昨日のブログ記事に東京は神保町の内山書店の3階の古書コーナーで、柴田穗・『周恩来の時代』という1971年9月1日に刊行された本を古本として買ったことを書いた。500円。Amazonでの中古品の価格は1円。送料を入れて、251円。だから、古書店店頭で買って、249円損したことになる。
この内山書店で買ったこの古本には下記のレシートが挟まれていた;
このレシートから読み取れる情報は;
① この本は1976年4月16日に購入された。
② 新品(非古本)として購入された。定価の580円。
③ 購入した場所は札幌市中央区北8条西8丁目の北海道大学内クラーク会館の生協である
上の情報から購入者の動機がうかがえる。そのうかがえる動機を説明する前提情報;
a) この本は1971年9月に刊行されているのに、実際に購入されたのは1976年4月16日である。
b) 1976年といえば周恩来が死んだ年である。周恩来死去の日付は、1976年1月8日である。 (なので、購入者は必ずしも周恩来の死をうけて、この本を購入したわけではない)
c) (この1976年1月8日と1976年4月16日のギャップを説明したい)
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四五天安門事件。 今となっては1989年の六四天安門事件の方が有名となったが、元来、天安門事件といえは1976年4月5日に起こった四五天安門事件である。
1976年4月5日に中華人民共和国の北京市にある天安門広場において、同年1月に死去した周恩来追悼の為にささげられた花輪が北京市当局に撤去されたことに激昂した民衆がデモ隊工人と衝突、政府に暴力的に鎮圧された事件、あるいは、この鎮圧に先立ってなされた学生や知識人らの民主化を求めるデモ活動を包括していう。(wikipedia)
上記のことから、購入者の動機がうかがわれる;
購入者は1976年4月5日に起こった四五天安門事件を受けて、中国問題、周恩来問題に関心を持った。その知的好奇心を満たすことがこの本、柴田穗・『周恩来の時代』の購入の動機である。
購入者は、1976年4月5日に起こった四五天安門事件の9日後に、札幌市中央区北8条西8丁目の北海道大学内クラーク会館の生協で柴田穗・『周恩来の時代』を購った。
■ 購入者は誰か?
この古本の扉を開けると、蔵書印というにはあまりに即物的な押印がなされていた。
丸尾
ここまでの事実を積み重ねて、次のことが言えそうである;
丸尾さんという人が、1976年4月5日に起こった四五天安門事件を受けて、中国問題、周恩来問題に関心を持った。その知的好奇心を満たすため柴田穗・『周恩来の時代』を、1976年4月16日に、札幌市中央区北8条西8丁目の北海道大学内クラーク会館の生協で購入した。
そして、丸尾さん。 丸尾さんって、誰だろう?
ググってみた ⇒ google
案外簡単に特定できそうだ。 丸尾常喜さん。 中国近現代文学研究者、特に魯迅の専門家とのこと。でも東大教授とある。
調べた。丸尾常喜さんの履歴。履歴そのものは直接は発見できなかったが、傍証が見つかった;
1977年に北海道大学の紀要に論文を書いている。1976年には北大に在職していたのであろう。その後、東大に移ったらしい。
このおいらの手元にある古本柴田穗・『周恩来の時代』に押印された「丸尾」は、丸尾常喜さんのものなのであろうか?
もし、この本が丸尾常喜さんの蔵書の1冊だったとした場合、なぜおいらが内山書店でこの丸尾押印の古本と邂逅できたのであろうか?
仮説を立ててみた;
丸尾常喜さんは2008年に他界されたとのこと。中国近現代文学研究者、特に魯迅の専門だったのであるから蔵書が大量にあったはずだ。それを中国専門の古書店が丸ごと買ったのだろう。その丸ごとかった古書業者が内山書店自身なのか下請け業者なのかはわからない。でも、その中国関連書籍の一滴としてこの柴田穗・『周恩来の時代』が内山書店の3階の古書コーナーに並んだのであろう。
以上が事実と推定である: 「 ずばりそうでしょう ??? 道産子の『周恩来の時代』の由来の推定 」
後記: こういうのを見つけた;