語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>東京電力を待ちかまえる除染費用・賠償費用

2012年02月23日 | 震災・原発事故
(1)除染費用
 (a)日本経済研究センターの試算・・・・年間0.96兆円
  除染で発生する廃棄物の処理費用は、六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物処理費用をベースに算定。汚染された廃棄物を片づけて封じ込めるのは一緒だ、と考えるのだ。
  表土を深さ5cmまで削り取り、非生活圏の森林もすべて除去したときに出る土壌・廃棄物2,800万立米で計算すると、その額は年間9,600億円となる。

 (b)伴英幸・原子力資料室代表・・・・28兆円
  国が目標とする年間1mSv以下にするには、これだけかかる。試算は、原子力委員会に提出した。
  「除染費用について認識が甘いまま、東電存続への議論が進んでいる」

 (c)実例・・・・郡山市薫小学校
  昨年8月、県の線量低減化活動支援事業から補助金給付を受けたが1団体50万円なので、高圧洗浄機1台しか買えない。みかねた洗浄機メーカーが利益を度外視した価格で提供してくれ、ようやく20台までそろえることができた。しかし、作業を業者に委託する予算は、もう無い。結局、保護者たちが週末に作業にあたることになった。
  洗浄機1台が1日に除染できるのは20~30mに限られる。2月までに除染が終了した通学路は、全体のわずか3分の1だ。しかも、1月以降は積雪のために作業は休止。汚泥の仮置き場もなく、周辺の側溝に放置したままだ。

(2)賠償費用
 「エネルギー・環境会議コスト等検証委員会」が昨年12月にまとめた報告書によれば、5兆円。
 この数字は、昨年10月に「東京電力に関する経営・財務調査委員会」が廃炉費用と損害賠償費用として算定した5兆円が基になっている。コスト委員会は、このほかに、除染費用0.8兆円を追加した。
 ただし、廃炉費用に係る「経営・財務調査委員会」の試算は過小という声が専門家から上がっている。原子炉解体だけが廃炉ではなく、出てきた放射性廃棄物の最終処分まで含めて廃炉というからだ。メルトダウンした燃料取り出しの技術開発には莫大な費用がかかる。
 除染についても、中間貯蔵施設や最終処分関連費用などが十分に見込まれていない。
 加えて、生命・身体的損害に関するコストが天文学的な数字になりそうだ。海外では、被曝による死者や疾病の被害を10兆から100兆円のレベルで見積もっている。
 ちなみに、東電に会社更生法を適用した場合、確定済みの損害賠償債務も免責される。焼け太りだ。破産せよ会社更生法適用にせよ、社債権者が被災者より優先弁済される。

 以上、倉沢美佐/井下健悟/鶴見昌憲/山田雄大/麻田真衣/長谷川愛/風間直樹/高橋由里(本誌)「東京電力 偽りの延命」(「週刊東洋経済」2012年2月18日号)に拠る。
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