語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>九電の「やらせ」の背後に佐賀県知事、副社長と密会

2011年08月03日 | 震災・原発事故
 原発をめぐる電力会社の世論操作の実態が明らかになりつつある。
 火元の九電では、激震が続いている。
 7月27日、事前に辞意を表明していた眞部利應・九州電力社長の辞任届を受理することを松尾新吾・九州電力会長が拒否。
 「やらせメール」問題以外にも、公開討論会への動員、データ入力ミス、歴代幹部の佐賀県知事への個人献金などが次々に明るみに出て収拾がつかない状態だ。

 九電は、さらに、問題の本質に関わる重大な事実を隠していた。「やらせメール」問題の発端に、古川康・佐賀県知事と九電幹部との「密会」があったのだ【注1】。
 すべての始まりは6月21日。九電の原子力担当副社長、原子力発電本部長、佐賀支店長(いずれも当時)の3人が佐賀市内の蕎麦屋に集まって協議、26日の県民への説明番組で「発電再開に賛成する意見の投稿を増やすことが必要だ」と結論した。
 22日、さっそく本社の原子力発電部門は、自宅のパソコンから賛成の投稿をするよう、関連会社や原子力部門の管理職に要請した。これが瞬く間に広がり、最終的には社内外あわせて約2,900人に賛成投稿を求めるメールが送られた。
 他方、佐賀支店は若干慎重で、口頭で、取引会社などに同様の意見や質問を発するよう求め、賛成意見の「例文」を示した。
 26日、放送直後に「やらせ」情報が報道機関に寄せられたが、九電は事実関係を否定。鹿児島県議会で質問が出てもシラを切った。
 7月6日、国会で共産党から追及され、初めて事実関係を認めた。
 翌日からの社内調査で、番組には141人の「動員組」が再開賛成意見を投稿していたことが判明した。
 なお、8日に開催された佐賀県主催の説明会にも、九電の動員で63人が出席していたことが明らかになっている。

 ところで、6月21日昼食時の「3人組」の作戦会議は、じつは午前中に古川知事と会った帰途、開かれた。古川と「3人組」は、県庁の執務室ではなく、人目を避けるかのように市内の知事公舎で密談した。
 現在3期目の古川は、各地で難航していたプルサーマル計画に、03年3月、全国で初めて同意を表明したことで知られる。当時、県は、国や県が開いた公会討論会で「論点は出尽くした」として「総合的に安全と判断した」、と言っている。
 が、古川のプルサーマル計画同意に先立ち、佐賀県が05年に主催した公開討論会でも、参加者782人のほぼ半数を九電や関連会社が動員していた(7月29日に判明)。会場でとられたアンケートでは、参加者の65%が、安全性への理解が深まった、と回答したという。
 奇しくも、その7月29日、原子力安全・保安院が07年に開かれたプルサーマル発電のシンポジウムで、中部電力に対し、「質問が反対一色にならないよう地元の型に発言してもらう」よう要請していたことが明らかになった【注2】。

 電力会社にとどまらず、地方行政のトップ、そして経済産業省が炎上しつつある。

 【注1】記事「九電やらせメール「きっかけは佐賀知事会談」と第三者委」(2011年7月30日20時6分 asahi.com)。
 【注2】記事「保安院やらせ:九電にも社員シンポ参加を依頼 元課長証言」(毎日jp 2011年8月2日22時35分)。なお、05年の玄海シンポでも、保安院の担当課長が九電に参加を要請している(「保安院元課長、九電にも参加を要請 05年の玄海シンポ」、(2011年8月2日23時5分 ahi.com)。

 以上、本紙取材班「九州電力の原発再開『やらせメール』 背後に佐賀県知事の影」(「AERA」2011年8月8日号)に拠る。

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