北京オリンピック・フィギュアスケート、女子ショートプログラム(ジャッジスコア)。
<G1>
アナスタシア・シャボトワ(ウクライナ) SP:48.68(30)
「Carol of the Bells」「Shchedrick」♪ 白に赤い花、緑のスカート。3アクセルに挑んだが転倒してフェンスにぶつかる(回転不足)。両手上げ3フリップ下り、両手上げ3ルッツでオーバーターンしたが頑張って両手上げ2トウをつけた。
団体戦では3アクセルを入れずにまとめていたが、今回は挑戦してきた。「ステップシークエンスでつまずく場面があった。体が動いていなかったか」と解説・鈴木明子さん。
イェンニ・サーリネン(フィンランド) SP:56.97(25)
ドビュッシー「月の光」♪ 薄紫。冒頭の3トウはオーバーターンしたが3トウに繋げた。ウォーレイからのサルコウが2回転に 足を後ろに高く上げてからの2アクセルはきれいな流れ。
ピアノの細かい音に合わせながら、丁寧で表現豊かなステップ。なんていうか、ステップらしい感じがした。レイバックスピンもオーソドックスできれい。
オルガ・ミクティナ(オーストリア) SP:61.14(18)
「My Nocturnal Serenade」♪ 紺黒グレー赤など。細身の体で、両手上げ3フリップ+両手上げ3トウを決める。2アクセル、後半両手上げ3ルッツと入った。「踊りが得意」と紹介されたとおり、パン!と高く足を上げたり、腕をきゅきゅっと動かしたり、きびきびした動きがいい。ビールマンに持っていくところも横からで面白かった。終わって両手でガッツポーズ
ルッツは回転不足があった。
河辺愛菜 SP:62.69(15)
ヴィヴァルディ「四季」より「冬」♪ 白にシルバー。3アクセル、惜しい転倒(回転不足)。 両手上げ3ルッツ+3トウをしっかり決めて立て直す。後半3フリップもきちんと決めた。
バイオリンの細かい音といっしょによく動くステップ、一瞬ドーナツスピンのポジションになる動きなど、面白い。とりあえずトップに立つ。
リンゼイ・ヴァン・ズンデルト(オランダ) SP:59.24(22)
「11 Past The Hour」♪ 黒。46年ぶりのオランダ代表出場。演技中にチャンネル切り替えが来てしまった ジャンプは右回り。3ルッツ+両手2トウ、2アクセル、3ループと全てGOEはプラス。
上半身を大きく動かしてダイナミックなステップ、しっかり高く足を上げたビールマンスピンもよかった。終わってとてもうれしそうな笑顔 シーズンベスト更新。
ジョセフィン・タリエガード(スウェーデン) SP:54.51(26)
「Ready or not here I come」♪ 黒つなぎにストーンたくさん。力強い動きから、3ルッツ+2トウ、3フリップと下りる。パン!と腕を突き出したり、パン!と止まったり、2アクセルを下りた流れでパンチを繰り出したり、カッコいい
踊っている中にステップも踏んでいる、くらいのステップ、めっちゃ楽しい オリンピックでノーミスで見られて嬉しい。回転不足はあったけど、ドンマイ!
<G2>
カイラニ・クレイン(オーストラリア) SP:49.93(29)
「Heart of Glass」ブロンディ♪ 紺。唯一の南半球の代表。冒頭のルッツが2回転になってしまった でも3ループ+3ループ頑張る 2アクセルもきちんと入った。サイドウェイズ、ヘアカッターからビールマンのスピンはきれい。心を込めてステップを踏んでいた。
この時点で河辺愛菜のフリー進出が決まる。
ナターシャ・マッケイ(イギリス) SP:52.54(28)
「Sealion」♪ ブラウンにピンクのストーン。右回りジャンプの選手。最初の3ループ転倒、3サルコウに2トウをつける。2アクセルは高さもあった。「つなぎが凝っている」と解説・鈴木明子さん。ロック調の曲でスピンも回転速く、最後までよく動いていた。
アナスタシア・グバノワ(ジョージア) SP:65.40(10)
「Une vie d'amour」♪ 黒に赤ストーン。柔らかな指先の動き、情感たっぷりに滑る。3フリップ+3トウ、余裕をもって下りた。2アクセルを下りてすぐスプリットジャンプ、両手上げ3ルッツもきれい。
ステップの一歩がよく伸びているだけでなく、振付が曲とぴったり合っていて、どんどん引き込まれる。スピンではI字姿勢を作るのが速く、柔軟性を感じる。ヘアカッターのレイバックスピンでフィニッシュ。
マライア・ベル(アメリカ) SP:65.38(11)
「River Flows In You」♪ 紺にストーンで縁取り。アダム・リッポンがコーチとして帯同。全米チャンピオンとして五輪に初出場。3フリップ+3トウ、下りたかと思ったら転倒 2アクセル、後半高く足を上げてからの3ルッツ、きっちり入った。
ピアノの同じ旋律を繰り返す中、姿勢のピンとしたスピン。美しいスパイラルからステップ、のびのびと雄大に表現していく。終わってちょっと苦笑い。
マデリン・シーザス(カナダ) SP:60.53(20)
「My Sweet and Tender Beast」♪ ワインカラーのグラデーション。昨日が19歳の誕生日。キーガン・メッシングが巨大なカナダ国旗を振っている。ジャンプは右回り。3ルッツはステップアウトしたが、3ループに2トウをつけてリカバリー。足を前に高く上げてからの2アクセルから、勢いよくステップに入っていく。
「エッジにしっかり乗ることができる」と鈴木明子さん。本人は団体戦ほどいい出来ではなくて悔しそう。
朱易(ジュー・イー ZHU Yi)(中国) SP:53.44(27)
「Paint It Black」♪ 濃紫。金博洋がパンダの帽子で観客席で旗を振る。3フリップはステップアウトしたが(ダウングレード)、2アクセル、3ループ+2トウと頑張った ビールマンスピンをこなし、ステップはよく滑れてポーズも決まってきた。今日は団体戦の二の舞にならなくてよかった
<G3>
エリシュカ・ブレジノヴァ(チェコ) SP:64.31(12)
「Sweet Dreams」♪ グレー。3ルッツ+3トウ、団体戦に続いてばっちり決まった 3フリップ、片手上げ2アクセルも切れがいい。キャメルスピンはじっくり見せる。ジャンプが決まったのでステップもノリノリ、パワフルに躍動する。
レイバックスピンで「少し回転が遅くなってふらついた」と鈴木さん。しかし充実の笑顔で終わった 自己ベストさらに更新
エヴァ‐ロッタ・キーブス(エストニア) SP:59.55(21)
「Baiana」♪ カラフルな色とりどり。曲は「バイーア(ブラジルの州の名前)の娘」というような意味かと思われ、歌詞もポルトガル語らしく聞こえる。3フリップ+3トウ、「1つ目で幅、2つ目で高さを出す理想的なジャンプ」と鈴木明子さん。イーグルから2アクセル、下りてそのままイーグル。片手上げ3ルッツで大きくステップアウトして両手をついてしまった。
パーカッションが印象的な曲で、シャープな動きで魅了した。
アレクサンドラ・フェイギン(ブルガリア) SP:59.16(23)
「ライムライト」より「テリーのテーマ」♪ 紫の濃淡。フィルムが回り始める音でスタート、柔らかく2アクセルを決める。3トウ+3トウ、後半3ループも下りた。
ところどころにチャップリンらしい仕草を織り込みつつ、どこか優雅な雰囲気で滑る。キャメルスピンは少し回転が遅くなってしまったが、全体によくまとまっていた。シーズンベスト更新
ヴィクトリア・サフォノワ(ベラルーシ) SP:61.46(17)
「Time to Say Goodbye」♪ グレーと水色。両手上げ3ルッツ+3トウ、音とも合ってぴたりと決まる。2アクセルの流れがなんともいい。3フリップも安定していた。
しっかりスピードにも乗っているステップ、「長身がリンクに映える」と実況アナウンサー。ソルトレークシティ五輪以来のベラルーシ代表だそう。
ルッツのエッジにアテンション、フリップのqなどでやや伸び悩む。
ニコル・ショット(ドイツ)) SP:63.13(14)
「Adios Nonino」アストル・ピアソラ♪ 黒に赤の縁取り。3フリップ+3トウ、頑張る。曲がスローになるところで、スケーティングの一部のように3ループを下りた。2アクセルも問題なく決まる。
タンゴらしい足さばき、体のひねりや首の使い方、一歩を大きく伸ばしたり素早く動いたり、めりはりのあるプログラムを演じきった。
シーズンベスト更新
アレクシア・パガニーニ(スイス) SP:61.06(19)
「ラ・クンパルシータ」♪ 黒。タンゴが続く。3ルッツ+3トウを下り、3ループは下りてツイズルに繋げる。後半2アクセルもきれいにつなげていく。
腕や視線をうまく使って、色っぽいタンゴを表現していく。最後の要素にステップ、素敵だった ジャンプにはqがついて思ったほどの得点は出なかったか。
<G4>
キム・イェリム(韓国) SP:67.78(9)
リスト「愛の夢」♪ 水色。軸の細い両手上げ3ルッツ+3トウ、きれい ターンからの2アクセル、つなぎも良い。後半両手上げ3フリップも決まり、喜びに満ちた表情でステップに入っていく。一歩の伸びと体の動きのしなやかさ、魅力あふれる。スピンも姿勢の良さと回転の速さで惚れ惚れした。
フリップにqがついていた分伸びなかったか。
樋口新葉 SP:73.51(5)
「Your Song」♪ パステルブルー・グリーン・イエロー。微笑みを浮かべて位置につく。3アクセル、下りた 3ルッツ+3トウ、後半3フリップもしっかり決める。
丁寧にスピンをこなし、じっくり見せるステップは、ここにいることの幸せを体中から滲ませて、いい表情滑っていく。ヘアカッターのレイバックスピンで空をつかむ。ふんわりと笑顔で終わった。
オリンピック史上5人目のトリプルアクセル成功者となった
エカテリーナ・クラコワ(ポーランド) SP:59.08(24)
チャイコフスキー「感傷的なワルツ」♪ 薄紫のグラデーション。冒頭の両手上げ3フリップで大きくステップアウト、手をついてしまった。2アクセルはきれいに流れ、両手上げ3ループに片手上げ2トウをつけた。
小柄な選手だが、常に視線が上のほうを見ていて、小さく見えない。「指先まで神経が行き届いている」と鈴木明子さん。スピンの姿勢も良いが、感情が豊かに迸っているステップが見ていて飽きない。
フリップにエッジエラーと回転不足があった。
アリサ・リウ(アメリカ) SP:69.50(8)
ミンクス「ジプシーダンス」♪ 鮮やかなオレンジ。帯同するコーチは元オーストリア代表のヴィクトル・ファイファー。アクセルは2回転にした。スピードに乗ったまま見事な3フリップ、後半3ルッツ+3トウも問題なし。曲が盛り上がるところで、全身で弾むようなステップ、「はつらつとしている」と鈴木明子さん。フライングキャメルスピンに入るところで「音に合わせていた」。なるほど
コンビネーションジャンプにqがついた。
ロエナ・ヘンドリクス(ベルギー) SP:70.09(7)
「Caruso」♪ 赤。両手上げ3ルッツ+3トウ、一瞬危ういかと思ったが頑張る。長いイナバウアーから2アクセルで片手をついてしまった。後半の両手上げ3フリップは鮮やかだった。「ボーカルに負けない力強いステップ」と解説。スケートが伸びるだけでなく、体を大きく使っている。
エッジと靴をホールドする美しいシルエットのビールマンスピン。コーチの兄と抱き合った。
エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン) SP:61.82(16)
「マンボ・イタリアーノ」♪ 紫に緑。両手上げ3ルッツ+3トウ、落ち着いてしっかり決めた。2アクセルは助走で減速するが慎重に決める。後半両手上げ3フリップを決めて嬉しそう。
ステップはマンボらしく、体を揺らしたりする動きで。ビールマンスピンを急いで回ってフィニッシュ。
ルッツとフリップ、両方にエッジのアテンションがついた模様。
ここまでで樋口若葉が依然としてトップ。全体にエッジも回転不足も判定が厳しいかも
<G5>
カレン・チェン(アメリカ) SP:64.11(13)
「Requiem for a Tower」「Requiem for a Dream」♪ 紺。3ルッツ+3トウ、高さが出た。2アクセルも入ったが、くるくるターンからの3ループで転倒(ダウングレード)、少し演技が途切れてしまった。
しかしスピンの回転の速さはさすが最終グループ。雄大なスパイラルから入るステップ、どんどん力強さを増していく。
終わって悔しそうに頭を押さえた。
カミワ・ワリエワ(ROC) SP:82.16(1)
「In Memoriam」♪ 紫の濃淡。さすがに緊張した表情で位置につく。両手上げ3アクセル、珍しくステップアウト。両手上げ3フリップはきれいに流れる。後半の両手上げ3ルッツ+両手上げ3トウ、しっかり下りた。
足を手で抱えて上に伸ばす姿勢のスピン、足首をホールドするビールマンスピンと得意なことはちゃんとできる。ステップも情感豊かに、少し泣きそうな顔にも見えたが、最後まで頑張りぬいた。
終わって少し涙ぐむ。客席から前回大会のメダリストたち、ザギトワとメドベージェワが拍手を送っていた。
ユ・ヨン(韓国) SP:70.34(6)
「Whirling Winds」♪ ブルーグレー。3アクセル、きれいに決まったと思ったがダウングレード判定 3ルッツ+3トウ決まり、3フリップはフェンスに近づいたがなんとかこらえる。
ビールマンスピンをじっくり見せ、ステップにはイーグルやイナバウアーを織り込んでさらに盛り上げる。キス&クライでは濱田美栄コーチと手を握り合って。
アレクサドラ・トゥルソワ(ROC) SP:74.60(3)
「フリーダ」♪ 赤系。情熱的な女性ボーカルにのって、3アクセルに挑み転倒。さらさらっとステップから両手上げ3フリップ、後半両手上げ3ルッツ+両手上げ3トウ、強い。身のこなしが大人っぽくなって、スペイン語の曲に負けていなかった。
アンナ・シェルバコワ(ROC) SP:80.20(2)
「Dangerous Affairs」「Total View」♪ 黒系。さりげなくステップから2アクセル、両手上げ3フリップ、両手上げ3ルッツ+3トウと強い意志を持って決めてきた。下りてすぐのキックとか、いろいろなつなぎがある。少しせわしなく見える気もするが、美しさは際立っている。
坂本花織 SP:79.84(3)
「グラディエーター」より「Now We Are Free」♪ ゴールドとブラウン。ぎゅっと両肩を抱きしめて位置につく。滑り出しからトップスピード、2アクセルの幅の素晴らしさ 一歩でぐーんと加速するので、いわゆる“漕ぐ”ところがとても少ない。3ルッツ、3フリップ+3トウ、完璧な高さ
自由奔放に氷上を駆け巡る、大きく力強く進んでいく。ビールマンスピンで片手を差し出す、全ての人に捧げる喜び。
終わってコーチに抱きついて涙する。大きなプレッシャーと戦っていたんだろう。キス&クライでは帯同していないコーチたち、グレアムさんと川原星さんの団扇を持って。得点を見てまた涙
見事自己ベスト更新で3位
結果、ワリエワがトップに立ち、2位にシェルバコワ、3位に坂本花織 4位トゥルソワ、5位に樋口若葉 6位ユ・ヨンまでがフリー最終グループとなる。7位ヘンドリクス、8位アリサ・リウ、9位キム・イェリム、10位グバノワ、11位マライア・ベル、12位ブレジノヴァ。河辺愛菜は15位。
ワリエワがフリーに進出したので、25位のサーリネンまでがフリーに進む。地元中国の朱易はフリー進出を逃した。
フリーが明後日17日(木)19時(日本時間)から。愛菜ちゃん若葉ちゃん花織ちゃん、思いっきりやってこい!!!
北京オリンピック・フィギュアスケートの団体戦にROCとして出場したカミワ・ワリエワ選手のドーピング問題。CASが個人戦の女子シングルに出場を認める決定を下した。
出場資格停止など、最終的な処分は改めて検討されるようだ。今回はこの北京オリンピック出場が可能かどうかのみを審議したという。
16歳未満で保護対象であること、12月の大会時の検査結果がこの時期に出た深刻な遅れなど、いろいろな要素が考慮されたらしい。
ワリエワ選手がフリーに進んだ場合、25位の選手もフリーに進めることになった。最終結果で3位以内に入った場合、マスコットセレモニーやメダル授与式を今大会中には行わない。団体戦のメダル授与式も今大会中には行わない。
出場資格停止期間が最終的にどうなるか、禁止薬物が検出されたのはA検体なので、B検体の結果がどうなるか。今大会のワリエワ選手の成績が有効となる可能性もあるのか。
「祖父の薬が混入した」可能性を弁護士が示唆しているとか。いずれにしても、何が起こったのか、明らかにしないといけない。
それにしても、、、マスコットセレモニーやメダル授与式をやってもらえないって、ほかの選手にはいい迷惑 団体戦のメダルも、チームがそろっているところで、みんなが掛けているのを見たかった。ショートプログラム25位の選手だけはラッキー
もうすぐ、その女子ショートプログラム。選手たちは余計なことは考えずに、自分の力を発揮しておくれ