この湖水で人が死んだのだ
それであんなにたくさん舟が出てゐるのだ
葦と藻草の どこに死骸はかくれてしまつたのか
それを見出した合図の笛はまだ鳴らない
風が吹いて 水を切る艪の音櫂の音
風が吹いて 草の根や蟹の匂ひがする
ああ誰かがそれを知つてゐるのか
この湖水で夜明けに人が死んだのだと
誰かがほんとに知つてゐるのか
もうこんなに夜が来てしまつたのに
□三好達治「湖水」(『測量船』、第一書房、1930)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】三好達治「雪」」
「【詩歌】三好達治「春の岬」」
「【詩歌】何をうしじま千とせ藤 ~牛島古藤歌~」
「【読書余滴】ミラボー橋の下をセーヌが流れ ~母音~」
それであんなにたくさん舟が出てゐるのだ
葦と藻草の どこに死骸はかくれてしまつたのか
それを見出した合図の笛はまだ鳴らない
風が吹いて 水を切る艪の音櫂の音
風が吹いて 草の根や蟹の匂ひがする
ああ誰かがそれを知つてゐるのか
この湖水で夜明けに人が死んだのだと
誰かがほんとに知つてゐるのか
もうこんなに夜が来てしまつたのに
□三好達治「湖水」(『測量船』、第一書房、1930)
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【参考】
「【詩歌】三好達治「雪」」
「【詩歌】三好達治「春の岬」」
「【詩歌】何をうしじま千とせ藤 ~牛島古藤歌~」
「【読書余滴】ミラボー橋の下をセーヌが流れ ~母音~」