いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

麦2010

2010年05月23日 15時43分39秒 | 筑波山麓

   ―カメムシも出演しています、わかるかな? ―  麦2009麦2008

大卒⇒就職というコースを歩む若者は同世代の25%;

ニュースで21年度の大卒者の就職内定率を報道していました。90%。「高いんじゃん」とおいらは感じました。そして、おかしいとも感じました。高すぎる。そんなに就職が楽なのか? 大卒就職率90%ならあの就活騒動は何なんだ?と。例えば、内田樹センセは就活でゼミを休んだ学生に激怒;

ゼミに来ないということは、フルタイムで就活に走り回っている、ということである。

気の毒である。(中略)

私が「そんなことをすると、ろくな結果にならない」とうっかり口走ってしまうと、それはきわめて高い確率で現実化するのである。

だから、君たちがわが身の安全をほんとうに案ずるなら、私を怒らせてはいけない。
 内田センセ:就活に喝。 こぇー。

▼よく調べた。大学卒業学生数が56万人。その内就職内定者数が34万人。ただし、大卒で就職希望者が38万人ということで、大卒就職率90%という値がでた。根拠⇒厚労省pdf資料:(平成21年度大学等卒業予定者の就職状況調査(平成22年4月1日現在)について

それにしても、大卒就職率90%という値はあやしい。そもそも就職希望者が38万人というのがあやしい。この厚労省のデータは大学への問い合わせの結果を集計したもので、大学側が就職希望者を低く報告しているのではないか?

ところで、この2010年時点での大卒年齢である22歳の人口は約135万人。大卒で内就職内定者数が34万人ということは、大卒⇒就職というコースを歩む若者は同世代の25%ということになる。少ないよね、25%。印象と違った。調べてよかった。

一方、大卒者56万人で就職しないのが22万人。大学院に進学するのが7万人(年度は少しずれるが、文科資料)。だから、就職も進学もしない大卒者数は15万人。大卒の1/4となる。大卒⇒就職も進学もしないというコースを歩む若者は、同じく、同世代の25%。この値は大きいよね。びっくり。

昭和の価値観はしぶとい?

保守化する若者といって、終身雇用を望む若者の比率が増加しているらしい。そういう人たちは「大卒⇒就職というコースを歩む若者(同世代の25%)」のグループに属していると思われる。大卒⇒就職って少数派なんだね。エリートだ。厳しい活動を経て就職したので、大卒⇒就職というコースへの自信が深まるのも当然であろう。そう簡単には手放したくない、しがみつきたくなる。新卒一括採用の慣習&終身雇用という昭和の価値観は、「エリート」さまの中に、どっこいしぶとく生きている。(参考⇒あんなにされても会社を辞めないって不思議。)

城繁幸さん的主張(ブログ)は保守化する若者にとってはなじめないのかもしれない。城繁幸さん的危機感や指摘をおいらはもっともだなぁと思うこともあるが、実は大卒⇒就職、特に大卒⇒大企業という人生コースのグループはしぶとく生き残るんだと思う。なぜなら、同世代の25%の大卒⇒就職者は同世代の残りの多数派を低賃金でこき使えば、自分たちの給料くらい高く維持できるだろう。キャノンとかトヨタとかそういう仕組みで利益あげてるんだろう。

ところで、城繁幸さんは「残酷なようだけど「東大出て大手の担当部長やってる45歳」というような人で、恐らく転職して同じ水準の報酬が 貰える人は5%もいないだろう」とか言う。そうだとおいらも思う。

ここで、「東大出て大手の担当部長やってる45歳」というこの意味は、大企業の東大出など大卒者は企業という組織で守られているという指摘である。つまり、「実力」がなくても「身分制」で守られていると。宮台風に言えば、ゲタをはいている、ってやつだ。

しかしながら、この「ゲタをはいている」という論理を、グローバリズムの観点から、日本人全体に適用するとどうなるか? 日本人の大部分、そして城繁幸さんも、日本という国家、あるいは日本語という文明に守られているから今の報酬を得られているのであり、「世界」に放り出されてインド人や中国人、あるいは米国人とガチンコで競争したら、恐らく転職して同じ水準の報酬が 貰える人は5%もいないだろう

●以上、40過ぎてバイトのおいらが書いてみました。



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