JA6VQA 日々新たに

趣味のアマチュア無線で海外との交信や写真などを中心に、日々感じることを書き綴ってみます。
 

「日本海軍エレクトロニクス秘史」

2014-06-10 11:01:03 | 読書
 このところ家の中の片付けに精を出しております。
 屋根裏の物置の中から見つけた一冊の本 田丸直吉
著「日本海軍エレクトロニクス秘史」原 書房 昭和
54年発行 ¥2,800を見つけました。
 おそらくJA6FB故大西OMから頂いたものでしょう。

 あらためて読んでみました。
 とても面白い本です。
 著者の田丸氏は昭和14年から18年にかけて海軍艦政
本部員で、よく大臣官房の書庫に古い関係書類を捜し
に出入りする中すでに時効となった書類を折を見てで
きる限り写し取ったそうで、それらの資料を基に書か
れております。
 バルチック艦隊が来る前後の通信所の建設から始ま
って、太平洋戦争当時の日本の通信について興味深い
ことはいっぱい詰まっております。
 九州の針尾送信所の送信塔はまだ残っていますが、
それより前に船橋に大規模無線送信所が作られてい
たんですね。今は全くその後もないそうです。
 設備一式は当時最も近代的であったドイツから輸入
したそうですが、日本海軍の歴史に大きな汚点を残す
ことになったシーメンス事件という汚職事件があった
そうで、これは戦後のロッキード事件につながってい
たんですね。
 第二次世界大戦における新兵器レーダー開発競争に
ついても書かれております。
 無用の長物、 九二式多重電話機というのが海軍の
無線機としてあるがこれが全くの失敗作だったそうで
す。当時としては最新の無線技術による無搬送波の
SSB送受話機が計画され、試作して充分に実用性が認
められ正式兵器に登録されたそうです。
 海軍にSSB機があったとは驚きです。ビームアンテ
ナに10KW の出力だったそうですが、同期方式に欠陥
があって始終ピヨピヨという鳴音が入って通信に甚だ
しい障害になった失敗作だったそうです。
 もう絶版でしょうが面白い本です。
 なお著者の田丸氏は戦後沖電気で活躍され、取締役、
子会社の社長を勤められ53年に急逝されています。
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