じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

中井由梨子「20歳(はたち)のソウル」

2022-09-25 16:10:09 | Weblog

★ 「鎌倉殿の13人」第36話「武士の鑑」は1週間たっても心に残る。濡れ衣を着せられた畠山氏と北条軍が戦うことに。「もうちょっと生きようぜ」と説得する和田義盛に、「誰が戦などしたいと思うか」と絶叫する畠山重忠。重忠を演じる中川大志さんの迫力に心が揺さぶられる。

★ NHKの大河ドラマ、かつてのように視聴率は稼げないが、上質なドラマだ。適度にコミカルな演出を入れ、それがメリハリの利いた緊張感になっている。三谷幸喜さんの脚本が素晴らしいと思う。

★ さて、今日は中井由梨子さんの「20歳のソウル」(幻冬舎文庫)を読んだ。高校の吹奏楽部に所属する塾生が夏休みの読書感想文に読むというから便乗した。泣ける作品だった。

★ スポーツで有名な市立船橋高校には応援歌がある。「市船soul」という。吹奏楽部でトロンボーンを演奏する浅野大義さんがつくったものだ。

★ 浅野大義さんは病に倒れ、わずか20歳で亡くなってしまう。この作品は、葬儀までの数日間を追いながら、大義さんの20年の生涯を、お母さんの桂子さんや吹奏楽部顧問の高橋先生、大義さんの彼女の愛来さん、吹奏楽部部長のユナさんや吹奏楽部の仲間たちが回想する。

★ 不治を悟った大義さんは心の中で語る。「人というものは、身体より先に心が死ぬのだろうか。身体が死ぬから、心も死んでいくのだろうか」と。

★ それに答えるかのように、巻末で顧問の高橋先生がメッセージを送られている。「大義は・・・彼が作曲した“市船soul”と共に生き続けていく」と。

★ 告別式の日、かつての部員たち164名が集まり、演奏で大義さんを送ったという。

 

コメント    この記事についてブログを書く
« 小川洋子「百科事典少女」 | トップ | 梶井基次郎「雪後」 »

コメントを投稿