志位和夫委員長の著書が韓国で初出版されることになった。韓国語版のタイトルは、「いま、日本共産党」。表紙裏のキャッチフレーズには、「アジアで最も成功した野党共産党で、日本で、最も強力な草の根の政治組織。保守政治に立ち向かう100年政党について語る―いま、日本共産党は」(「しんぶん赤旗」16日付)。この記事を読み、その中で紹介されている、志位委員長の「書き下ろし序文」を知りました。
志位委員長の「書き下ろし序文」は、18日付の「しんぶん赤旗」に掲載されました。全体は6節からなっています。どの節も、韓国の読者に判り易くかつ誠意を込めた日本共産党の紹介文になっていると感じました。最終の第6節について紹介し感想の一端を述べたいと思います。
志位委員長は、「最後に、私は、日本の植民地支配について、今日的視点から、さらに3つの点を述べなければなりません」として、「第1は、なぜ朝鮮半島が南北に分断されたのか、という問題」。「第2は、なぜ韓国で軍事独裁政権が1987年まで続いたのか、という問題」「第3は、21世紀の国際政治の到達点から植民地支配の問題をとらえるということ」です。これらの問題提起は、日本の政治に問いかけられた内容でもあると思います。
特に、第2の中で、カン・マンギル高麗大学名誉教授の著書・「韓国現代史」の中の次の指摘を挙げていることに注目しました。「植民地であった35年間は、我が国がまさに専制主義体制を清算し民主主義的政治体制を形成していかなければならない時期であったが、植民支配によって民主主義的な政治訓練を積むことがまったくできなかったのである。・・・・・日本の韓半島に対する植民支配が残した最大の政治的被害は、近代社会に入った韓半島の住民から民主主義的な政治体験を積む機会を完全に剥奪することで、解放後の韓半島に国民主権主義の政治形態を定着させるうえで大きな打撃を与え、韓半島が南北に分断される素地を作った点にあると言えるだろう」
こうした苛酷な植民地支配のもとで、人間の尊厳を蹂躙した重大な犯罪である従軍「慰安婦」制度が猛威をふるったことは容易に理解できることです。過去のこととしてすますことは絶対の許されることではありません。同時に現在の日本がアメリカへの国家的従属状態が続くなかで、憲法がないがしろにされ、日本の支配勢力が、日本の独立国としての自覚と戦後政治の大原則まで放棄して恥じない異常な日本の政治の改革がいよいよ避けがたい情勢にあることを痛感させられます。