じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

職員会議

2006-09-14 14:05:07 | 教育
★ 卒塾生の大学生のレポートを手伝った。教職課程の「教師論」だそうだ。

★ 課題は職員会議の位置づけの問題だったので、久しぶりに専門書をひも解いた。職員会議の位置づけについては、法的な規定がないとか、その位置づけについては補助機関説、諮問機関説、議決機関説のあるのは知っていた。改めて整理すれば次のようになるようだ。

★ 職員会議の位置づけとは、結局、学校の意思決定をどの機関がするかという問題だ。つまり、校長を意思決定者とするか、職員会議の決定に校長も従うべしとするかである。

★ 文部省(文部科学省)の立場としては、学校教育法第28条③「校長は、公務をつかさどり、所属職員を監督する」という規定に基づき、学校の意思決定者は校長としてきた。補助機関説と諮問機関説の違いは、前者が校長の意思決定を最大限尊重するのに対して、後者は職員会議の決定を校長は尊重しなければならないとする点である。

★ 一方、「議決機関説」は、校長といえども職員会議の決定に従わなければならないとする考え方である。この考え方は憲法第23条(学問の自由)や学校教育法第28条⑥「教諭は、児童の教育をつかさどる」を根拠とするものであり、学校を教職員の自治組織とみなす考え方である。

★ 更には、学校の活動を内的事項(児童生徒の直接的な教育活動にかかわるもの)と外的事項に分け、内的事項については議決機関説をとるといった考え方もある。

★ 教育委員会が定める学校管理規則では、補助・諮問機関説をとっている。2000年1月に出された文部科学省事務次官通知では改めて補助機関としての位置づけをうたっている。

★ なるほど。いろいろと論議はあるものの要するに、背後には文部省(国)と教職員組合(従来なら日教組)との権力闘争があって、そのまた背後には自民党対社会党の権力争いがあったということだ。今では学校の性質も変わってきたし、文部科学省と組合も蜜月ムードだし、そもそも組合の組織率も下がる一方で、というところで最近はあまりこの論争は聞かない。いっそう法律で位置づけを決めてしまえば良いものを。会議は踊る。


参考文献
 日本教育経営学会編「講座日本の教育経営」第10巻「教育経営ハンドブック」より小島弘道「職員会議」ぎょうせい、1986年
 「解説教育六法2005」三省堂
 高野桂一編著「新学校経営基本用語辞典」より神田修「職員会議の法解釈論争」明治図書、1981年
 教職研修「論争点シリーズ」①「教育法規の論争点」より、平沢茂「職員会議は議決機関か」教育開発研究所、1994年
 教職研修「論争点シリーズ」②「教育経営の論争点」より、藤枝静正「職員会議は学校の最高意思決定機関か」教育開発研究所、1994年  
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