総合職の場合、国家公務員試験の成績結果は、府省に入るときには大きな意味を持ちますが、いったん入れば、その成績が直接的に出世に影響することはありません。こうした「ハンモックナンバー」(海軍兵学校の卒業年次)を使う役所はまずないと思います。だれの部下になったかという「上司のライン」が出世の決め手になるから、その意味において、日本の官僚組織は、陸軍の伝統を引いていると言えます。海軍の卒業成績は一生ついてくるけれど、陸軍の場合は関係ありません。
「キャリア」「ノンキャリア」の身分差を強調する「元官僚」を売りにしている書籍をときどき見かけますが、私から言わせると、仕事のできない「劣位」なキャリアが自分を大きくみせようとして言っているか、あるいは、よほど組織に恨みをもって辞めたノンキャリアが言っていると見て間違いありません。ふつうに霞が関で仕事をする場合、「棲み分けの論理」が働いているので、それぞれの人が満足できる態勢ができあがっていると言えます。ですから、まともな官僚であったならば、自分がどんな仕事をしてきたのか、それを成し遂げたことで国の役に立つことができたのか、当初の志はなぜ折れたのか、そうしたことが論理的に説得力をもって書けるはずです。国益を判断の軸として仕事をしてきたつもりの私からすると、そうした中身のない空疎な「官僚論」など読むだけ時間の無駄になります。
□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「「劣位」の元キャリアの特徴」を引用
【参考】
「【佐藤優】どの上司に評価されたか ~官僚の掟(7)~」
「【佐藤優】官僚は年次がすべて ~官僚の掟(6)~」
「【佐藤優】官僚に「落選」はない ~官僚の掟(5)~」
「【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル ~官僚の掟(4)~」
「【佐藤優】競争の土俵に上がらない ~官僚の掟(3)~」
「【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~」
「【佐藤優】『官僚の掟』の目次」
「キャリア」「ノンキャリア」の身分差を強調する「元官僚」を売りにしている書籍をときどき見かけますが、私から言わせると、仕事のできない「劣位」なキャリアが自分を大きくみせようとして言っているか、あるいは、よほど組織に恨みをもって辞めたノンキャリアが言っていると見て間違いありません。ふつうに霞が関で仕事をする場合、「棲み分けの論理」が働いているので、それぞれの人が満足できる態勢ができあがっていると言えます。ですから、まともな官僚であったならば、自分がどんな仕事をしてきたのか、それを成し遂げたことで国の役に立つことができたのか、当初の志はなぜ折れたのか、そうしたことが論理的に説得力をもって書けるはずです。国益を判断の軸として仕事をしてきたつもりの私からすると、そうした中身のない空疎な「官僚論」など読むだけ時間の無駄になります。
□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「「劣位」の元キャリアの特徴」を引用
【参考】
「【佐藤優】どの上司に評価されたか ~官僚の掟(7)~」
「【佐藤優】官僚は年次がすべて ~官僚の掟(6)~」
「【佐藤優】官僚に「落選」はない ~官僚の掟(5)~」
「【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル ~官僚の掟(4)~」
「【佐藤優】競争の土俵に上がらない ~官僚の掟(3)~」
「【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~」
「【佐藤優】『官僚の掟』の目次」