「ありがたい話だと思いますよ。本当に、選んでもらえてありがたいと思います」
「次のステップに進む決心をしていただけましたでしょうか?」
「正直なところ、まだ二の足を踏むというか、踏ん切りがつかないんですよ」
「みなさん最初はそう言われるんですよ。ですが、そこを乗り越えられるかどうかで、今後の展開が変わっていきますよ。未来への可能性が開けていくと思いますよ」
「未来は明るいんでしょうか? そうとばかり言えるんでしょうかね」
「勿論、何もしないで明るい未来が開けてくるなんてことはないでしょう。どこまで行っても自分を磨くという努力は必要になります。ですが、最初の一歩を思い切って踏み出さなければ、何も始まりませんから。その選択によって、あらゆる可能性を潰してしまうことになります。言わせてもらえれば、それはとってももったいないと思いますね」
「しかし、今の生活だって、結構きついところでやってますし、軽い額ではないですよ、100万円というのは私には」
「十分にその点はこちらも理解しております。できれは、すべてこちらの負担の上で進められれば何の問題もないのですが、こちらも商売上、すべての皆様についてフォローするということが難しいのです。その点は、心苦しくもありますが理解していただきたい点でもあります。ですが、そこは1つの投資とお考えください。他ならぬ自分自身への投資です」
「大丈夫なんですかね? 自分なんかに投資して」
「あなたは選ばれたんですよ。数ある人の中から、あなたは選ばれたんですよ。そのことが既に自身の価値を証明していると思ってください。私たちプロの目が選んでいるのですから」
「私は選ばれたんですよね。何かあまり実感が湧かなくて」
「そういう人の方が将来伸びていく可能性は高いんですよね。選ばれて飛び上がって喜んでしまう人よりも、自身を冷静に見られているという証ですから。あなたはなかなか高い資質をお持ちだと思いますね。決してお世辞などではなく、心からそう思います」
「やってみようかな。でもなあ、大丈夫かな。私は大丈夫なのかな」
「何をおっしゃいますか。何度も言うように、あなたは選ばれたんですよ!」
「そうですよね。私は選ばれたんですよね」
「踏み出すかどうかですよ。あなたの未来がそこで変わるんですよ」
「そうですよね。変わりますよね。だから、怖くもあり。少し、怖くもあり」
「怖いくらいでいいんじゃないですか? 怖さを越えていく勇気が未来を切り開くんじゃないですかね?」
「勇気を出した方がいいですよね。選ばれたんですもんね」
「そうですよ。選ばれたんですよ」
「怖いな。選ばれたと思うと、何か未来が怖くなってきましたよ」
「ふふ。わかりました。1つ私が背中を押してあげましょう。騙されたと思って、最初の一歩を踏み出しましょう! それくらいの覚悟でいってみましょうよ! どーんと行きましょう!」
「行きましょうか! どぶに捨てるような気持ちで!」
「そうですよ! 行っちゃいましょう! あなたがそれをやらなくて、他に誰がやるんですか。罪ですよ。絶対、やらないと」
「選ばれたんですもんね!」
「選ばれたんですよ! あなたは、選ばれたんです!」
「ありがとうございます!」