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香港映画「人生の運転手(ドライバー)」

2021年11月03日 03時14分03秒 | 映画

 香港映画「人生の運転手(ドライバー)~明るい未来に進む路~」を見てきた。原題は「阿索的故事/The Calling Of A Bus Driver」、意味は「索(ソック)の物語/バス運転手という天職」というような感じだろうか。
 パンフレットを買おうとしたら「制作しておりません」だった

(以下ネタバレあり)
 ヒロイン蔣九索(ジョン・ガウソック)、通称阿索は、彼氏が3代目社長をしているチリソース(辣椒醬)店で働いている。頼りない彼氏・陳志高(チャン・ジーコウ)を助けて切り盛りする生活は充実していたが、、、
 伝統の味で手堅く商売していた店に、大陸からやってきた美女・琪琪(ケイケイ)が提携話を持ち掛けてきて、歯車が狂い始める。大陸に進出する気はないと断っても、鮮度を保つパッケージなど工夫してきた琪琪を、阿索も信用して提携することに。そして志高は最初から琪琪が気になっていたようで、、、
 商売は順調に展開、志高は大陸と往復の毎日で阿索とすれ違いばかり。浮気を疑う阿索に琪琪は「つきあいが長いと波がある。たまにはサプライズもいいのでは」とアドバイス。さっそく志高の留守に記念日サプライズを仕掛けに行ったら、そこには志高と琪琪
 店を辞めた阿索は、バスの運転手に慰められ、目に留まった募集を見て応募。採用されて働きだすと、琪琪の元彼に“復讐”に誘われる 元彼・李振民は琪琪に騙されて財産を失い、妻と離婚していた。復讐など興味がなかった阿索だが、志高が長年働いてきた従業員たちを解雇していたと知り、協力することに。
 結婚した志高と琪琪の家に隠しカメラを仕掛けたり、あれこれ画策する李振民。大陸での売り上げが落ちてきたこともあり、夫婦の間に溝が さらに李振民は琪琪に罠を仕掛け、琪琪は逮捕されてしまう。
 そんなこんなの合間に、阿索の両親と祖母の話や、乗務中に乗客が産気づいて大変なんてエピソードが入る。
 ラストはバス停で。志高がネット販売でチリソースの商売を再開したと聞いて安心する阿索、出発しようとすると幼馴染とばったり、ちょっといい感じになりそう?というところで終わる。

 阿索の父が経営するレコード店の家賃がいきなり3倍になり、店をたたむことになる話は、最近の香港の“あるある”だ。大陸に進出して最初はよかったがその後続かず、というケースも実際ありそうな感じ。
 広東語が理解できる設定の琪琪は普通話、他の登場人物は広東語、というのも最近の香港映画でよくあるパターン。出資や上映の面で普通話の登場人物がいたほうがいいんだろう(今回はちょっと悪役だけど)。
 阿索を演じた王菀之(イヴァナ・ウォン)は2005年にシンガーソングライターとしてデビュー 前にこのブログでやっていた香港ヒットチャート集計に何度登場したかわからない。他にも張敬軒(ヒンズ・チョン)のコンサートにゲスト出演とか、ジョイントコンサートとか、音楽賞授賞式のハプニングの話CD紹介もしている。最近はTVドラマや映画の仕事が多いのかな。
 彼氏・志高役の梁漢文(エドモンド・リョン)は、蘇永康(ウィリアム・ソー)の盟友“Big 4”の一人。いい歳になってるはずだが、若々しい 李振民役の姜皓文(フィリップ・キョン)はTVドラマの刑事役でよく見かけた。したたかな女・琪琪の蔡潔(ジャッキー・ツァイ)、広東語を話さない設定かと思いきや、まくし立てる広東語で罵るシーンにびっくり 広東省出身だった。
 阿索の転職の後押しをする運転手は林盛斌(ボブ・ラム)、ラジオのパーソナリティーとして有名。阿索の父は若い頃バンドを組んでいてレコード店経営という設定そのままに、ロックミュージシャンの夏韶聲(ダニー・サマー)が演じる。
 若手の先輩運転手役で、ボーカルグループ・C All Starの梁釗峰と吳崇銘がちょこっと出演している。ラストの幼馴染は方力申(アレックス・フォン)、水泳のオリンピック選手から歌手になった人、いかにもスポーツマン風で登場

 香港の街中を縦横無尽に走り回るバス、人々の生活を支える足。山口文憲著「香港旅の雑学ノート」に、たしか「香港の人々にとって“うち”はバス停まで。そこから先は外」というくだりがあった。パジャマを部屋着とかマイルウェアの感覚で着て、ちょっとその辺まではパジャマで出かけてしまうという話のところ。パジャマで行っていいのはバス停まで、という例えだった。(70年代くらいの話)
 地下鉄の路線がどんどん増えて、バスでないと行けなかったところも地下鉄で行けるようになってきた。それでも、距離によっては路線ごとに一律料金のバスのほうが安いし、細かく止まるから便利。ほとんどが2階建てのバスは、香港らしい景色の一部だ。
 「人生はバスに乗ることと似ている。
  乗り間違えても正しいバスに乗ればいい。
  心配ない。必ず目的地に着く」

 香港行きたい・・・

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