悪役なら悪役らしく

　昨日、阿比留瑠比がようやく、ちょっとだけデモに言及するエントリを投下している。

【iza】メディアと報道の限界と個人的徒労感と
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2417707/

　俺は、別にこの人の論調を特別好きだと思った事はない。ニュースソースとして貴重だと思った事も、多分ない。（と思う）
　ただ、多分全国紙系のメディアの中で、最もいわゆる「ネトウヨ」に近い気持ちをお持ちのこの人ですら、尖閣デモもフジデモも言及しないという、非常に奇妙な姿勢を気にしており、そして寂しく思っているだけだ。

　この氏のエントリ。内容は、読むに値しない。単なるグチである。
　まあ、内容を俺的解釈で３行に要約すると。

・暫く更新しなかったのは忙しかったからで（こんなの初めてだが）他意はない
・デモについては前にも何度も言ってるので書くつもりはない
・私は森羅万象全てを網羅し、興味を持っているわけではない

　とまあ、こーゆー内容である。
　正直ジャーナリストとしては失格だろーよ阿比留。

　１００歩譲って忙しかったからブログサボってたのは別にいいとして。
　曲がりなりにもジャーナリストを名乗るのであれば、これほどドでかいネタに食いつかないのはどうかしているよ。
　そこらへんは、実に正論をガジェット通信が書いている。

【報道しない自由】フジテレビが2chを閲覧しながらも薬物を報道しデモを報道しない理由
http://getnews.jp/archives/137850

　ま、このガジェット通信の記事も、以下の一文は若干気に入らないけどな。

それは意図的に報道する素材を取捨選択しているのだ。自社に都合の悪い物は報道せず、それら以外の物はごく普通に報道してしまう。そう、フジテレビが選んだ選択は“報道しない自由”なのだ。

「ディープ２ｃｈネタを報道できるフジが何故、２ｃｈ史上最大の祭りとなったフジデモを報じないのか」という出発点の為、こんな物言いなんだが。
　別に「報道しない自由」を行使しているのはフジだけではないだろうと。
　ま、以下のような一文もあるから、ガジェット通信の記者もわかっているのだろうけど。

海外のメディアであるイラン国営放送やMBC（韓国）、また台湾の主要ウェブメディアもこのことを報じているが肝心の国内マスコミは一切報道していない。

　そう。産経の古森も、阿比留も。やったのは「報道しない自由」なんだよ。自分、あるいは自分の属している団体にとって脅威だから。
　言い訳なんかすんなよみっともない。むしろ押し黙っていた方が余程潔いわ。

　まあ、こんなクソエントリを投下してまでグチを吐きたい程に、古森と違って阿比留の方は鬱屈した感情を今回の件については持っている証左なのかもしれないが。

　それに、「デモについては何度も言っているので、あえて言うことはしない」というのも、単なる逃げだ。彼は確かに何回かデモについて言及しているが、それは正規エントリではなくエントリのコメント欄である。
　例えば。

【iza】菅首相演説時の仙谷官房長官の居眠りと私の懺悔と
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1827421/

　このエントリの2010/10/04 10:35のコメント

こんにちは。うーん、いろいろケース・バイ・ケースでこれといった理由はなく、単に「デモ」というものが、あまり取材対象としてニュースバリューがあると事前に思われなかったという点が大きいのかな、と思います。結果的には、たくさんの人が集まったということで、報じた方が良かったというのは確かでしょうが、そもそも、ふだん新聞はどちらかというとデモといわれると敬遠する傾向があると思います。ときに小規模のデモの記事が載っているではないかと言われそうですが、おそらくそうした場合は、テーマが特殊であるか、主催者側と取材担当者が事前に「これこれこういう特色と意義があるから」と打ち合わせている場合が多いのではないかと思います。国会前でも、よく左翼の人たちがデモをしていますが、ニュースだとか、記事にしようなんて考えたこともありませんし（決して一緒にするつもりはありません）。

　なんと奥歯にモノが挟まったかのような物言いだろうか。
　当時の辛坊治郎の物言いにかなり近しいものを感じる。「同じ」と言い切ってしまっても過言ではないだろう。
　で、阿比留はこんな事を言っているわけで。そしてそれを、目立つ正規エントリでは書かないと言っているわけだ。
　そりゃね。こんな事を「私の記者としてのデモの考え方」として、昨今に書いてしまえば反発は必至なんで書かないわけである。これを逃げと言わずなんと言うのだろう。

　俺はこの時の阿比留・辛坊の物言い、及びに今回のフジデモでの同氏らの沈黙や言い訳を見て思った事がある。
　こいつらは、自分が特権階級と思っているのだと。

　自分達が高みにいて、その自分達が握って漏らしたくない情報を、自分達を経由せずに広く一般国民に浸透していくさまが許せないんだと。
　ま、辛坊はともかく、阿比留はこう言えば確実に言い訳しようとするだろうが。少なくとも産経新聞上層部や産経の株主はそう考えている。

　最後に、ガジェット通信の結論で、このエントリを終了しようと思う。

知っていながら無視を決め込むのはメディアとして腐臭がする。そりゃ偏向報道と言われるわけだ。利権メディアは「中立報道」なんて到底無理ってことなのだろう。

　激しく同意。
　俺はこれなら、まだ日刊ゲンダイや、ＦＯＸやＣＮＮのように、わかりやすく特定勢力の肩を持つ方がよほど潔いと思うね。



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