佐藤/「やりたくない仕事は断る」というのは重要なポイントですね。われら作家の場合、明らかに自分の能力を超えた仕事や適性に合わない仕事を依頼されることがあります。そういう仕事は、基準に達するアウトプットを出せるという自信がない限り、引き受けるべきではありません。
プロの物書きはオカネをもらって仕事をするわけですし、実験的な原稿は、限りなく同人誌に近いものに書くようにしています。
塙/「塙さんは名前を貸してくれるだけでいいから、映画監督をやってくれないか」と頼まれたこともあります。そのときも「そんな仕事はできません」と言って頑なに断りました。
佐藤/作家の世界にも似たような話がよくあります。「本の帯文を書いてください」と頼まれたときに、「僭越ながら、こちらで三パターンの案を作りました。どれがいいでしょう」なんて提案される。
私は自分が読んでない本の推薦文なんて書きませんし、中身を読みもしないで帯文を三択から選べません。
でも、こういう仕事を引き受けてしまう人はいるんです。短い帯文を書くだけで3万円から4万円はもらえますから。読みもしない本の帯文をイッチョウ上がりで出すなんて、そんな仕事で得るオカネは不労所得です。不労所得を得ると人間は怠惰になります。こういう習慣がついてしまうと作家としての腕が落ちます。
土屋/本屋さんに並んでいる本を見ると、派手な帯文がよく並んでいますよね。
佐藤/「中身を読んでないな」という帯文は明白です。たとえば、「鳥肌が立つほどの名作」なんてのは典型です。「この人はすべて鳥肌で説明するタイプだな」なんて一目瞭然。(笑)
こうした仕事に脇目もふらず、自分で制御できるかどうか。人間はオカネが大好きな生き物ですから、一度ラクをして儲けることを覚えたら軌道修正できなくなってしまいます。本当に怖いです。
塙/そんな仕事が当たり前になったら、毎日漫才のネタを書いて寄席に出続けるのがアホらしくなっちゃいますね。
佐藤/オカネに目がくらむと、自分がやるべき仕事を手抜きして、人はたちまち堕落します。「オカネの魔力」とはじつに恐ろしいのです。
□佐藤優×お笑い芸人ナイツ(土屋伸之・塙宣之)『人生にムダなことはひとつもない』(潮出版社、2018)の「第4章 仕事とおカネの心得」の「やりたくない仕事はスパッと断る」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】「本当に好きな仕事」は長続きする」
プロの物書きはオカネをもらって仕事をするわけですし、実験的な原稿は、限りなく同人誌に近いものに書くようにしています。
塙/「塙さんは名前を貸してくれるだけでいいから、映画監督をやってくれないか」と頼まれたこともあります。そのときも「そんな仕事はできません」と言って頑なに断りました。
佐藤/作家の世界にも似たような話がよくあります。「本の帯文を書いてください」と頼まれたときに、「僭越ながら、こちらで三パターンの案を作りました。どれがいいでしょう」なんて提案される。
私は自分が読んでない本の推薦文なんて書きませんし、中身を読みもしないで帯文を三択から選べません。
でも、こういう仕事を引き受けてしまう人はいるんです。短い帯文を書くだけで3万円から4万円はもらえますから。読みもしない本の帯文をイッチョウ上がりで出すなんて、そんな仕事で得るオカネは不労所得です。不労所得を得ると人間は怠惰になります。こういう習慣がついてしまうと作家としての腕が落ちます。
土屋/本屋さんに並んでいる本を見ると、派手な帯文がよく並んでいますよね。
佐藤/「中身を読んでないな」という帯文は明白です。たとえば、「鳥肌が立つほどの名作」なんてのは典型です。「この人はすべて鳥肌で説明するタイプだな」なんて一目瞭然。(笑)
こうした仕事に脇目もふらず、自分で制御できるかどうか。人間はオカネが大好きな生き物ですから、一度ラクをして儲けることを覚えたら軌道修正できなくなってしまいます。本当に怖いです。
塙/そんな仕事が当たり前になったら、毎日漫才のネタを書いて寄席に出続けるのがアホらしくなっちゃいますね。
佐藤/オカネに目がくらむと、自分がやるべき仕事を手抜きして、人はたちまち堕落します。「オカネの魔力」とはじつに恐ろしいのです。
□佐藤優×お笑い芸人ナイツ(土屋伸之・塙宣之)『人生にムダなことはひとつもない』(潮出版社、2018)の「第4章 仕事とおカネの心得」の「やりたくない仕事はスパッと断る」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】「本当に好きな仕事」は長続きする」