コンビニから戻ると既に明かりが消えている。もう店が閉まっているではないか。
あれ? 何か様子が変だった。閉まっているどころか他の建物が建っているではないか。そんなはずはない……。
まるでそこだけ絵を差し替えたというように1カ所だけが違うのだ。
僕がコンビニに買い出しに行っている間に、誰かが3Dプリンターを使って勝手に建ててしまったというのか。だとしたら、元の店はどこに行ってしまったのだ。おかしい。すっかり取り乱しながら僕は見慣れぬ店の前を行ったり来たりしていた。
何より気がかりなのは今月の給料のことだった。何度も電話してみるがまるでつながらない。吸い込まれるように僕は階段を上った。どうしても見つけなければならないものがあるような気がした。難解な迷路に苦しみながら使命感が足を前に前に進める。不毛な突き当たりにため息をつく内についに1つの宝箱を見つけた。
(どうせ空っぽだろう)
だけど、僕は手を伸ばした。その瞬間トラップに落ちた。ああ、やっちまったか。
着地したのは自分の体だった。
(つまりはどこにも行っていない)
葛藤も冒険もほんの1センチの揺らぎにすぎない。しがらみから解かれ僕は再び布団に潜り込んだ。