語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】たい焼き ~たい焼きの頭は君に我は尾を~

2018年02月02日 | 医療・保健・福祉・介護
 「たべもの起源事典」(岡田哲著、東京堂出版/ちくま学芸文庫)などによると、たい焼きは明治後期に生まれた比較的新しい食べ物だ。
 東京・麻布十番の「浪花家総本店」の初代店主である神戸清次郎氏は、大阪から来た当初、今川焼きの店を始めたが、あまり売れず、次に縁起物であるタイの形の焼き型に流し込んで作ったところ、大人気となったらしい。
 タイの形は見ていて楽しいだけではなく、いろいろな味を楽しめる。尻尾まであんこが詰まったものもいいが、尻尾ならではの生地の食感や、ひれの部分がよく焼けてパリパリした感じもいい。
 2人で分けるときに、どちらがあんこの多い頭の部分を食べるかが大問題だ。兄弟なら取り合い、恋人なら譲り合う光景が見えてくる。
 たい焼きの 頭は君に 我は尾を(飯島晴子「寒晴」所収)
 詩人の清水哲男氏によれば、この句は日々の暮らしにゆとりのなかった若い頃の、夫婦の思い出を描いているのだという。「頭は君に」と言ってくれているのは、貧しくても優しかった夫のほうなのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「たい焼き ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年1月31日)を引用
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