じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

角田光代「八日目の蝉」

2023-11-26 17:59:10 | Weblog

★ 雲ひとつない良い天気だった。

★ 角田光代さんの「八日目の蝉」(中公文庫)を読み終えた。以前に映画を観ていたので、そのシーンを思い出しながら読んだ。

★ フェリー乗り場で逮捕されるシーンが一番印象に残っている。

★ 主人公の女性、単身赴任中の職場の上司と不倫関係に。妻とは別れるとの男の甘い言葉にズルズルと関係を続けている内に妊娠。それを聞いて、男は掌を返したように出産を思いとどまらせようとする。

★ 結局女性は中絶。一方、地方から上京し夫と暮らし始めた妻には子どもが生まれる。

★ やり場のない気持ちの女性は、留守中の男の家に押し入り、眠っていた赤ん坊を連れ去る。それから3年半。女性は子を育てながら逃亡を続ける。あるときは立ち退きを迫られたアパートに匿われ、あるときは宗教団体の施設で暮らす。やがてそこも抜け出し、名前を変え小豆島で暮らす。逮捕されるその日まで。

★ 作品は0章、1章、2章で構成される。0章はプロローグ、1章は女と乳児の逃走の日を描く。2章は女から引き離され、実父母の下で成長した子の物語。いつしか女と同じ道を辿っている自分に気づく。

★ 「母性」を基調としながら、「業」をも感じる作品だった。角田さんすごいねぇ。

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