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口パク禁止で思ったこと

2005年08月03日 17時55分01秒 | 香港
 口パク禁止!を書いた後に思ったことを少し。
 中国政府がこの決定をした背景には、大陸のポップス市場の急激な拡大に伴って、歌手の急増と商品化が進み、質の低下につながるという危機感がある、のかな~という気がする。
 昔の中国では、西洋音楽系なり伝統歌曲系なり、きちんとした専門教育を受けた歌手が、政府の意向と大衆の好みの間で絶妙なバランスを取っている曲を歌ってきた。当然、マイクがなくては歌えないような歌手は歌手とは呼べず、声量と声質が絶対条件。容姿はいいに越したことはないが、必須の条件ではなかった。(そのせいか、大陸で絶大な人気を誇る歌手の中には、かなり恰幅のいい体格の人がちらほら^^; もちろんオペラ歌手ではなく、普通の歌謡曲・ポップスの歌手。)林子良を紹介したとき、「中国大陸だったら歌手になれない」と書いたのはそういうわけだった。80年代後半からは北京搖滾と呼ばれるロック(バンド)の流れもあるのだが、全国的&全世代的に受け入れられたのは最近じゃないだろうか。
 しかし、改革・開放政策は歌謡曲・ポップスにも大きな影響を与えた。海外の音楽が自由に聞けるようになっただけではない。香港・台湾の歌手が大陸で活動できるようになり、大陸の歌手が香港や台湾でもアルバムを出せるようになった。厳然と区別があった大陸と台湾の北京語ポップス市場が、だんだん一体化してきた感じなのだ。いわゆる“大中華圏”市場というやつ(シンガポールやマレーシアの華人市場を含む)。
 そんな中で、私でもわかるような変化の一環が、“容姿重視”の新人歌手たち。人口の多い中国のこと、香港のように“どうみても容姿だけ”というわけではなく、ちゃんとそれなりに歌える子ばかりなのだが、なんとなく似たような雰囲気の、同じくらい美人orイケメンの子が次々と出てくる。このままだと、本当に実力のある歌手が育たなくなるのでは? まして、「口パク」が許されたら、ますます“容姿重視”が進み、台湾や香港の歌手みたいにお洒落でカッコいい歌手を目指した挙句、結局際立った存在にならず、逆に台湾香港歌手に押されてしまう、、、かも?
 もっとも、恵まれた環境で音楽教育を受けた人の中には、作れて弾けて歌えて踊れてと、何拍子も揃った人が出てきている。そういう人たちが大陸の音楽シーンを引っぱっていくだけでなく、香港台湾でも活躍できるようになると面白くなる。
コメント (4)
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