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日本での「ドラッカーのブーム」

2023-11-15 07:12:24 | 日記

マンガを含めて、ドラッカーを紹介した「もしドラ」が大ヒットした。ドラッカーを「マネジメントの父」として、とりわけ経営者、ビジネスマン、組織運営のノウハウとして読まれている。

しかし、多くはドラッカーの経済学上の歴史的位置づけまで踏み込んでいない。

20世紀に入り資本主義の矛盾が激化し、経済恐慌と帝国主義、世界大戦という人類未曾有の人災が襲った。
労働者階級による革命を恐れた経済学者のなかから、ケインズ、ハンセン、ガルブレイス、ドラッカーなど知的巨人があらわれた。
ケインズ学派ともいう。いわゆるケイジアンだ。

一番大きな特徴は、社会主義、共産主義を極度に非難している。自由に反する「全体主義」として。
労働組合にも嫌悪していたといわれる。
「自由な機能する社会」が、どれほど労働者、中小企業の自由を抑圧しているか! 彼らに理解ができないと思う。

確かに旧ソ連は、マルクスが目指した自由と民主主義から大きく遅れた社会になってしまった。とうてい「社会主義」とはいえない社会だった。

ケイジアンの共通点は、ヨーロッパの封建社会とも王制国家とも無縁な「自由な社会」としてスタートしたアメリカであった。
「新しい資本主義」を標ぼうした。
その後「新自由主義」へと発展していった。
(そういえば岸田首相は「新しい資本主義」を売り文句にスタートした。いまはどうなっているのか?)

大工業が発展し「自由な機能する社会」(ドラッカー)を夢見た「産業社会」を論じた。
労働者をいかに「市民」にするか。
雇用された専門家、技術者、教師などのテクノクラート(技術官僚)など知識人が賢明にマネジメントすることが必要だ。

資本主義は賢明に管理さえすれば、理想の社会になるという。
資本家と経営者が分離し、高度な知識をもったテクノストラクチャーが企業や官僚のなかで権力を行使していくという構想だ。

ドラッカーは資本主義の「賢明な管理」としてマネジメントの理論を発展させ、多くの書籍、ノウハウ、格言を残した。
俗っぽくいえば、その一部が「社長心得トラの巻」「新入社員必携集」のようになっていったのではないか。

その結果どうなったか。
巨大企業が、多国籍企業の支配力が強大となり、「格差と貧困」が極端になっていった。環境危機も待ったなしになった。
日本では「社畜」「過労死」という状態に。非正規労働が半数近くとなり、低賃金・不安定雇用が増えてしまった。ブラック企業もひどい。

売り上げが増えなくても利益はどんどん増えていった。いわゆる「コストカッター」だ。その矛先が労働者であり、下請けに広がっていった。

こうした「新自由主義」の弊害に対してケイジアンはどのように対応していくのか。

この方向とは別に、日本共産党は「日本経済再生再生プラン」を今年の9月に発表した。
カギは「政治の責任で」である。

ぜひ一読を。
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