花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

アンゲラ・メルケルとニナ・ハーゲン。

2022-12-30 13:45:15 | テレビ

NHK年末特番「2022年 このドキュメンタリーがヤバイ」に、映像の世紀バタフライエフェクト「ベルリンの壁崩壊 宰相メルケルの誕生」がエントリーされていた。

https://www.nhk.jp/p/ts/QLKY9QQKK2/episode/te/WK7P6MW876/

私も本編を既に見ていたが、本当に「神回」とも言うべき心動かされるものがあった。現在、NHKプラスでも配信中だ。

「冷戦下の東ドイツ。抑圧された社会で生きる3人の女性がいた。見えない将来に絶望していた物理学者のアンゲラ・メルケル。体制への批判を歌にこめた歌手ニナ・ハーゲン。デモで自由を訴えた学生のカトリン・ハッテンハウワー。1989年、政府報道官のひとつの失言から始まったベルリンの壁崩壊は、巨大な嵐を巻き起こし、3人の女性の運命を変えていく。宰相メルケル誕生に秘められた、絶望の中から希望をつかんだ女性たちの物語。」(NHKサイト)

やはり、圧倒的に感動するのは昨年(2021年)のメルケル首相退任式での音楽演奏場面である

https://www.youtube.com/watch?v=Ag3TieJDUW8

ニナ・ハーゲンの歌った「カラーフィルムを忘れたのね」が東ドイツで一世を風靡したヒット曲であり、アンゲラ・メルケルの(東ドイツの若者たちの)モノクロの青春時代をも象徴する曲だったとは...。

(独語動画)https://www.youtube.com/watch?v=EKe9ybFDQ1A

(和訳動画)https://www.youtube.com/watch?v=8G7NXHB0BBk

私的には、東ドイツのポップスターだったニナ・ハーゲンの可愛らしい姿も驚きであったのだが...

その昔(1982年)日生劇場で、作・清水邦夫、演出・蜷川幸雄「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」を観た。劇中で使われていた楽曲が実に効果的で、思わず2枚のアルバム(LP)を買ってしまった。その中の1枚がニナ・ハーゲンのものだった。なぜか今でも捨てられず持っている。

このアルバムはニナ・ハーゲンが西側亡命後に作ったパンク・アルバムである。

ご参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=qxuJ39YvFI4

17:34から始まるオペラ風に歌い上げる「Naturträne」は本当に名曲なのだよ!!

ちなみに、NHK番組の中でメルケル首相とニナ・ハーゲンが同席する場面がある。パンク姐さんのニナが怒って席を立つのだが、メルケルが怒りもせず苦笑している姿が印象的だった


国立西洋美術館「自然と人のダイアローグ」展 遅ればせサクッと感想。

2022-12-28 16:21:53 | 展覧会

コロナ禍3年目の2023年がもう終わろうとしているが、今年観た展覧会・常設展でまだ感想を書いていないものがあり、とりあえず駆け込みでサクッと感想を書いておきたいと思う。

O先生曰く、展覧会とはエフェメラルなものであり再現不可能である、と。確かに!であり、だからこそ、手を変え品を変えのカラヴァッジョ展を追いかけたりもするのだし

国立西洋美術館「自然と人のダイアローグ ー フリードリッヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」展は、久々に作品の並びの妙に心動かされたし、フォルクヴァング美術館と西美作品のコラボにより今まで気づかなかった新発見もあり、なかなかに展覧会らしい展覧会だったと思う。それに、写真撮影可だったのもポイントが高い

https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2022nature.html

特に目を見張ったのは、モネ《舟遊び》とリヒター《雲》が並んだコーナーだった。

(左)クロード・モネ《舟遊び》(1887年)国立西洋美術館 (右)ゲルハルト・ヒヒター《雲》(1790年)フォルクヴァング美術館

モネの描く揺蕩う川面に散り映る雲と、リヒターの描く透ける陽光を孕む群雲が、コーナーの中で出合い頭、それぞれに呼応し、コーナーを超えて拡大する空と風景がどこまでも広がっていくかのように思えた。「自然と人のダイアローグ」というテーマを象徴しているような作品の並びであり、展示空間であった。褒めちゃう

また、二つの美術館作品が並ぶことにより、私的に新たに気づいたことがある。ゴーガンのサインである。

ポール・ゴーガン《海辺に立つブルターニュの少女たち》(1889年)国立西洋美術館

ポール・ゴーガン《扇を持つ娘》(1902年)フォルクヴァング美術館

西美《海辺に立つブルターニュの少女たち》は常設展示で何度も観ていたが、ゴーガンのサインの上に描かれている小さな花たちが、単なる道端に咲いている花ではなく、サインを彩っている花なのだと、ようやく気づくことができたのである。(花は少女たちのイメージに沿っている可能性もあり?)

ポール・ゴーガン《扇を持つ娘》一部拡大

なぜならば、《扇を持つ娘》のサインの下にも青い花が描かれていたのだから。

ポール・ゴーガン《扇を持つ娘》一部拡大

まさか傲慢なイメージのゴーガンがサインと花をセットにするような、ちょっとオトメチックな面をも持っていたのか?と驚いてしまったのだ。多分、今ごろ気づくなんて、と、ゴーガン好きには嗤われるのかもしれないが、元々古典絵画好きなので許してね

ということで、やはり展覧会は作品の並びの妙がキモなのだとつくづく思ったし、その妙がエフェメラルなものだからこそ、実際に観なくちゃ何も言えないなぁと思うところでもあった。


NHK仙台放送局「岸辺露伴は動かない展」を見た。

2022-12-27 14:19:28 | 展覧会

NHK(総合)で年末恒例 「岸辺露伴は動かない」新作放送に伴い、企画展「岸辺露伴は動かない展」がNHK仙台放送局で開催中であり、昨年に引き続き興味津々で見てきた。

「12月26日(月)と27日(火)に2夜連続で放送のドラマ「岸辺露伴は動かない」。
仙台市出身の漫画家、荒木飛呂彦さんの人気作「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを原作に、高橋一生さん主演で実写化したものです。」(NHK仙台放送局サイトより)

※企画展サイト:https://www.nhk.or.jp/sendai-blog/info/477263.html

昨年はガラス空間にコンパクトに展示されていた露伴先生の仕事机が、今年は展示会場に空間拡大&充実の威容をもって展示されていた。作画用のペン等道具類はもちろん、机周りの小物が色々と凝っているのが目を惹く。

私的に興味深かったのは机上の書籍類で、画集が置いてあるところから、露伴先生がニコラ・ド・スタール(Nicolas de Staël、1914-1955)がお好きなことがわかった。(荒木先生がお好きなのか??美術制作スタッフがお好きなのか??)

脇机(引き出し)にはレイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』が。下にはルドゥーテ本も。露伴先生はやはり自然系がお好きなのね

さて、今回も衣装展示が面白かった。なにしろ細部まで凝っているし。

下↓の露伴先生のシャツのカフスに注目!!カフスボタンにペン先が入っているのだよ。さすが、漫画家である露伴先生を象徴しているよね。

 

下↓は編集者の泉京香ちゃんのブラウス。手の込んだオーガンジーのヒラヒラがとっても素敵で可愛い

下↓はジャンケン小僧の衣装だが、ビスチェ(風サロペット?)の穴全部に本物の安全ピンが止めてあり、装飾デザインとしても面白い。

その他、衣装や小道具、脚本なども色々展示されており、番組のシーンを想起しながら、楽しく見ることのできた企画展だった。

で、最後にスマホでアンケートに答えたら、記念のホルダー(A5)を頂いた。表が岸辺露伴先生、裏が泉京香ちゃんになっている。

A5ってチケット類を入れたり、色々と使い道があるので嬉しかった。この企画展も無料だし、NHK受信料を払っている甲斐があったわ(笑)。


サザーランド《チャーチルの肖像》。

2022-12-25 23:24:31 | 西洋絵画

Netflixで「クラウン」の第2シーズンを見ていたら、グレアム・サザーランド(Graham Vivian Sutherland,1903 -1980)が登場した。彼がチャーチルの肖像画を描き、秘書が(妻も承認する)その絵を燃やすという、実にドラマチックなシーンが印象的だった。

https://en.wikipedia.org/wiki/Portrait_of_Winston_Churchill_(Sutherland)

この失われた《チャーチルの肖像》を見ていると、ほぼ同じ頃(1953年頃)ベーコン(Francis Bacon,1909 -1992)も《インケンティウス10世》シリーズを手掛けており、何やら権力者への眼差しが重なるような気もしてくる

更に興味深いのは、ベーコンとルシアン・フロイト(Lucian Freud, 1922 - 2011)も親しかったことである。

https://www.afpbb.com/articles/fp/2530388

2007年キンベル美術館で「The Mirror and The Mask(鏡と仮面:ピカソの時代の肖像画)」展を観た時、現代美術苦手の私にもベーコンからフロイトへの流れが違和感なく了解できた理由がわかったような気がした。

https://kimbellart.org/exhibition/mirror-and-mask

ということで、思いがけず、この時代の英国の現代美術の方向性を改めて思いめぐらすことのできた《チャーチルの肖像》であった。(って、現代美術苦手が何を言う?なのだけどスミマセン)


新PC無事起動 (;'∀')

2022-12-18 16:23:31 | Weblog

新PC(データ移動済)の納品と起動調整が無事完了した(ほっ)。

Windows11の操作もあまり違和感ないし、でんき屋さんが便利機能も設定してくれたので、操作性も向上したような気がする。やはり、新しいPCって素直に嬉しい

PCが使えない期間、スマホだけでは心許なかったし、ストレスを感じてしまった。年寄世代はスマホよりもPCの方が扱いやすい。

ということで、ようやく普通の生活に戻れたような気がする。ブログ更新もしなくちゃね

 


PC不調(^^;

2022-12-07 22:44:59 | 使うもの

使っているPCが突然不調に陥り、時々電源が入らなくなった。さっそく電機屋さんのサポートセンターに駆け込んだら、7年経過はPCの買え替え時かもしれないと言われ、年末のこの時期に泣く泣く新PCを購入

旧PC→新PCへのデータ移行と起動作業は面倒なのでサポートに一括依頼。取りあえず旧PCのデータ・バックアップは完了し、今日、手元に旧PCが戻ったところだ。新PC納品&設置は18日の予定だが、その間に旧PCが運悪くダウンする可能性も有る

と言うことで、もしかしてその間にブログも音信不通になるかもしれないので、どうぞご了承くださいませ

 


フランチェスコ・デル・コッサ(2)

2022-12-03 22:25:12 | 西洋絵画

ドレスデンのアルテマイスターにあるフランチェスコ・デル・コッサ《受胎告知》を勉強したのだが、なかなかに興味深い作品である。でも、ドレスデンで観た記憶が残っていないのが残念ではある

フランチェスコ・デル・コッサ《受胎告知》(1470-72年)ドレスデン・アルテマイスター

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Francesco_del_Cossa_-_The_Annunciation_-_Google_Art_Project.jpg

私的には全体的にマンテーニャやヴェネツィア派の影響を感じたのだが、M先生は大天使ガブリエルの向きのねじれ具合(斜に後ろ向き)がフェッラーラ派らしいとおっしゃっていた。確かにであり、コッサの後ろ向き加減のガブリエルはかなり珍しいと言える。

で、私的にふと想起したのがオヴェターリ礼拝堂で観たマンテーニャ《聖ヤコブの殉教》場面であり、プラドの《聖母の死》をも想起してしまったのだ。

(窓からマントヴァ風景が見える)

アンドレア・マンテーニャ《聖母の死》(1461年頃)プラド美術館

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Andrea_Mantegna_047.jpg

(ピンボケ写真すみません(^^;)

アンドレア・マンテーニャ《聖ヤコブの殉教》(1457年)エレミターニ教会

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Padova_GS,_Cappella_Ovetari.JPG

もしかして(私的妄想だが)、コッサがオヴェターリ礼拝堂で見て、このモニュメンタルな斜め後ろ向きのポーズに触発された可能性もあるのではないかなぁとも思ってしてしまった

で、また、大天使ガブリエルの造形でとても面白いのが、そのネジで止められているようなニンブス(光輪・aureola)である。先生も、サンバイザーのように頭部に被せられているように見える、とおっしゃっていた。

先生によると...

・天使は実は本物の天使ではなく、受胎告知の劇を上演している役者としての天使ではないだろうか?

・聖なる場面の演劇を描いている、とは言っても、演劇を通して芸術(絵画)というものの本質を表しているのではないか。

とのことだった。

それと、興味深いのがプレデッラとの境を這うカタツムリである。ダニエル・アラスによれば、中世イタリアではカタツムリは露で受精すると考えられ、マリアの処女受胎の象徴とされたらしい。しかし、やはりペトルス・クリストゥスの蠅を想起してしまうし、Met展でも来日していたクリヴェッリ《聖母子》の蠅もだが、画家の写実力誇示的側面も大いにあり得るんじゃないかと思う。

ということで、「私的蛇足」として...1470年代ニンブスの描き方について

ピエロ・デッラ・フランチェスカ《ペルージャ祭壇画》(1470年頃)ウンブリア国立絵画館

1470年代当時、ニンブスって円盤状で描かれている例が多いのよね。このピエロ作品では鏡面仕上げの(!)ニンブスに聖人の頭頂は映り込んでいるのが面白い。ちなみに、先に挙げたマンテーニャ《聖母の死》の聖人ニンブスも一部映り込みが見えるし。でも、コッサのネジで装着されたニンブスってやはり特異なケースだと思うし、その不思議さに故に強く惹かれるのだ。