遠野なんだりかんだりⅡ

遠野の伝承芸能・民俗・歴史を書きたい時に思いついたままに

2024 塚沢神社宵宮神楽 其の壱

2024-07-30 10:32:36 | 郷土芸能

昨夜の強風が去り、今朝は台風一過とも梅雨明けとも思えるような天気です。

さて、その梅雨時に行われるお祭りのひとつが宮守町の塚沢神社例祭。

27日(土)は宵宮と云うことで神楽の奉納がありました。

 

遠野遺産107号 塚沢神社と泰安殿(泰安殿は神社の北側)

 

日中はかなり降った雨も小雨となり、なんとか持ちそうな雰囲気。

2018年にこの割拝殿で、2019年は近くの民家で神楽をやってから、

新コロなどで開催されなかったので5年ぶりになると思います。

 

予告どおりに6時、伊藤良介会長の挨拶で、スタート。

会長は北海道の増毛町にある国稀(くにまれ)酒造の杜氏でもあります。

機会がありましたら、飲んでみて下さい。

 

その会長、挨拶が済むと、幕裏に戻って笛です。

 

一番目 鶏舞

 

日中の雨でお客さんの出足が鈍かったのですが、神楽ファンで何とか恰好が付いた感じ。

 

二番目 三番叟

 

舞手はベテランですが、しばらくぶりの三番叟です。

 

神楽を始めた方が鶏舞などの次に挑戦する例が多いようですが、流石の舞です。

 

仲間の神楽関係者も見物してました!笑

 

三番目 山の神舞

 

こちらは平倉神楽さんです。

明治時代に平倉が塚沢を師匠として神楽が誕生した経緯があり、今では両者の舞台に

其々のメンバーが代役として出たりしています。

 

衣装でもわかる通り、先日、大出に出演した大迫町の早池峰岳神楽さんの系統です。

 

江戸時代の早池峰大権現の例祭などには、神仏習合と云うことで、

○○の守(かみ)と云う呼称の神職と、両妙泉寺の住職、その他に○○坊と云う修験が

参加していたようで、岳も大出もその○○守の関係者が神楽を演じたようです。

 

面をはずした直後は、はあ、はあと云う息づかいが続いていました。

 

こんな舞も入れながらの宵宮なので、かなりの人数で回さなければなりません。

 

今現在の塚沢、平倉さんは人数が揃ってきていると云いながらも、

単独で演目数をこなすには、まだまだ足りません。

 

平倉の菊池会長も、後継者育成が急務だと云っておりました。

 

まずは、前半の様子でした!

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早池峰岳神楽 大出早池峯神社に舞う

2024-07-26 08:59:02 | 郷土芸能

17,18日の大出早池峯神社宵宮・例大祭話題を今週連続で記していますが、

今回最大の出来事は、何と云っても岳神楽さんが参加されたことではないでしょうか!

 

前日の宵宮でも夜神楽の様子を見に来られ、翌日のこの例大祭の祭列にも参加され、

何だかとても勿体ないことのように感じた私です。

 

9時過ぎには到着し参拝を済ませ、この拝殿での準備をしていた岳神楽さんです。

大迫町からは、荒川高原経由か?、達曽部から馬越峠経由か?と云う

他愛のないことを想像しているこの時の私です。笑

 

最初から天降り(あまくだり)の舞です。

 

ほぼかぶり付きに近い距離で、何だか得した気分です。

花巻では、この距離で観ることは難しいと思います。

 

岳神楽さんを良く知るお客さんたちが、スタートから大声援を送っていたので、

静かな遠野人はびっくりしたと思います。向こうでは普通のことです。

 

この3帖ほどの舞台で、どう舞うのかと観ていましたが、

気にする様子も無かったので、たぶんこの大きさを意識して来られたようです。

 

荒舞でも、全く、無駄のない丁寧な舞

 

本当にこの距離で観られて良かった~!

大迫町の大償神楽さんとこの岳神楽さんの両方をもって早池峰神楽と云い、

国指定無形文化財であり、ユネスコの無形文化財にも登録されていることは

あまりにも有名で、その公演には全国から熱烈なファンが押しかけるほどです。

 

流石に最初から御花が上がり、御礼口上です。

イベントでは無料だと唄いながら、御花入れが舞台にドーンと用意されたりしますが、

それなりの芸能では、さりげなく置かれるので無粋に感じることはありません。

 

二番目 天女の舞

 

上手いとわかっていても、上手いと思ってしまいます。

 

この天女の面、色々な神楽のそれを観ていると舞手の仕草もありますが、

きれいだと思うことも、色っぽいと思うこともあり、

 

ここのは清楚な美しさを感じました。

 

三番目 諷誦(ふうしょう)の舞

 

やってくれますよね~!ここでこんな舞をしますと、事前告知していたら、

相当な人が観に来たのではないでしょうか?市外から。笑

 

この日は、大出早池峰神楽さん、張山しし踊りさん(小倉神楽さん)の他に

市外からの岳神楽のファンの皆さんが、最後まで真剣に見ていました。

 

江戸時代にこの岳から大出が頂いた伝授目録があったと証言された昭和7年の大出の胴取。

その時、見聞した本田安次氏は、所傳は全て岳と同じだと記し、

また岳も大出もその周辺地域の人たちは、どちらも年寄神楽になってしまったと

当時、話ているのを聞いています。

 

それから、おおよそ100年。

 

大出ではその間に、またの火災で神楽道具一切を失い、同じ附馬牛の小倉神楽さんから

道具を借りて鶏舞を演じながら、子供たちにシンガクを教えるところから再スタート。

 

岳神楽さんは江戸時代の飢饉の際には里に下り、神楽巡行をしてつないだと云います。

 

郷土の芸能を100年つなぐ内には様々なことがありますが、

途絶えさせないようにつなぐことの大切さを教えてくれる両神楽です。

 

お見事!

 

そして、会長の下舞

 

舞う以外の時にはとても穏やかな表情も、神楽では目が真剣そのもの。

 

前夜に御祈祷して頂いた方々も、また御祈祷。笑

 

いやあ~!なんだか物凄いものを観てしまった!と云う感想です。笑

どなたかのSNSに岳神楽さんは、大出で舞ったことはあるのか?と云うのがありました。

観た当初は、そんなことは無かっただろうと内心思っていました。

しかし、伝授目録の昭和7年の証言を知ってしまうと、どこで教えられたかによっては、

大出もあり得るだろうと考えるようになりました。

最後に郷土芸能伝承100年の壁、皆さん、のり切りましょう!笑

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2024 大出早池峯神社例大祭

2024-07-25 11:39:02 | 郷土芸能

大出早池峯神社のお祭りが終わって一週間。やっと、宵宮が終わって例大祭話題です。笑

 

10時からの御神輿渡御前に町内の芸能団体が奉納するのを狙うべく、

9時過ぎには到着。

 

なんだか例年?と雰囲気が違います。御神輿がセットされている位置も違えば、

担ぐ人の姿もまだありません。

この後、何がどう変わるのかは、この時点でまだわかりませんでした。

本殿の表に張られた幕は例年通り。この校長先生、私の近所です。

昨年11月に亡くなりました。何年も寝たきりだった奥様を送ったのは

その20日ぐらい前のこと。

ここで校長をしていた時、子供達に神楽を習得させるべく尽力したそうです。

 

10時、社務所から一定の役割の方々と一緒に本殿前に来るはずですが、

単独で神事が始まりました。

 

宮司の後を少し遅れて、大出早池峰神楽さん、そして、献幣使が本殿へ向かいます。

 

今年も東禅寺しし踊りと上柳しし踊りの姿は無く、渡御の時、川で清める御神輿は

そのままで、皆さんがこの場で清め始めました。

今まで清めていた川の上流に魚の養殖場が出来たようで、それも渡御無しの原因の

ひとつのようでした。

 

10時から神事なので、もっと早くスタンバイした方が体裁が良いのに、

と思っていたのに、今年も10時スタートの張山しし踊りさん。

 

まあ、奉納する芸能が少ないから良しとしましょうか。笑

 

今年は特にもお祭りの数日前が連休だったので、この日も仕事を休むのが

難しい人が多かったのも事実です。

 

さて、いつもは渡御ですが、この後は・・・

おや、ここでは馴染みのない衣装の団体が見えます。

 

今年は、本殿廻りを三周して渡御は終了ということになりました。

 

この渡御、川の問題だけではなく、担ぎ手確保も大変なようです。

 

そして、大出では馴染みのない衣装の団体は、

な!なんと!大迫の早池峰岳神楽さんではありませんか!

 

大出の関係者が揃う前から神社に到着しており、勝手がわからない様子でしたが、

なんとか行列に参加できたようです。

 

早池峰山が開山し大迫と遠野に妙泉寺が出来て以来、大迫の神楽が大出に奉納するのは、

もしかして、初めてのことではないでしょうか!

 

また、大出早池峰神楽では、これまで見たことのない人数でのシンガク

 

これもまた、恐れ入りました!

 

前の晩、宵宮での神楽が終わった後、片付けをしてから、たぶん反省会、

皆さん、かなり反省をしたようです。笑

 

昭和7年3月、民俗芸能研究の第一人者である本田安次氏が大出を訪れています。

その時、社務所で鶏舞、翁舞、三番叟、天女、鞍馬、五穀、権現舞が演じられました。

この時、胴取りをしていた佐々木安成氏の話では、2、3代前に岳神楽を伝授され、

立派な伝授目録も始閣家に伝えられていたが、火事で焼失したと云う事です。

 

遠野には同じ岳系統の神楽のひとつとして平倉神楽さんがありますが、

ここも明治34年に同系統の塚沢神楽さんから習得して、後、中断。

およそ100年後に石鳩岡神楽さんから習い直しをしています。

 

ちなみに大出が2,3代前に岳から習得した時期を当時の100年ぐらい前と仮定すると、

天保の初め頃になります。

この頃、何があったかと云うと、大飢饉が続いていた時代です。

それ以前の元禄年中(1691~1695)にも、飢饉で大出では神楽が

出来なくなった時代があります。岳では神楽巡業に里に下りたといいます。

神事に必要とされたことで、何度も復活してきた神楽です。

 

今回、附馬牛町に三団体あるしし踊りから唯一参加の張山しし踊りさん。

今回は、のっぴきならない事情でメンバーのやりくりをしたようです。

 

これからも、どこがどうなるのか、わからなくなりつつある、しし踊り、

奉納だけでの参加は危ういという一例です。

 

最後は恒例によりまして、餅撒き。これも、とても重要なことです。笑

手紙ではないですが、追伸です。

今度の27日土曜日は、宮守町下宮守6地割にある塚沢神社の宵宮です。

午後6時から神社の割拝殿で神楽の奉納があります。

塚沢早池峰神楽さんと平倉神楽さんが舞います。演目数は7,8番とのこと。

お酒を飲みながらでも、ヤジを飛ばしながらでも、和気あいあいと見られると思います。

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2024 大出早池峯神社宵宮 其の四

2024-07-24 08:20:51 | 郷土芸能

17日、宵宮のあった日中は19日の検診とは別に、年に一度の健康診断でした。

それも朝からではなく、午後一番から。

開始時間前には現地に着き、順番待ちをしていると・・・忘れて来ました、検便容器。

取りに戻って、また並び直し。

何をやっているんだか・・・自分が嫌になってしまいます。涙

これは歳のせいなんだか、健康の問題なんだか。

 

十三番 尊揃(みことぞろえ)

 

他の尊揃と登場する神に違いがあります。

大出には猿田彦が出ています。明治28年の駒木神楽が持っていた大出の写本にも、

猿田彦とあります。

 

大償系では、水無月などと云う演目のようです。

 

くずしになります。

 

およそ3帖の舞台で四人、

 

この狭いスペースで、どう舞切るかに挑戦してきた結果が、

今の大出の舞なんだと思います。

 

十四番 権現舞

 

下舞から

 

夜10時、まだ早いかな?

 

なんて思ってしまいますが、既に4時間経過しています。

 

今年は珍しく3人?4人?が舞台から足を踏み外しましたが、これもご愛嬌。

ケガしなかったか心配しました。

 

遠野に居た時、大出早池峰神楽さんの活動にも参加していたWさん、

他県に移られたと聞いていましたが、この日私の隣で、ずっと見ていました。

 

最後の最後に出ることができたようで、観ている私も感激しました!

 

その最後、50人位は居たと思いますが、希望者は体内くぐりと祈祷のカミカミ。

私も、本気モードでカミカミして頂きました!

その後、千葉さんと石橋さんが並んで御礼の挨拶をしたのが、10時半過ぎ。

機材を片付け、駐車場を出発したのが11時。

なんやかんやで布団に入ったのは翌日の1時半。

お疲れ様でした!

それはそうと、ここのところ、市内の色々な芸能団体の笛を見させて頂いてます。

市販の篠笛を使っている芸能もあれば、独自に制作したものも。

私の関わっている芸能では、囃子用に音程を合わせてもらった明笛を

製造元に依頼しています。

ここで問題なのが、遠野まつりの練習で使用させる初心者用の笛。

塩ビ管で作っているのですが、格好をつけるために色を塗りたいと。

べとつかず、剝げにくいのはどんな塗料なんでしょう?情報をお願いします。汗

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2024 大出早池峯神社宵宮 其の参

2024-07-23 08:14:04 | 郷土芸能

時々、物凄い雨音がするほどの宵宮、軒下で神楽に集中していながらも、

衣服が濡れないようになるべく、壁・柱の側に寄ります。

 

小雨になったのを見計らいながら、拝殿廻りを歩いてみます。

気分転換を兼ねて顔見知りがいないか確認です。

数年来ると、だいたいは見に来なくなります。そんな中、ここでは初めてお会いする

ご夫婦が居ました。三年は見に来て欲しいものです。笑

 

十一番 岩戸開き

 

翁舞とは兜のしころ板の文字と、後ろに下げる布が白から赤に変わっているようです。

 

白い面の手力男命が、幕表に出てきて両手を上げながら舞うシーンは、

先日見た小国の末角神楽さんと同じような感じです。

 

私は神楽を演じないのでわかりませんが、舞手は、音が無くても手足の動かし方で

似ているかどうか判断できるのでしょう。

 

今年の大出では笛吹が三人入れ替わりで吹いていました。

 

同じ神楽の場合、音程?調子?が、ほぼ同じものだと心地よく聞こえます。

 

十三番 天降り舞(あまくだり)

 

猿田彦命の大胆なネリで始まります。

 

岩戸開きが終わる頃には、もう既に終盤だとわかるのですが、

今年はここからが、また長く感じました。

 

時間にすれば、まだ10時少し前

 

鱒沢神楽さんの出演が無かったので、幕の入れ替えや準備の時間もスムーズ過ぎて、

休憩無し。

 

腰もヒザもそろそろ限界です。汗

 

大出の人達曰く、私たちは昨日もリハーサルまでしていて、とっくに限界です?

こりゃまた失礼しました!

 

翌日、出演されるとお聞きしていた大迫の方々も、

夜の遠野を元気づけようと見に来ていた方々も、

いつの間にか見えなくなっていました。

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