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鄭中基(ロナルド・チェン)コンサート

2006年04月27日 04時07分29秒 | 香港

 人気沸騰の側田Solerに挟まれて、あまりチケットが売れないんじゃないかと少し心配した鄭中基コンサートだったが、当初2回の予定が1回追加。でも初日は“爆満”とはいかず、2階両脇のあたりは空席が目立った(握手席だったのに、ちょっともったいない^^;)。
 開演前のミニコント(?!)ビデオに、映画で数多く共演している李燦森(サム・リー)と張達明が登場。サムはYシャツにネクタイのサラリーマン役で、なんだかオッサンくさい(笑) 張達明は鄭中基のお株を奪う(?)女装姿。ロナルド自身はPaco黄柏高の真似をして笑わせる。
 最初はさすがに少し緊張して、ゆったり声が出ていない感じだったが、だんだんほぐれてきた。1ヶ月ほど前に映画撮影中に肋骨を骨折したため、激しいダンスや宙吊りはできないと報道されていたが、かえってやらなくて済んでよかったかも? スーパーマンならぬKマンの団体とビームのやりとりしたり、女性ボディビルダーにかつがれたり、素朴な趣向が楽しい。女性ダンサーたちとのからみは本人が楽しそう(笑)
 鄭中基のお父さん、鄭東漢がギターを持って登場すると、暖かい雰囲気に包まれた。かつてTeddy Robin & the Playboys(泰迪羅賓與花花公子)というバンドでギターを弾いていた鄭東漢は、寶麗金で総経理をつとめ、今はEMIの総裁をしている音楽業界の重鎮だ(そう書くと「なんだ、2世タレントか」と思われてしまうかもしれないが、そんなに楽して売れたわけではない)。機内で酔って暴れる事件を起こし、謹慎に近い時期を過ごしたこともある息子が、デビュー10年でようやくコンサートを開き、そこで一緒にギターが弾ける。。。喜びがじわっと伝わってきた。ロマンスグレーの素敵なおじさまに、観客からも「鄭パパ!」と声が飛んでいた。
 トークのゲストは張達明。「10年苦労したとか言ってるけど、僕なんか20年以上だもんね~」と先輩風を吹かせつつ、ロナルドが着替えに引っ込む間に観客を舞台に上げて、ソファに一人を座らせ、他の3人で“セクシーダンス”、とかなんとか、、、(若い男の子が妙に上手で大歓声)。そこへ出てきたロナルドも口を出して、今度は三角関係風のミニドラマ(最近香港であった事件が題材らしい)演出^^; これまた3人が頑張って演技したので大喝采、発売されたばかりの新曲+精選「正宗K」をプレゼントされて降りていった。(「次の曲はDisc*のtrack#だよ」などと宣伝もしていた)
 大物ゲスト・初日は譚永麟(アラン・タム)。登場直前に彼の歌をちょこっと歌詞を変えて歌ってウケて、「さっき何て歌ってた?」と追及されてたじたじ^^; 2日目は張學友(ジャッキー・チョン)、デビューのデュエット曲「左右為難」を歌うときは緊張してガチガチ。そもそも張學友のプロデューサーに見出されたのがデビューのきっかけらしい。大物大先輩たちの前では、新人のようになってしまう
 2日目には噂の恋人・Twins阿Sa阿嬌といっしょに見に来ていた。元カノ・楊千[女華]の曲、Twinsの曲と両方歌い、ゴシップ記事の写真をスクリーンに出して「いろいろ書かれてるけど、たくさんの人にもてなくてもいいんだよ、一人いれば」なんて言うあたり、逃げも隠れもしていない。彼にすればその時々で本当のことだったんだから別に恥じるところはないのだろう。そんな態度に精神的な成長を感じる。(3日目には元カノ・楊千[女華]も見に来たようだ。今同じ事務所でもあるし、泥沼になる前に別れたおかげなのか、比較的いい関係を保っている?)
 初日アンコールで“男子組”の5人がそろって歌ったあと、蘇永康が「僕といっしょで顔で売ってない歌手」とか言って笑わせたが、ロナルドの音楽に対する真摯な態度の話に観客から大きな拍手が湧いていた。(正確なところはよく聞き取れなかったんだけどたぶんそんな話だったんだと思う。)

 初日は観客の反応がいまいちで、ちょっと可哀想な気もしたが、2日目はコアなファンが多かったのか、初日よりずっと盛り上がってよかった。どの曲もあまり引っ張らずにさくっと歌って終わらせてしまうのが、案外聴きやすい。彼の歌い方は、目一杯張り上げてる瞬間が短く、たぶん無意識にすっと力が抜ける。それがかえって“切ない感じ”が出て、私は好きなのだ。
 そして、彼は自分がスターでも天王でもないことをはっきり自覚しているような気がする。どんなに頑張っても、自分は張學友や陳奕迅にはなれない。それでも歌いたい、音楽をやりたい。何か、求めても全ては得られないと知りつつ、自分にできることをやり続ける人間の健気さみたいなものを感じてしまう。
 けれども、今回歌っている彼は本当に幸せそうだった。もしかしたら、今ようやく自分自身をちゃんと好きになれたのかもしれない。人間は誰でも健全な自己愛が必要だけど、人前で表現する仕事の人は特に大事なのでは? そのタイミングを見抜いてこの時期にコンサートを設定したのだとしたら、、、やっぱりPacoってすごいかも。
 鄭中基は歌の神様じゃない。神様に選ばれた人でもないし、歌う時に神様が降りてくるわけでもない。でも、このコンサートでは普通の人がりっぱな主役だった。よかった

コメント (6)
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