《1945年夏――。日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだった。
崩壊した「満州国」に取り残された黒川開拓団(岐阜県送出)は、日本への引揚船が出るまで入植地の陶頼昭に留まることを決断し、集団難民生活に入った。
しかし、暴徒化した現地民による襲撃は日ごとに激しさを増していく。
団幹部らは駅に進駐していたソ連軍司令部に助けを求めたが、今度は下っ端のソ連兵が入れ替わるようにやってきては“女漁り”や略奪を繰り返すようになる。
頭を悩ました団長たちが取った手段とは……。》
満州からの引揚げの過酷さはおぼろげに見聞していましたが、悲惨で残酷な史実が犠牲当事者から語られる衝撃の本でした。
特に、その手段を決定した人達のその後・帰国後の犠牲者達に対する対応は排除の論理で、時代と共に価値観が変化している事を考慮した上で尚、悲しくなります。
折しも今、ウクライナでの戦争の惨状が連日報道されており、人間の業の深さを思い知らされていますが・・、生きている間は、無力感の中でも希望を探し続けなければ・・。
(画像借りました。)