しまちゃんの愛し糸島ブログ

糸島を個人的に愛している人達の紹介と、ネットワーク作りを目的とした、愛し糸島プロジェクトの情報発信ブログ。

ドキュメンタリー「人生フルーツ」のこと

2017年10月01日 14時50分55秒 | ニュース・テレビ関係

今日NHKで「ザ・ベストテン2017」というドキュメンタリーのテレビ番組のコンテストで優秀賞を受賞した作品を放送していました。その中で東海テレビ制作の「人生フルーツ」という建築家津端修一さん、英子(ひでこ)さんご夫婦の人生と最晩年の様子が紹介されていました。このドキュメントを以前に一回見ていたのですが、今回また見て、もう一回感動してしまいました。

 

修一さんは1960年代の戦後の高度成長期に日本のあちこちに建ち始めた団地の建築計画の設計していた建築家で、団地の中に雑木林や、ビオトープをいれた自然があって人間に癒しを与える団地を計画されたりする建築家でした。しかし最終的にはそういう計画は実行されず、山の全て木を切り倒し土を削り谷を埋め、同じような建物が狭い間隔で建ち並び、自分の家がどこにあるかが分からないような個性のない団地になっていきました。修一さんはそういことに抵抗して、住む人の幸せを考える人でした。愛知県のある団地で、自分が計画通りにならず、団地近くの間の土地に300坪の土地を購入し、そこに家を建て、周りに畑を作り、さらにその周りにいろいろなフルーツの木を植え、時間が経って、雑木林の家が出来上がっていきました。木々が秋冬に落とした葉っぱは畑にまかれ土となっていきます。お孫さんのまりこさんに残すためにより良い土地、よりよい家、より良い畑にするにはどうしたらいいかを、深く考えてのさまざまな行動が日々コツコツと坦々とゆっくり行われていました。畑には雑木林で集めた枯葉が巻かれ地味のある土となり、野菜が育てられ、家の前の庭には鳥たちの水飲み場の陶器があったり、カキの木やその他の果物の木のそばに「頭上注意」とかの誰かに配慮したユーモラスなイラストの載った手描きの看板がたくさん設置されていました。奥さんの英子さんは夫修一さんがいろいろ発案する自宅を良くしていこうという改革案に反対せず、朝食は自分はパン食なのに夫のためにボリュウムのある和朝食を毎日作られていらっしゃいました。ドキュメントの中で修一さんが亡くなりました。亡くなった後も毎日朝食が遺影の前にささげられていることに、このご夫婦の愛やきずなの強さを感じました。また、修一さんは亡くなる2か月前に伊万里にあるサナトリウムの設計への監修というかアドバイスを依頼され、報酬も要求せず、たくさんの設計プランを創られていました。修一さんが亡くなった今、修一さんのアイデアが盛り込まれた癒しのある院内のカフェの建物が建ち始めていました。誰かを喜ばすことに自分の才能や能力を惜しみなく使い、後世にも建物に自分たちの魂がずっと残って幸せの連鎖が起きていくことが津端さん夫婦の望みであり実際の生き方のようでした。「老後と」いう言葉はご夫婦には無意味であり、死ぬまで現役というか、「生ききる人生」を見せていただきました。

英子さんの「やることで何かが見えてくる」「自分でコツコツやることで見えてくるものがある」と二回出てきた言葉がとても印象に残りました。

チャンスがあればこのドキュメントを観られることをお勧めします。上映会などの情報は http://life-is-fruity.com/

 

テレビではアンチエイジングとか美容とか健康食品や器具関係のCMが流れ、健康で若く見られることが価値があるように見せていますが、全部業者の金儲けです。その後どんな生き方をするのかということは、あまり問題にされません。でも大事なのは生き方の方です。修一さんの髪は奥さんが切り、奥さんはほとんどノーメイクで食器棚のガラスを見ながらチャチャッと髪を束ねてお出かけされていました。見かけにばかりとらわれることなく、シンプルで良いものを長く着られるようで、外見にあまりこだわらず、誰かのために自分がなすべきことに自分の能力と時間を多く使われていたように見えました。そして、笑顔がとてもチャーミングでした。本当に有能で知性があるということはこういうことだろうと、素晴らしいご夫婦の生き様を見せていただきました。

 

若い人々は「いいね!要求症候群」のバカなSNS活動を抑えて、こういう指標となるような老人や大人たちの生き方を求めて、ドキュメントというか、ここにこういう生き方をしている人がいるというような記録をSNSにアップしたらいいと思います。特に老人はSNSが使いこなせないでしょうから、サポートしてあげてください。老人だって言いたいことをいっぱい持っている人がいると思うし、本当に悲しい事や辛いことを経験した人は、その経験を絶対語りたくないと思いますが、その語りたくないことの中に絶対他人では経験できない大事なことがあります。今のマスコミで流れていることはお金になることか誰かを傷つけて自分の無能さを隠し、誰かを貶めて留飲を下げるような下種なことです。SNSが広がって情報過多ですが、本当に大事なことに人生の時間を使うべきです。記録を残しておけば、きっと誰かが見つけてくれます。おそらく、これから尊敬に値する人の生き方を多く紹介してくれる人のSNSやサイトがヒットすると思います。そして、そういうサイトが次の時代を創っていくと思います。もう無能なのに裏でいろんなことをして有能であるように偽って、威張ってばかりのおやじの時代は終わりにしなくちゃ。