ここ最近私のまわりはダイアローグ
ダイアローグと言っている方が多いようで
はて対話って何なのだろうと かつて買って
読みかけていた 『ダイアローグ』という本なんかを
触ってみると なんだか対話というのはフランスの
カフェでの会話と似ているようだ。
そうかーー対話ねえと思いながら
昨日はフランス人と会う機会があったので
その人と会いに街に出た。
フランス人と会うといえば
先日嫌な思いをしてから 留学時代の
つらい経験を思い出し もうこりごりかも
やっぱりしんどい こりゃパリ症候群にもなるよなーと
警戒心を隠せないでいたけれど 今回の人は
なんだかかなり良さそうな人で 警戒心もちょっと薄れる
その人は 以前パリの哲学カフェで出会って知り合った人の
友人で 京大に「脳に性別はあるのか」というテーマで
講演をしに来るらしい。私は全然しらないけれど
パリのパスツール研究所で働いているカトリーヌさんという方で
脳だとか狂牛病だとかについて研究をしているらしい。
彼女と会って ちょっと雨の街を散策しながら
どこに行こうかと散々悩んでみた結果
日本の文化を知ろうというわけで結局「ワタミ」に行くことになる
この選択、、、どうなんだろー 日本人的にはまるで
いけてないよなーと思いながらも 彼女は彼女で喜んでくれ
まあいいっか ということになる。
さてそこで長々と彼女と話をしていくと
やっぱり会話が面白くって 彼女は政治が科学におよぼす作用に
ついて最近は興味があるのだと言った。科学は科学といわれるけれど
政治的にも利用され 悪影響をおよぼすこともあるわけで
科学だけでなく 科学と社会などにも興味があるらしい
そこででてきた話題のメインが脳とジェンダーみたいなことで
彼女は「脳みそに性別なんてない!」と言い切っていた。
かつては男と女の脳とか 白人と黒人の脳は違うと言われていたけど
そんなことはないわけで 産まれた子供の脳みそは10%しか
機能してなく 環境の変化やいろんな作用によってそこから
激しく脳が機能していくらしい。
そこで私たちがした話は「自然」と「文化」は違うってこと
日本にいると つい子供を産んだりする環境で「自然派育児」とか
「自然に産みたい」とかいうけれど だから私はそれはある意味
動物的だと思ってたけど 彼女はそれらを「文化」なのだと言っていた
産むときに痛みがあるのは「文化」じゃなくて「自然」だろうと思うけど
その後の育児にどれだけ母が関わってくかは「文化」によって違うのかなあ
そして彼女はジェンダーらしく 「文化」はかつて人間がつくった
歴史なわけで それなら変えてゆけるのだ というようなことを言っていた
最近めっきり古風な方に逆戻りした私にとって
彼女の話はかなり頭で考えられたセオリーなように聞こえたけれど
ボーヴォワールのような人達がきっかけになり
どんどんフランスは変わっていって 男女同権
女も産後すぐに働いて 子供を産んでも 特に変わらない
そんな風になったらしい。
でもさー 産後すぐなんてへろへろで とても動けないと
思うけど と私が言うと「三ヶ月から働けるわよ!」
ほんとかなー 私には信じられないと私は言うと
「でもそれは人によるし それが可能な人たちだって一杯いるわ」
なんだかんだで言い負かされて 「よく考えたら私が産後
本当にしんどかったのは本も書いていたからかもしれない」
そういったら彼女は「そうよ!」と即答をして
「あなたは二人の子を産んだようなものだからね
あなたの経験は一般化できるものではないわ」と言っていた。
確かになー 一人目で一番しんどいときに 私は本もやっていたから
そりゃかなりしんどくて 二人目はぐんと楽なのかもな
しかしこういういわゆる「対話」は 面白いけど
なかなかしんどい。ボーヴォワールはかつて話し相手を
「こてんぱんにやっつけた」と書いていたけど
ちょっとそんな感じだなー
それにしても フランスはかなり子育てしやすくなってるらしく
女性も8割の人が働いていて 専業主婦はほとんど存在しないらしい
そういわれると 「何で日本はそうじゃないの?」といわれると
「若い人達も女性は従順なように見える」といわれると
うーん確かにと思うけど それはそれで 家庭生活が
うまくいくのかもしれなくて どうなんだろう 女性が
家庭も仕事ももって 本当にうまくいくには
もっと違う価値観が必要なんだろうと思う
日本人と フランス人とでは働き方もまるで違うし
フランスでうまくいっても それをそのまま日本に適応しようとしたら
無理が生じることがある。
ところで彼女と話をしていたnatureということは
科学者的には人間の生物学的な自然なんてないらしい
では自然がその文化の昔からある形をさすのなら
いわゆる「自然派育児」は女性に古風な形の育児をさせて
家に縛られることになるわけで 彼女的には natureなんてなく
脳のように全てが環境に左右されるだけなのならば
環境をつくりかえればいいじゃないかという発想になるわけだ
さすが革命の国!人間が社会をつくっているという
そういう哲学の国ならではの強い発想なような気がする
日本の哲学はよくいわれるけれど「自然共生型」と
いうわけで 周囲の自然や環境に合わせて生きてくわけだ
「征服型」じゃないもんなー 子育てをしてそれをすごく
感じるけれど 「日本だってもっと女性が自由になるべきよ!!」と
言われると そうだなー もう自由な気もするけれど うーんと
言葉が出てこない。対話って 難かしいよね
黙っていると言いくるめられ 意見を言っても
「私はそうは思わないわ!だってね、、、、、!!」と言われ
またまたうーんと思ってしまう
日本ではよく話す方の私はいつも フランス人の側からみたら
何を言いたいんだかと思われてしまっているのだろう
対話もカフェも女性の自由も みんな西洋から来た概念だけど
まったくもって文化も違う 正反対なくらいの日本で
何がどれだけ通用していくのだろう フランス人と会ってみると
いつも刺激されるけど いつもなんだか途方に暮れる
それでもパリは今ベビーブームなようだから
もう少し フランスの子育て事情を学びたい。
カトリーヌさんの本は日本語でも出ているそうです 面白そうだな!
http://www.amazon.co.jp/脳と性と能力-集英社新書-カトリーヌ-ヴィダル/dp/4087203964/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1242618409&sr=1-1