花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「ホイッスラー展」が楽しみ。

2014-08-20 23:38:49 | 展覧会
今年後半の展覧会で楽しみにしている1つは「ホイッスラー展」だ。でも、観るのは京都ではなく、横浜になりそうだけどね。

「ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー(James Abbott McNeill Whistler, 1834年-1903年)は、19世紀後半のアメリカ人の画家、版画家。おもにロンドンで活動した。印象派の画家たちと同世代であるが、その色調や画面構成などには浮世絵をはじめとする日本美術の影響が濃く、印象派とも伝統的アカデミズムとも一線を画した独自の絵画世界を展開した。」(ウィキペディア)

私がホイッスラーを初めて知ったのは、恥ずかしながら2005年のテート・ブリテン「ターナー・ホイッスラー・モネ(Turner・Whistler・Monet)」展だった。


「テート・ブリテン」入口ポスター

「Turner・Whistler・Monet」展は、今まで観た展覧会の私的ベスト10に入るほど、すこぶる刺激的だった。3者の作品を通し、3様の光への拘りと表現の違いが際立ち、光と水と大気の渦が画面から溢れんばかりだった。特にターナー作品は量・質とも圧倒的だったし、ターナーの影響はホイッスラーもモネも受けていることが了解できたし、それに後者2人はロンドンで会っているしね。

展覧会では、もちろん場所はロンドン故、テムズ川を描く作品群がメインとなっていた。(参照:「room guide」)
当時の私には、ターナーやモネの光あふれる色彩作品に比べると、ホイッスラーの《ノクターン》シリーズは地味で沈みがちに見えた。夜空や川面に映える光の繊細さや、その構図が日本の浮世絵に影響されていることがわかるようになったのは近年である。昔から比べたら少しは進歩した?(^^;


ホイッスラー《Nocturne: Blue and Gold - Old Battersea Bridge circa》(1872-5年)テート・ブリテン

テート・ブリテンの展覧会で、ホイッスラーは《ノクターン》の画家としてインプットされ、2007年にワシントン「フリーア美術館」を訪れた時、「えっ、これもホイッスラー?」と驚いたものだった。その美々しいジャポニズムに何故かうろたえてしまった私(^^;


ホイッスラー「ピーコック・ルーム」フリーア美術館


トーマス・デューイング《The Four Sylvan Sounds》フリーア美術館(ホイッスラーだと勘違いしていた私(^^;;;)

そして今年の春、東京はラファエロ前派周辺の展覧会で百花繚乱。特に三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル」展では「なるほど、ホイッスラーは唯美主義だったんだ!」と勉強することになる。ピーコック・ルームの成り立ちも、ラスキンとの論争も納得。
私もラスキンって好きじゃない。だって、ラスキンはカラッチ派の悪口書いてるし、アンニバレが可哀そうだもの…(^^;

まぁ、そんなこんなで、ようやく今年になってホイッスラーの全体像をおぼろげに知ることになったのだが、それでも哀しいことに、美術ド素人には「ノクターン」と「唯美主義」との間(あわい)がよく呑み込めていない。なので、今度の「ホイッスラー展」では、ぜひ「わかった!」と言わせてもらいたいのだ。そこのところ、よろしく!です。>企画者さま

バルテュスとピエール

2014-08-11 23:21:28 | 展覧会
NHK「日曜美術館」の再放送で「バルテュス」を見た。冒頭の映像で、アトリエに置かれたキャンバスに構図用の幾何学線が引かれていることに、「やはり!」と納得してしまった。

4月末に東京都美術館で「バルテュス展」を観た。バルテュス作品をまとめて観るとなかなかに面白い。ルネサンス好きの画家がフレスコ画的な(或いはテンペラ画的な)マチエールに拘るのはわかるし、ピエロ・デッラ・フランチェスカの幾何学的構図に触発されたような平行四辺形構図を多用するのも頷ける。論より証拠はアトリエのキャンパス!そして、描く対象は彼の偏愛する「少女」たち。



展覧会でも番組でも「誤解」としていたが、なんだかんだ言ってもバルテュスは基本的にロリコンなのだと思う。最初の妻は少女の頃に知り合ったのだし、シャシーで同棲したフレデリック(兄ピエールの義娘)も15歳、節子夫人は20歳だけど日本人って幼く見られる。でも、少女期の持つ青く危うい美とエロティシズムに魅せられたのは素直に了解される。多分、画家はその少女たちの危うさを、ぎりぎりの緊張に満ちた幾何学的構図と色彩的調和の中に永遠化しようとしたのではないか?



画中の光の中に少女たちの肢体が魅力的に映える…。モデルの少女たちは絵の中でバルテュスの扇情的ミューズとなる。

そう言えば展覧会でカラヴァッジョ《勝ち誇るアモル》によく似たポーズの作品があった。《めざめ(Ⅰ)》はもしかしてカラヴァッジョの少年好きにバルテュスが共感したのかもしれない(^^;


バルテュス《めざめ(Ⅰ)》1955年(スコットランド国立近代美術館)


カラヴァッジョ《勝ち誇るアモル》1601-02年(ベルリン国立絵画館)

独学で画家となったバルテュスの作品には、彼の偏愛するすべての要素が塗り込められているような気がする。

実は、その昔、私にとってバルテュスは「ピエール・クロソウスキーの弟」だった。
兄ピエールの作品で初めて読んだのが『ディアーナの水浴』。難解ながらも面白く、「見る」という行為を考えさせてくれた作品でもあった。次に読んだのは『バフォメット』。美少年登場で、幻想的かつ冒瀆的イメージの氾濫がなにやらキッチュな感じで…例えばデレク・ジャーマンの『ジュビリー』のような…。
所謂代表作は読んでいないので極私的感想だけど、作家は自分に染みついた宗教的なものを弄りまくっているような気がした。

 

まぁ、そんな兄が義理の娘を弟に押し付けるなんて、大いにあり得ただろうなぁと思うし、ある意味、似たもの兄弟...かも、などと思ってもしまう。あ、なんだか下世話な感想になってしまい、お許しあれ(^^;;

暑中お見舞い申し上げます。

2014-08-07 22:13:26 | Weblog
暑中お見舞い申し上げます。
すっかりご無沙汰申し訳ありません。

自分で色々と忙しくしてしまい、その上、歳のせいで身体の故障が次々に発覚、病院通いが多くなりました。先週は大腸ポリープ手術をし、あと1週間は様子見です。

美術展覧会は上京して観ています(okiさんチケットに感謝!です)。上京と言っても病院での検査が目的だったりするので、結構バタバタしながら観て廻っています。

さて、仙台では8月6日から七夕祭りが始まりました。



人が大勢出て、やはり暑かった!

暑い日がまだまだ続くようですので、皆さまもご自愛くださいませ。