★ とにかく忙しい。やるべきことが次から次へと押し寄せてくる。動けば動くほどに仕事が増えるから不思議だ。
★ 今日は近隣の中学校が授業参観だったので、これ幸いと、石田祥さんの「猫を処方したします。」(PHP文芸文庫)から第1話を読んだ。京都本大賞受賞作だという。(こんな賞があったんだね)
★ 香川秀太は20歳代後半。大手証券会社に勤める営業マンだ。例にもれず、その会社はブラック企業。こころにも異常をきたし、人づてを頼りにある「こころのびょういん」を訪れる。
★ 他の精神科と同じように、ただ話を聞くだけの医師。他の精神科と同じように薬を処方されて終わりかなと秀太があきらめかけた時、なんと処方されたのが猫だった。
★ 動物など飼ったことがない彼は戸惑う。飼っている内に猫が問題を起こすことも。ところが、どういう風の吹き回しか、事態が好転していく。
★ 「文句をいうだけじゃなくして自分から行動する。本気で頑張れば色は変わるよ」というセリフが印象的だった。
★ ところで京都本大賞、歴代の受賞作を見てみると、
第1回(2013年)が岡崎琢磨さんの「珈琲館タレーランの事件簿」(宝島社文庫)
第2回が、森見登美彦さんの「聖なる怠け者の冒険」(朝日新聞出版)
第3回が、七月隆文さんの「ぼくは明日、昨日の君とデートする」(宝島社文庫)
第4回が、望月麻衣さんの「京都寺町三条のホームズ」(双葉文庫)
第5回が、原田まりるさんの「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のことを教えてくれた。」(ダイヤモンド社)
第6回が、原田マハさんの「異邦人(いりびと)」(PHP文芸文庫)
第7回が、天花寺さやかさんの「京都府警あやかし課の事件簿」(PHP文芸文庫)
第8回が、大石直紀さんの「二十年目の桜疎水」(光文社文庫)
第9回が、藤岡陽子さんの「メイド・イン京都」(朝日新聞出版)
第10回が、増山実さんの「ジュリーの世界」(ポプラ社)
そして、第11回目が本作だ。出版社に偏りがあるようにも感じるけれど、いずれも京都が舞台の作品だ。