語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>東電のものは東電に返せ ~関東の汚染灰~

2011年10月21日 | 震災・原発事故
 10月6日、根津小学校(文京区)の校内で落ち葉を集めて作った堆肥から、1,488Bq(国の暫定基準の3倍超)の放射性セシウムが検出された。今、堆肥の入った袋は、ブルーシートで覆われて学校の裏門近くに置かれている。
 文京区内の敷地内で堆肥を作っていた区立小学校16校、中学校4校、幼稚園5園も、同様の措置をとった。

 堆肥をごみ処理場で焼却処理することは可能だ。焼却灰は、8,000Bq/kg以下なら通常の埋め立て処分が可能、というわけだ。【環境省廃棄物対策課】
 ところが、一般廃棄物焼却施設は、廃棄物処理法により、放射能に汚染されたものは扱えない。【東京23区清掃一部事務組合】
 堆肥の処理は、法の谷狭間に落ち込んだ問題なのだ。
 環境省は、放射性物質汚染対策特別措置法の省令(12年1月施行)に一般廃棄物焼却施設が扱う放射性廃棄物の基準を定めるべく作業を急いでいる。ただ、当分は、放射能に汚染された堆肥が学校に置かれた状態が続く。

 今夏、関東各地のごみ焼却場の焼却灰から高濃度の放射性セシウムが検出された。その原因が、落ち葉や枯れ草の放射能汚染だったかもしれない。
 実際、千葉県松戸市や流山市が、落ち葉や草などを「燃やせるごみ」から「資源ごみ」に変えて焼却をやめると、焼却灰の放射能濃度は低くなった。柏市でも、草や剪定した枝を分別して焼かずに保管するようにしたところ、焼却灰の放射能濃度が低下した。
 一般廃棄物の焼却灰から国の基準(8,000Bq/kg)超の放射性セシウムを検出した焼却場は、東北・関東7都県に42ヵ所ある。最多は福島県で、16ヵ所。ついで茨城県の10ヵ所、千葉県の8ヵ所、栃木県の3ヵ所だ。そして、基準値を超えた焼却場は、「ホットスポット」に点在している。

 「南部クリーンセンター(柏市第二清掃工場)」では、行き場を失った焼却灰がドラム缶に詰められて保管されている。10月3日、これ以上のごみ処理は難しい、と休止を決定した。
 栃木県北部の大田原市および那須町は、10月20日から、燃えるごみの収集日を週2日から1日に減らした。両市町のごみを処分する「広域クリーンセンター大田原」から出た焼却灰は、最終処分場の「黒羽グリーンオアシス」に埋め立てているが、7月に13,580Bq/kgの放射性セシウムを検出のだ。処分場周辺の自治会が搬入に反対し、8月19日から処理が止まっているのだ。
 9月下旬、環境省は、高濃度の放射性物質を含んだ焼却灰を管理する埋め立て最終処分の前段階、「中間貯蔵施設」を福島など8都県に整備する方針を示した。
 中間貯蔵施設は絵に描いた餅。周辺住民の反対で、そんなものができるわけがない。国が最初にしっかりした指針を示さなかったため、住民が疑心暗鬼になったのが原因だ。【ある焼却場の関係者】

 以上、山根祐作/野村昌二/岩田智博(編集部)「汚染灰に埋まってしまう」(「AERA」2011年10月24日号)に拠る。

    *

 処理施設の建設費用は、当然、東電がもつべきだ。東電は、倒産するまで、全資産を事故処理に使わなければならない。
 放射能に汚染されたがれきや土壌などは、福島第一原発の敷地内に置くしかない。放射性物質は、そもそも福島第一の炉心の中にあるべきものだった。その所有者は東電だ。
 東電のものは東電に返せ。
 東電の社長室に置け。
 福島第一原発の敷地内で足りなければ、福島第二原発の敷地内に処理施設を建設するのだ。
 敷地内で間に合わないのであれば、警戒区域のなかでも特に高濃度の汚染地域で、今後人が住めないような場所に作るしかない。
 全国に処理施設を分散させ、放射能をばらまくより、きちんと遮蔽され、それなりにしっかりと放射能の「お守り」ができる管理施設を1ヵ所に造る方がいい。 
 処理施設は、「中間貯蔵施設」ではなく、恒久的な「核の墓場」だ。最終的に受け入れる場所がないものを「貯蔵」できない。

 福島第一原発の封じ込めには、コンクリートで覆う「石棺」を造るしかない。溶けた炉心が地下にめり込んでいる可能性があるから、チェルノブイリより状況が悪く、地下にも堅牢なコンクリート製の構造物を建設しなければならない。膨大な量のコンクリートが必要だが、その原材料に汚染焼却灰や汚泥を使うのがいい。
 汚染がれきが何処にどれだけあるか、の徹底的な調査が必要だ。 
 放射性物質の管理に「安全」はない。「どこまで我慢できるか」だけが決め手だ。風評被害を防ぐには、しっかりとした調査を行い、結果を国民に公開するしかない。

 以上、語り手:小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)/聞き手:甲斐さやか(編集部)「東電のものは東電に返せ セメント化して石棺の材料に」(「AERA」2011年10月24日号)に拠る。
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