じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

志賀直哉「赤西蠣太」

2023-09-22 14:41:23 | Weblog

★ 吉田修一さんの「横道世之介」はなかなかの好人物だったが、志賀直哉が描く「赤西蠣太」も印象的な人物だ。

★ 志賀直哉「小僧の神様・城の崎にて」(新潮文庫)から、「赤西蠣太」を読んだ。江戸時代初期の仙台藩。赤西蠣太は伊達兵部の家臣となる。彼は主命を受け、密かに重臣の不正を暴くために送り込まれたのだ。

★ 容貌は優れず、野暮な「田舎侍らしい侍」だったという。才は乏しく、家中の若侍からも体よくこき使われる存在だった。楽しみと言えば将棋。同じく将棋を愛好する銀鮫鱒次郎という男がいた。彼は蠣太とは対照的な美男子。まったく容姿の異なる二人だが、鱒次郎もまた密命を帯び、重臣・原田甲斐の家に仕えていた。

★ 機は熟した。蠣太はいよいよ重臣の悪行をしたためた報告書を国許へ届けることになった。問題はどうやって暇を得るか。そこで蠣太と鱒次郎は一計を案じた。家中でも美貌で知られる女性・小江(さざえ)に蠣太が恋文をしたため、その恥ずかしさのあまり夜逃げするというものだ。

★ ところが予想に反し、蠣太の想いが小江に受け入れられてしまう。

★ さてこの先はというところで、藩はお家騒動で、恋バナどころではなくなる。その後の物語は読者の想像に委ねられている。

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