goo blog サービス終了のお知らせ 

「じぇんごたれ」遠野徒然草

がんばろう岩手!

夏の夜話・第三話 「シルマシ」

2005-08-05 17:22:36 | 遠野
 「シルマシ」とは「知らせ」とある・・・遠野物語

 私が小学3年生の初夏の頃かと記憶している。当時はこの時季、駒木小、附馬牛小、東禅寺小の3校で市内小学校野球大会の地区予選を行っていました。この予選を勝ち抜くと決勝大会に進出できるのですが(途中からソフトボール大会に変更)この予選会を勝ち抜くために先輩達は放課後練習に明け暮れておりました。
 私は3年生でしたので、野球には「かでで」(加えて)もらえず、年上の幼馴染達の練習をみたり、年下の子供たちと校庭の端っこでテニスボールで野球の真似事などを毎日しておりました。
 練習期間中の放課後、ほぼ毎日、一端家に帰ると直ぐに自転車でまた学校へ来る、それは野球の練習に加わっている同じの上級生達が居て、彼らとはいわば幼馴染、練習が終わった後、彼らと遊びたいがための行動でもありました。
 練習は午後5時半にはいつも終わり、この時季は陽が長いこともあって、夕方7時頃まではいつも遊んでいました。この日も7時近くまで遊んでましたが、晴れているのに日暮れが早いのか、少しいつもより暗くなるのが早いと感じておりました。暗くなりだしますと、誰ともいわず「今日は、けえっぺ」「んだな」ということで家路を急ぎました。
 自転車は小屋に入れておくのですが、自転車で小屋に入ってきた時には、かなり暗くなりだしており、小屋の中には耕運機とトレーラーが置いてあるのですが、耕運機のタイヤは中央のホイールが真っ白で多少暗くても白く浮かび上がって見えてました。
 自転車を押して小屋に入ると、誰かに見られている、そんな感覚でもありましたが、何故かなかなか自転車のスタンドが立てれない、そのうちに少し恐怖心みたいなものも湧き上がってきて、このまま自転車を倒して家に入ろうと考えはじめた矢先、耕運機のタイヤ、白く見えるはずが、人がうずくまって顔だけこちらを見ている姿に見えたのです。しばらくは動けませんでした・・というより時間的な感覚はわかりません、とにかく自転車はそのまま放り投げた形で、走って家の中に入りました。
台所には母親が夕飯の支度をしておりましたが「小屋さ誰がいだっ~」母「誰いだってよ」私「誰がしゃがんでら」母「どりゃ」・・こんな会話の後、母親の後を付いて小屋に行ってみましたが誰もいません、耕運機のホイールは白く浮かび上がっているだけでした。
 私「ほんとにいだった、おっかねがった」母「なんだったべな」・・・・
 翌日、いつものように学校に登校しましたが、お昼近く、職員室に母親から電話がありました。すぐ私は先生から綾織のおばあさんが亡くなったそうですから、すぐ家に帰ってくださいと言われ、帰宅しました。
 家に帰ると母親が着替え等を準備してましたが、開口一番、「おめ小屋でみだもの、ばっちゃんだったんだ、知らせに来たんだ・・・」母方の祖母は長らく病床にあったのですが、私に会いに来たものかはわかりませんが、小屋で体験した翌日、午前中に帰らぬ人となりました。最後に私が見舞ったといいますか、会ったときは身体が半分になったのではないかと思うくらい小さくなっていた記憶があります。それでも私に漢字などを教えてくれたのでした。
53歳という若さでした。

最新の画像もっと見る

6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
まさにシルマシ (たま千代)
2005-08-06 23:02:01
ひやりとする話ですねえ。一時暑さを忘れました。

ばんつぁん、最後に孫さ会いだがったんだべな・・・



私の母方のばあさまが亡くなった時もちょっとしたシルマシがあったようです。母親が何度かそれらしいのを体験しました。亡くなった後も・・・

まず、亡くなるちょっと前に夢にみたそうです。ばあちゃんが、不意に家に訪ねてきたので、母親はお茶を出しました。ちょっと目を離したら、ばあちゃんはいつの間にか帰っていて、見ると、茶の間のガラス戸が少し開いていました。朝起きると、締めていた筈の茶の間のガラス戸が、丁度夢で見たように開いていた・・・・実は、この時ばあちゃんは具合悪くて床に伏していました。夢であるにしろ、出掛けられるはずはない、と母は訝っていましたが。



そして、実際にばあちゃんが亡くなったと思われる時刻に仏壇で大きな物音がして、電話のベルが一度だけ鳴った・・・

その後もちょくちょく夢に現れたそうです。四十九日直前とか、お盆前とか。

余程娘のことが気懸かりだったのでしょうね。



どんどはれい。
返信する
シルマシ (とらねこ)
2005-08-07 08:17:52
結構こういった話し、よく耳にします。

私の親父の葬儀前、お棺の前で兄弟、親戚と今後の話などしている最中、仏前の鐘が「カーン」と高らかに一度だけ響き渡ったことがございました。親父にしてみれば気にくわない話の内容だったかもしれません。

仏様は49日までは家の周囲にいるともいわれますから、この前後の不可解な現象、私は真に受けるタイプです。
返信する
虫の知らせ (tama千代)
2005-08-07 22:24:21
と、シルマシとではニュアンスが微妙に違うようで。



その祖母の話ですが、娘に伝えたいことがあったらしくて、亡くなって間もなく母の夢に現れて、「●●があるから、タンスの何番目の引き出しを開けて見ろ」と言ったとか。その前に、母の実家の人達が件のタンスの引き出しを開けようとしたら、鍵が掛かっていたのか開かなかった。しかし、この夢を見た母が開けようとしたら、開いたそうです。



また、四十九日直前にも夢に出て、「もうすぐ行かなくてならないから」と、母に告げたそうな。



祖母の死後には、蛇にまつわる話もあり(どうも、ウチのご先祖様は何かと蛇に因縁があるそうです)これも機会があれば)・・・不思議な事って、本当にあるんだなあと思いました。



もうすぐお盆ですねえー。
返信する
そうですね (とらねこ)
2005-08-08 20:03:21
虫の知らせとシルマシ・・少し違う感じでもありますよね、それにしてもお母さんの夢の話し、不思議ですよね、さらに蛇関連、たまちさん家は福沢さんがそのうちいっぱいやって来そうですね・・・。
返信する
あるある (ほいど)
2005-08-23 22:47:42
良く聞く話ですな~遠野物語にもありますよね。おらほの婆さんも(故人)よく言ってました。ゆうべ台所で物音してらったがら誰が亡くなるぞ~とか、ご祝儀の夢見たから誰か亡くなるぞ~とか、今朝明るくなるのが早いと思ったら窓の外にたます(火の玉)が来てらったとか・・不思議に婆さんの友人や知人

親戚に不幸があったことを覚えています。まだ私が子供の頃でしたが・・
返信する
Unknown (とらねこ)
2005-08-25 20:37:37
ほいどさん、どうもです。

それにしても、ほいど・・とはなんともいえない響きですね、私もとらねこから「じぇごたれ」に改名しようかな・・・笑



シルマシ・・・私の周りでもよく聞かれる現象が多いかもしれません。

不思議なことではありますが、これがまたよくあるんですよね。
返信する