花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

東京都美術館「ゴッホ展」サクッと感想(^^;

2017-12-27 23:30:46 | 展覧会

11月、苦手だった西洋近現代美術について勉強する機会があった。美術ド素人のあやふやな理解かもしれないが、超簡単にまとめると… 

絵画の二次元(平面)に三次元世界をリアルに描くことが求められてきた時代の流れが、写真の登場により方向性の転換を迫られた。画家たちは原点である二次元世界への回帰を模作していくが、ちょうどその頃、日本から平面的かつ大胆な構図と色で描く浮世絵が欧州に流入し、画家たちに大きな影響を与える…。 

ということで、故国オランダからパリへ出てきたゴッホも画商ビングの屋根裏部屋で大量の浮世絵に出合い触発され、日本に大いに興味を抱き、頭の中に理想化した日本まで作り上げてしまった。そのゴッホと日本との関わりに焦点を当てたのが東京都美術館「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」である。 

今回の展覧会は最新の調査研究も反映し、ゴッホ作品とともに、ゴッホが模写したり、絵画に引用した浮世絵や版本等も併せて展示、ゴッホ作品への日本美術の影響の大きさを物語る。いや、私的にはむしろゴッホが夢想した日本の重さに気付かされたと言うべきかもしれない。 

更に、私的に興味があったのは、三浦篤『名画に隠された「二重の謎」』 (小学館新書)で読んだ歌川広重の模写作品《梅の木》(1887年)における「浮世絵に漢字額縁」の意味するところであり、ゴッホでさえ西洋的な「絵画に額縁」という伝統から未だ逃れていない?という面白さであった。

フィンセント・ファン・ゴッホ《梅の木》(1887年)ゴッホ美術館

今回の展覧会では絵画的額縁の栄泉模写の《花魁》が展示されていた。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《花魁》(1887年)ゴッホ美術館

美術ド素人的に思うに、これって絵画タベルナクルム的額縁のようじゃありませんか?? もしかして、このゴッホの浮世絵シリーズは憧れの聖なる日本の象徴?? 或いは、もしかしてこの花魁は聖女なのかも?? なぁんて思っちゃったのでした(^^;;;


大人買い?(^^;

2017-12-18 23:21:14 | 読書

Amazonでぽちっとな、自分へのクリスマス・プレゼントを買ってしまいました(^^ゞ

1)惣領冬実「チェーザレ」11巻(講談社)

漫画は一気読みが醍醐味だと思うのです。ということで、現在までの全巻(11巻)大人買いしました。もちろん(?)リーズナブルに中古本購入ですけどね 

私的には塩野七生さんのチェーザレの印象が強すぎるのですが、惣領さんのチェーザレも魅力的だし、狂言回しのアンジェロも可愛いし、楽しんで読めます。各巻末の解説はルネサンス史のお勉強にもなりますしね

2) Leonard J. Slatkes Wayne FranitsThe Paintings of Hendrick Ter Brugghen 1588-1629」(John Benjamins Publishing Company)

2007年出版当初からずっと高価すぎて手が出ませんでした。国立西洋美術館のライブラリーには早々入っていたのですが、一般人の私には利用できませんので、米国旅行ついでにフリック・コレクションのライブラリーで作品リストだけコピーして活用していました。でも、ずっとAmazonで値段チェックし続けること10年 ようやく当初の値段より1割強ほど安くなり、思い切って購入を決断したのです。ちなみに、こちらは新品です

この本はカタログ・レゾネなのですが、カラー写真は少なく、やはりモノクロ写真が多いです。まぁ、私的には全作品画像(?)を確認できるだけでも嬉しいですけどね。興味深かったのは、Benedict Nicolson のカタログ・レゾネ(1958年)のカタログ番号との対比表が掲載されていることで、美術ド素人的にも勉強になります。でも、横文字苦手の私...読めるかなぁ??(^^;;;


トリノヘ(4)サバウダ美術館②

2017-12-12 21:46:07 | 美術館

サバウダ美術館で私的に「おおっ!」と目を惹かれたのはこの壁だった(^^ゞ。見るからにカラヴァッジェスキとわかる作品が並んでいたのだから

なかでも、右下列作品&解説に目が釘付けになった!!(@_@)

ヘンドリック・テル・ブリュッヘン《使徒(福音書記)ヨハネ》(1620年頃)サバウダ美術館

以前はジョヴァンニ・セロディーネ(Giovanni Serodine)作品とされていたようだが、帰属論争はあるものの、現在ではテル・ブリュッヘンに帰属されているようだ。ちなみに、SlatkesとFranitsによるカタログ・レゾネ本(2007年)には載っていない。 

テル・ブリュッヘンはネーデルラント出身なので、通常の画面筆致は平滑に仕上げられている。だが、私見ではあるが、この作品は筆触が残るやや厚塗りであり、カラヴァッジョ的明暗のコントラストも強めだ。1620年代のテル・ブリュッヘンの作風を想うと、この作品には少々違和感を覚えるものがある。しかしながら、丸顔童顔のモデルはまさしくテル・ブリュッヘンっぽいのである!! 

絵の前に立ちながら、カラヴァッジョ作品から影響を受けた当初の若描き作品ということならば私的にも納得できるかな、というのが美術ド素人の私的な感想であり(エラそーにすみませんです(^^;;;)、できることなら初期作品(私的未見)のKoellikerコレクション《デモクレイトスとヘラクレイトス》(1618-19年)と比較して観てみたいと切に願ってしまう。

ヘンドリック・テル・ブリュッヘン《デモクリトスとヘラクレイトス》(1618-19年)Koellikerコレクション 

Koellikerコレクションは2006年パラッツォ・レアーレ(ミラノ)展覧会以降公開していないのだろうか?? 日本での展覧会などお願いできないかしらね??


「北ヨーロッパの伝統」(^^;

2017-12-07 01:37:17 | 読書

スヴェトラーナ・アルパース(著)『描写の芸術-十七世紀のオランダ絵画』(ありな書房)の序文に興味深い記述があった。

「ホントホルストやテル・ブリュッヘンといったユトレヒトの画家たちは、しばしばカラヴァッジョの後継者とみなされる。しかし彼らが反応したのは、イタリアの画家ではあるが北ヨーロッパの伝統に深くとらわれていたカラヴァッジョという画家であったことを見落としてはならないだろう。すなわち彼らは、カラヴァッジョを通じて彼ら自身の北方的根源へと導かれていったとも言えるのである。」(p22) 

美術ド素人の私見だが、テル・ブリュッヘンは北方的根源ついでに北方ルネサンス・ゴシックまで遡ったのではないかと思えるのだけど(^^ゞ