花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

アンコーナ~ボローニャ。

2015-10-30 09:50:24 | 海外旅行

アンコーナからボローニャに無事戻りました。

ボローニャに戻り、また色々とありで、夕食後、さすがに疲れ果てバタリと寝てしまいました。夜中に目が覚めてPCを開き…(^^; 

今回の旅はトラブルも多く、マルケの人たちの親切心に大いに助けられること多々!マルケで観た数多くの名画とともに、そこで出会った人々との触れ合いの方が思い出深いものとなりました。特にレカナーティの青年や、アンコーナ市立絵画館のスタッフの方たち(コジモ君にルチアさん♪)、そして、なによりも休館中の絵画館に入館させてくださったコムネーの偉いボス(偶然の出会いでした!)。マルケの人々に心から感謝したい。 

あ、もしかして、ロレートの聖母さまの御加護だったのだろうか? マリアさま、ありがとうございました!!


ウルビーノ~アンコーナ~ロレート~レカナーティ~アンコーナ

2015-10-29 02:53:59 | 海外旅行

案の定、ウルビーノではバス停を間違え、ひとつ手前のバス停で降りてしまった。荷物を引きずって上り坂をよろよろ進むとBarがあり、そこでホテルへの道のりを尋ねた。そこの常連らしい素敵なマダムやおじさんやらを巻き込むことになり・・・(^^;

イタリア的親切心大盛りの素敵マダムがホテルに電話をかけてくれ、なんとホテルのお兄さんが車でBarまでお出迎えに来てくれたのだった。ご迷惑をおかけした皆さん、本当にありがとうございました!! 

ということで、ホテルの場所探しをしないで済んだという、不幸中の幸いがございました(^^;; 

ちなみに、フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの居城であったドゥカーレ宮のマルケ国立美術館はさすがに「国立」という内容で、ラフエッロ《ラ・ムータ》がトリノ出張中ではあったものの、ピエロ・デッラ・フランチェスカ2作品やベッリーニ作品など、たっぷりと鑑賞することができた。で、意外にも素描室にアンニバレ・カラッチのパラッツォ・ファルネーゼのフレスコ画下絵やドメニッキーノフレスコ画下絵などもあり、バロッチ作品ともども見応えがあった。バロッチがウルビーノ出身だったことを初めて知ってしまったが、確かにデッラ・ローヴェレ家の仕事をしていたものね。 

今回のマルケ旅行についてはボローニャに戻ってから改めて詳細にリポートするとして、旅はウルビーノからペーザロ経由でアンコーナに1泊、翌日はロレート(《ロレートの聖母》で有名)にバスで行き、そこで1泊。今日はレカナーティに行き、びっくりしたマリア様で有名な《受胎告知》を観、ロレートに戻ってアンコーナへ。このルートはロレンツォ・ロットのコースと言っても良いかも。

ということで、ただ今アンコーナのホテルなのだ。おととい泊まった時はWi-Fiが繋がらなかったのだが、今日は大丈夫のようだ。しかし、メールのリサインが出ているので、ちょっと怖くてメールチェックはボローニャに帰ってからしようと思っている。

ちなみに、今日のレカナーティやアンコーナは、ハプニング続きの話題てんこもり、そのおかげで疲労度が極限状態だ(^^;)。また明朝から続きが始まるので、無事であればレポートの方も続きを書きたいと思う。


これから...

2015-10-25 15:36:29 | 海外旅行

これからペーザロ駅に向かい、ウルビーノ行きのバスに乗る予定です。

無事にバスに乗れるのか心配だし、ウルビーノのバス停からホテルまでちゃんと行けるのかも心配。鉄道駅のない地方はもう心配の種がつきませぬ。それに、ネット環境も良くなさそうなので、更新もどうなるのやら(^^;


今、ペーザロです。

2015-10-24 22:30:28 | 海外旅行

今、ペーザロです。(時差ボケでアルベルティの表記を一部訂正(^^;)

リミニに1泊し、ペーザロに着いた。海の見えるホテルで、アドリア海の碧青色がきれい♪

リミニではホテルにチェックイン早々、アルベルティの「テンピオ・マラテスタ」に直行。もちろん、ピエロ・デッラ・フランチェスカ《守護聖人に祈るシジスモンド・マラテスタ》も観た♪ ピエロ描くシジスモンド・マラテスタは噂通り悪行しそうな眼つきだった(^^;

レオン・バティスタ・アルベルティ「テンピオ・マラテスタ」

リミニ市立美術館では、ジョヴァンニ・ベッリーニ《4人の天使と死せるキリスト》に再会した(ローマの「ベッリーニ展」に来ていた)♪ 

さて、これからペーザロ市立美術館に行く予定だ。同じくローマで観たベッリーニ《ペーザロ祭壇画》に会えるのが楽しみヽ(^o^)丿


今、ボローニャです。

2015-10-23 13:56:24 | 海外旅行

「プラド美術館展」の感想もかっ飛ばし、初めてのSAS(スカンジナビア航空)に乗り、コペンハーゲン経由でボローニャに来た。今回はボローニャのチェントロにアパートを6週間ほど借りたので、「チョイ住み」よりも長い「少し住み」の予定だ。

それにしても、既にホームシックにかかっているかもしれない(^^;。小心&弱気の私は無事に帰れることだけを願っている。 

実は今日から1週間ほどマルケを旅行しようと思っている。PC持参なので、ネット環境さえ良ければブログ報告もできるかもしれない。さて、これからどうなることやら(^^;


三菱一号館美術館「プラド美術館展」を観た(4)

2015-10-20 23:46:47 | 展覧会

忙しすぎる。フォルトゥーニに行く前に、目を惹かれた作品の感想を書こうと思っていたのだが、諸般の事情でこのままフォルトゥーニについて書こうと思う。時間的余裕ができたら、ヤン・ブリューゲル《花卉》の瑞々しい描写についてだとか、パルマ公の嫁姑肖像画とか、色々書きたいなぁ。 

さて、めちゃくちゃ嬉しかったフォルトゥーニ作品3点!♪ カタルーニャの誇るマリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサルなのだヽ(^o^)丿。今回来日したのは《日本式広間にいる画家の子供たち》《ポルティチの浜辺のヌード》《フォルトゥーニ邸の庭》、いずれも見応えのある作品だ。 

《日本式広間にいる画家の子供たち》は未完成とのことだが、それでもなお、乾いた光が画面を満たし、人形やらお面やら扇子やらの小道具が、子供たちのあどけない遊びの様子を愛らしく彩っている。当時のジャポニスムのおかげでこのような日本風の装飾のあるサロンが作られていたのだろうなぁと、日本人的にはなんだかこそばゆくもある(^^;。国立西洋美術館「プラド美術館展」にも来ていた作品でもあり、ご記憶の方もいらっしゃるだろう。

マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル《日本式広間にいる画家の子供たち》(1874年)プラド美術館 

ちなみに、フォルトゥーニはマッキアイオーリと繋がりがあるらしいが、この荒削りのままの作品からもそこはかとなく推察されてしまった。植え込みの緑、男の子の青、女の子の赤、そして乾いた陽射しの中に白が眩しい。 

で、今回のハイライトはこの《ポルティチの浜辺のヌード》だった!! 私的に画像では知っていたが、残念ながらプラドで観た記憶がなかった。なので、実物を観るのがとても楽しみで、来るとわかった時は本当にヽ(^o^)丿してしまった(笑)。 

マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル《ポルティチの浜辺のヌード》(1874年)プラド美術館 

まず驚いたのは、こんなに小さな作品だったのか!...と。そして、あまりにも見事なヌードに目が釘付け!! 画面から彫り出したかのように立体的に浮き上がる描写力!!! 

ナポリ近郊ポルティチの浜辺、強い日射しの中で砂浜に俯き伏せる女性のまろやかな曲線が白く浮き上がる。砂浜は濃灰色を基調に色を重ね、濃青が彼女の艶めいた白い素肌をより強調するのだ。それに、彼女の臀部がすっごく魅力的なのよねぇ~。さらに、彼女の足裏の連呼するような砂地の白!あのね、フォルトゥーニの白って乾いた太陽の強烈な光なのだと思う。 

この小さな絵には、美しく魅力的な女性のヌードとともに、熱く眩しいポルティチの日差しまでが画面に凝縮されているのだ! まさにこの魅力的な作品は「小さな大作」なのだと思うのだ! 

《フォルトゥーニ邸の庭》は未完の作品をライムンド・マドラーソ(妻の弟だったと記憶する)が完成させたらしい。画像が見つけられないので、おぼろになった記憶をたどると、緑の印象的な植え込みと砂利道の小石の描写が印象的で、確かフォルトゥーニは妻の姿を岳父のフェデリコ・デ・マドラーソのために描いたとか。あの子供たちの絵もマドラーソのためだったはずで、マリアノ・ファオルトゥーニにとっては大きな存在だったはずだ。 

時間が無いので急ぎフォルトゥーニまで飛ばしてしまったが、とにかく、今回の展覧会は「ヒエロニムス・ボスからフォルトゥーニまで」という副題でも良かったような気がするくらい私的にはとても新鮮で楽しい展覧会だった。 


三菱一号館美術館「プラド美術館展」を観た(3)

2015-10-14 01:51:17 | 展覧会

今回の展覧会で印象的だったのは「ヴェネツィア派としてのエル・グレコ」と「ベラスケス(ヴェラスケス)の白」だった。 

エル・グレコ作品は《エジプトへの逃避》《受胎告知》が出展されていた。特に《受胎告知》の背景には見紛うもなくティントレットの影響が色濃く見られた。

エル・グレコ《受胎告知》(1571-72年)プラド美術館

ティントレット《聖マルコの遺体搬出》(1562-66年)アカデミア美術館(ヴェネツィア)

2012年春のローマ「ティントレット展」でもエル・グレコ作品が展示されている。ヴェネツィア派を代表するティントレットがトスカーナのマニエリスムを吸収したことがよくわかる展覧会だった。今回展示されていた《受胎告知》はエル・グレコがヴェネツィア派の衣を纏いながらも、よりマニエリスム的な幻想性を指向して行く過程を観ることができたと思う。 

 

で、やはりベラスケス作品は2作品とも見応えがあった。ベラスケスと言えばその「黒」の多様性にあるが、今回の展示作品に共通していたのは「白」の際立った使い方だった。 

ベラスケス《フランシスコ・パチェーコ》は師&岳父である画家パチェーコを、威厳を持った個性として、カラヴァッジョ的明暗によりその存在を浮き彫りにしている。特に白の襟襞の筆致は観る者の眼を惹きつけて止まない。

ベラスケス《フランシスコ・パチェーコ》(1619-22年)プラド美術館

《ローマ、ヴィラ・メディチの庭園》は…実はコローを想起してしまった。薄暮の光が木立の緑に灰色のトーンを与えているようで、特に中央に白い布が目印代わりにか垂れ掛けてあり、その白が観る者の目を惹く。更に、左下方の植栽茂みの傍らに点描のように小さな赤い花が咲いているのだ。このニクイ演出は印象派というよりもむしろコローのようではないか??

ベラスケス《ローマ、ヴィラ・メディチの庭園》(1629-30年)プラド美術館

この作品の傍にはクロード・ロラン《浅瀬》が展示されていた。ロランの古典主義的風景と並べることにより、このベラスケスの風景画の異色さが際立つ。バロックとは思えないほど実に現代的なのだ。恐るべし、ベラスケス!でもね、私的にはロランの光と大気も好きなのよね~(^^ゞ 


三菱一号館美術館「プラド美術館展」を観た(2)

2015-10-12 00:45:31 | 展覧会

(1)で書いたヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》感想文の続きになるのだが、会場で観ながら、外科医のロート帽子頭の左後方に見えるのは、もしや?!…と気になった。公式サイトのルーペで確認したのだが、「 Π 」に見えるのは、もしかしてブリューゲル《絞首台のかささぎ》と同じ「絞首台」なのではないか?? 

ヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》(1500-10年)の一部拡大

ピーテル・ブリューゲル《絞首台のかささぎ》(1568年)ヘッセン州立美術館 

それと、作品が円の中に描かれているのは…もしかして、ボスの円が目であり地球であるという観点からすると、愚者の世界そのものということになるかもしれないなぁと思った。

美術ド素人の私にとって、ヒエロニムス・ボスの世界はワンダーランドのような気がする(^^;; 


三菱一号館美術館「プラド美術館展」を観た(1)

2015-10-11 16:55:54 | 展覧会

三菱一号館美術館「プラド美術館展」を観た。小作品ならではの味わい深さを堪能できた展覧会である。 

例えば、ヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》にしても、小型作品故に目を近づけ、その繊細緻密な描写を、目を細めながら観る。手前の4人のやり取りやポーズ・表情の面白さもだが、背景の風景描写の美しさや、木々や草むら(麦畑か?)に見える羊たちの白く小さな姿まで、ボスの筆致を楽しむことができる。(ボス作品解説は公式サイトをご参照あれ)

ヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》(1500-10年頃)プラド美術館 

特に茶赤の色彩効果が素晴らしく、胡散臭い外科医のロート状の帽子の下に見える赤 → メスを持つ袖口の赤、太っちょ愚者さんの頭から流れる血色、着ている白シャツの赤糸から赤ズボンへ、そして、白頭巾の愚者奥さんの右袖口の赤 → 頭の上の本の赤茶 → 左袖口の赤 → 腰に下げた赤ポシェットへ…。そのリズミカルともいえる赤の色彩連続さえ愉快だ。ボスの色彩感覚は《快楽の園》でも十分魅了されるが、こんな小品でもネーデルラント絵画らしい写実描写とともに小技を効かせて目を楽しませてくれる。 

実は、ふと思った。Bunkamura「風景画の誕生」展でファクシミリ版が展示されている「時祷書」のミニアチュール画家たちも、その小さな画面に様々な眼を楽しませる仕掛けをしてくれている。光の描写(影があるのだ!)、畑の向こうに見える小川んの水面の輝きや水鳥など、ベリー公だってきっと目を細めながらご満悦で眺めていたに違いない、と…。その写実と細密描写の流れがきっとボスにも通じているのだろうなぁ、と美術ド素人はなんだかそう感じてしまったのだった (^^; 

ランブール兄弟 《ベリー公のいとも豪華なる時祷書》「10月」 (15世紀末) コンデ美術館

プラド美術館を訪れると目がつい有名作品に奪われ、ややもすると控えめな小作品を素通りしてしまう。今回の展覧会が小さな(小型)作品を中心とした構成というのも、だからこそ、観る者が作品との距離を縮めながら、より丹念に子細に愛でることのできる貴重な場なのだと思えた。展示作品がみんな愛らしく新鮮に見えてしまいましたわ♪ 

ということで、続く。だってフォルトゥーニまで行かなくっちゃ(^^ゞ