じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

五木寛之「夜の斧」

2019-09-26 20:54:41 | Weblog
☆ 五木寛之さんの「蒼ざめた馬を見よ」(文春文庫)から「夜の斧」を読んだ。

☆ 今では実感が湧いてこないが、戦後、多くの兵士がソ連軍に連行され、シベリアに抑留されたという。今、地方大学の助教授を務める森矢慎吾もそんな一人だった。

☆ 日本に帰ってきて20年。家族にも恵まれ、長女は近々結婚する。そんな時、彼に不審な電話がかかってくる。電話の声は「エラブカから持ち帰ったものは何か?」と尋ねるだけ。彼は無視を続けるが、電話であるいは手紙で、同じ質問が繰り返される。

☆ 読者はこの謎の電話に誘われて読み進める。彼はエラブラから何を持ち帰ったのか。そしてそれが意味するものとは。

☆ 人が追いつめられるというのはこう言うことなのだろうか。泥沼に深く落ちていき、物語は終わる。彼と彼の家族は今後どうなるのか。それは読者の想像に委ねられる。

☆ 冷戦時代の「陰謀」は今も生き続けているのだろうか。
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