じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

島本理生「リトル・バイ・リトル」

2018-07-28 10:20:23 | Weblog
☆ 島本理生さんの「リトル・バイ・リトル」(講談社文庫)を読んだ。

☆ この歳になるとこういう作品は実に「かわいらしい」と思う。孫の成長を見るようだ。

☆ 主人公はふみさん。高校を卒業したばかりだ。接骨院に勤める母と異父妹で小学2年生のユウちゃんとの3人家族。物語は、母が酒に酔って帰ってくる場面から始まる。勤め先がつぶれたというのだ。早速明日からの生活に直面する。さて、どうなるやら。

☆ この作品は作者が20歳の時に発表されたという。作者の等身大の感受性が心地よい。

☆ 成長しつつある女性の「日常」が描かれている。戦争や革命や虐殺や殺人が起こる話ではない。そういう意味では静かな作品だが、登場人物たちの内面はいわば「疾風怒濤」の時代なのだろう。壊れそうな緊張感がいい。

☆ エンディングもとてもさわやかだった。人生はまだ始まったばかりだ。little by littelで進んでいけばよい。そんな気分にさせてくれた。

☆ (それはまた、作家・島本理生の自分自身への「宣言」なのかも知れない)
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