85ebbf0acb864f2c4caa512f41c9c

ヘルムート・ヤーン(Helmut Jahn)氏は1940年、ドイツに生まれ、66年シカゴに移住。米国で建築を学び、ワシントンの連邦捜査局(FBI)本部の設計に参加したほか、JR東京駅前の「グランルーフ」やベルリンの「ソニーセンター」などを手掛けた。

私が知っているのは東京駅「グランルーフ」の他にベルリン「ソニーセンター」。

ベルリン「ソニーセンター」中央広場。

2007年6月、ポツダム広場にあるホテルに宿泊した時、ベルリン国立絵画館の帰りに「ソニーセンター」中央広場でビールを飲んだ♪ 夕方の心地良い風に人々がそれぞれにくつろぎ、本当に気持ちが良かったなぁ...。


リミニのアルベルティ。

2021-01-13 23:19:22 | 建築

今年の初買いは、元旦にAmazonポチっと買いした 飛ケ谷潤一郎・著『世界の夢のルネサンス建築』(エクスナレッジ)だった。

「ルネサンス建築とは何か? 今なお世界中の人々を魅了してやまないのはなぜか? 新しくてちょっと変わった、ルネサンス建築の謎と魅力をボリュームたっぷりでお届けいたします。」(エクスナレッジHPより)

https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767827902

未だ完読していないので感想は改めて書きたいと思っているが、ふふ...リミニの「テンピオ・マラテスティアーノ」が出てきたので、2015年のマルケ旅行のデジカメ画像をチェックしてしまった。そして、気が付いてしまったのだった。あ!これは....と。

まずは、以前にも紹介したアルベルティ設計の「テンピオ・マラテスティアーノ」だ。

「ルネサンスの時代に建築オーダーを体系的に捉え、それをさまざまな方法に活用した最初の建築家は、レオン・バティスタ・アルベルティ(1404~72)である。彼の最初の建築作品であるリミニのテンピオ・マラテスティアーノは、古代ローマの記念門モティーフを聖堂ファサードに適用した最初の例である。」(『世界の夢のルネサンス建築』10p)

下写真は「テンピオ・マラテスティアーノ」のファサード正面だ。

で、次はリミニ市内に残っている「アウグストゥス帝の記念門」だ。

確かにこの記念門がモティーフになっているのが了解される。

で、気が付いてしまったのだ!! もうひとつのリミニの建築物に(;'∀')

上写真は「リミニ駅」である。下写真は「テンピオ・マラテスティアーノ」の側面である。

ねっ!「リミニ駅」は「テンピオ・マラテスティアーノ」をモチーフにしていると思うし、すなわちそれは「アウグストゥス帝の記念門」をも顕彰しているということなのではないだろうか???

以前、磯崎新+新保淳乃+阿部真弓・著『磯崎新の建築・美術をめぐる10の事件簿』(TOTO出版)を読んだことがある。

https://jp.toto.com/publishing/detail/A0308.htm

当時、読みながら「蝶番(ヒンジ)としてのアルベルティ」に興味を惹かれたものだか、その後、自分でアルベルティ建築を実際に観たり、本で読んだりするようになり、やっぱりアルベルティは凄い!と納得できるようになったのだったよ


「ほぼ日」を見ていたら...。

2017-04-15 21:58:28 | 建築

糸井重里さんの「ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)」を見ていたら、「東京特集」で藤森照信さんとの対談が掲載されていた。なんと藤森さんが江戸東京博物館の館長だとは!! 

藤森さんの『建築探偵の冒険〈東京篇〉』(筑摩書房)がとても面白かったものだから、私的に密かにファンになっていたのだ。江戸東京博物館長就任は、驚きと共になんだか嬉しかった(^^) 

そもそもは、某文化センターのH先生の講座終了お別れ会で、H先生に建築専攻の切っ掛けをお尋ねしたところ、「高校生の時に『建築探偵の冒険』を読んで…」とのお話だった。受講生仲間からも「私も読みました!凄く面白かったです」との声が挙がり、これはぜひ私も読まなければ!!と、早速読んだのだった。 

『建築探偵の冒険』は軽妙な語り口で、初めて知ることが多々。東京に住んでいた頃だったら、きっと現場検証(?)に行っていただろうなぁと思った(^^;。ちなみに、イタリア語教室で屋根裏部屋の話が登場し、先生が「mansarda」と言いながら三角屋根をホワイトボードに描いた時なんて、マンサールのマンサード屋根だわ!と、ひとり興奮しちゃったほどなのだから(笑)

ということで、思いがけず藤森照信氏の江戸東京博物館長就任を知り、まことに目出度い事だと思った次第である(^^ゞ


今和次郎を知る。

2015-05-22 02:04:46 | 建築
某文化センターで月に1回、建築史講座を受講している。今回のテーマは今和次郎『日本の民家』(岩波文庫)を中心にしたものだったが、併せて「考現学」(modernologio)にも触れた。いやはや、今の広範囲な研究対象を知るにつけ、こんな学者がいたのか(?!)と驚いてしまった(・・;)

今 和次郎(こん わじろう、1888年(明治21年)- 1973年(昭和48年))は、早稲田大学教授。建築家。民俗学研究者。「考現学」の創始者。

今は元々芸大(東京美術学校図按科)卒なので、民家のスケッチも上手くて見易い。





先生もおっしゃっていたが、今はフィールドワークを主体とし、写真を撮るように当時の生活の諸々をスケッチ(写生)している。要するに田舎も都会も探究心の趣くまま被写体を手当たり次第「激写(スケッチ)」しまくり、更には統計まで取っていた(!)のだと思う。

「考現学」の一切しらべでは、銀座のカフェー服装採集など、めちゃくちゃディープで広範囲な好奇心の有り様には思わず笑ってしまう(^^;;。




 


赤瀬川原平たちの「トマソン」にも影響を与えたらしいが、私的にはトマソン(野球選手じゃない)よりも今の方が、そのエネルギーの過剰さ故に断然面白い。

2012年に国立民族学博物館で展覧会「今和次郎 採集講義―考現学の今」があったようだが、こんなに面白い学者だと知っていれば観に行ったのに...。Youtube動画にこの展覧会の解説映像総集篇があったのでご参照あれ。民博館長の語りにより、今和次郎の全体像が見えてくる。

ちなみに、建築史講座の先生が長期出張に出かけるため、講座が6月で終了になる。ド素人の愚問に(唖然としながらも)嫌がらずに答えてくださり、感謝&頼りにしていただけに残念!なにしろヴァザーリ『美術家列伝』全訳にも参加されている先生なのだ。

東京ミッドタウン

2007-04-05 23:51:49 | 建築
日曜日、青山ユニマット美術館で「アンドリュー・ワイエス展」を観た帰り、青山墓地の桜を見ながら、ついでとばかり噂の東京ミッドタウンまで足を伸ばしてしまった。かなりミーハーかも(^^ゞ



混んでいなかったらサントリー美術館に寄ろうと思ったのだが、もちろんビルの中は激混み(笑)。美術館は後からゆっくり来ようとあきらめ、サックリとお店など覗いてみる。

近年できた話題のビルの中ではオトナ度が結構高いんじゃないかと思う。和風のお店などもあり落ち着いた雰囲気。原宿の某ショッピングビルや六本木の某ビルより広くて歩きやすいし、高級品から無印良品まであるので、一応庶民の私でもお買い物ができそうで良かった~。さっそく手提げバッグとTシャツを購入(^^;;

さて、これからサントリー美術館を含めた六本木トライアングルがどのような協力をして行くのか、こちらにも期待したいところだ。

イタリア教会建築の縞模様

2007-03-17 23:42:30 | 建築
ゲストのCojicoさんのブログを拝見していたらシエナが取り上げられていた。
私はまだシエナには行ったことがなく、いつか見てみたい街だ。紹介されていたドゥオーモの外壁や柱は暗緑色と白の縞模様でできている。あ、プラートのドゥオーモと一緒だ!と懐かしくなり、ごそごそとデジカメ画像を点検してしまった(^^ゞ



プラートのドゥーモ(サン・ステファーノ教会 Catedrale di S.Stefano)はCojicoさんの解説にも出てくる「Verde di Prato」プラートの緑石を使っており、こじんまりとした可愛い聖堂だ。

プラート行きはアルベルティ絵画館のCARAVAGGIO「荊冠のキリスト」を観るためだったので、ドゥオーモの開館時間を調べることなど、つい頭に浮かばなかった(汗)。案の定、帰り道に寄ったらお昼休みで閉じていたのだった(涙)。ドゥオーモはフィリッポ・リッピのフレスコ画で有名である。また訪ねる機会もあるだろうとやせ我慢。壁画などプラート美術については、以前「プラート美術の至宝展」でも知ってはいたのだが…(ぐすん..涙)。

ちなみに、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会やサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会(ドゥオーモ)にもこの緑石は使われているよね。

   
サンタ・マリア・ノッヴェラ教会                     サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会 

当時は教会の外壁を縞模様で飾るのが流行ったのだろうか?ついでに紹介してしまうのは、白と黒の大理石でできたジェノヴァのサン・ロレンツォ教会(Genova San Lorenzo)。ファサードを見るとゴシック建築だ。すぐ近くにドーリア家の建物(Casa di Doria)があって、これも白黒の縞模様でできていた。部分的にルネサンス様式だと思うのだが、ヴェネツィア様式とも一味違う優雅さがあり、海の荒くれドーリアのイメージを意外にも裏切ってくれた(^^;

    
サン・ロレンツォ教会            ドーリア家の建物(現在はオフィス)

こうして画像をUPしていたら、イタリアの教会建築の縞模様がなんだか気になってきた(^^;;;