よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

2010北海道自転車ツーリング その3:花々の廻廊

2010年08月30日 | 自転車/アウトドア
直別から晩成温泉までは主要道を外れて、ダートを含む裏道を行く。

車がほとんどやってこないのがいい。だが、このコースには60kmに渡って食べるものを売っている店がない。

なので、昨夜、ライダーハウスのおばあちゃんに頼んでおにぎりを3つ作ってもらったのだ。



道端とはいえ、花々が咲いている。



楚々としたたたずまい。



青々とした太平洋を左に望むダートの道。



装着しているタイヤはブリジストンサイクルのタフロード。ゴツいトレッドパターンなので、ダートにはぴったり。

さりとて舗装路でもコロガリ抵抗は少なく、パフォーマンス、経済性に優れた650A(26-1・3/8)タイヤだ。アメゴム色のサイドウォールが欲しいところだ。



ツーリング自転車にはメッシュのグラブが似合う。このグラブのメッシュ部分は一度縫い替えた二度目のもの。

速度、距離などの計測にはブリジストンサイクルのeメーターが重宝する。



このコースにはいたるところに牛牧場が点在し、のどかな風景が拡がる。



やがてルートは十勝平野の核心部へ。

伸びやかな風景に青い空。

何も要らない。



たおやかな水をたたえながら流れる十勝川を渡る。



青い空に青い道しるべ。



休憩のひと時。

足元にさいている花。



湿った空気と水が絶えず供給されるこのあたりは湿地帯、湖沼がいたるところに拡がっている。



常々思うのだが、北海道はJohn Denverが歌が合っている。自転車に乗って口づさむと気持ちがいいものだ。こんな純朴な音楽の楽しみ方に転機が訪れたのは、橋爪大三郎先生(東工大)の比較宗教学と旧約聖書解題に触れてからだ。

John Denverは保守的なアメリカ人に好まれた。日本ではカントリー・ミュージック系の歌手のように見られているが、その歌詞は、多分に聖書の終末に関わる記述を連想させる暗喩、隠喩に満ちている。

数日前に、こんな話を鶴居のヒッコリーウィンドの誠さんとバーボンを片手にJohn Denverを聞きながらしていた。

時間が余ったので、Rhymes & Reasons(John Denver)を訳出してみる。

               ***


So you speak to me of sadness
悲しみに満ちて

And the coming of the winter
冬の到来をあたたは口ずさむ

Fear that is within you now
あなたの心の底に沈んでいる恐れは

It seems to never end
消えそうにもない

And the dreams that have escaped you
あなたを見放した夢や

And the hope that youve forgotten
もう忘れてしまった希望

You tell me that you need me now
君は僕が必要だと告げて

You want to be my friend
僕の友達になってくれって、君は言ったのさ

And you wonder where were going
君が彷徨うところは

Wheres the rhyme and wheres the reason
詩と理由があるところ

And its you cannot accept
でも君は受け入れない

It is here we must begin
ここから始めなければいけないということを

To seek the wisdom of the children
子供のような純粋な知恵と

And the graceful way of flowers in the wind
風に揺れる花々のような優雅さを求めることを

For the children and the flowers
なぜなら、子供たちと花々は

Are my sisters and my brothers
僕の兄弟姉妹だから

Their laughter and their loveliness
その笑声と愛らしさは

Could clear a cloudy day
曇り空さえ晴れにする

Like the music of the mountains
山々の音楽

And the colours of the rainbow
虹の色

Theyre a promise of the future
未来への約束

And a blessing for today
今日という日への祝福

Though the cities start to crumble
城壁都市が崩れ落ちて

And the towers fall around us
高層ビルが次々と崩壊し

The sun is slowly fading
太陽もだんだん消えうせる

And its colder than the sea
海よりもさらに冷たくなって

It is written from the desert
地の果ての砂漠から

To the mountains they shall lead us
山々へと誘われる

By the hand and by the heart
手をとりあって心の底から

They will comfort you and me
君と僕をなぐさめてくれる

In their innocence and trusting
無垢と信頼

They will teach us to be free
自由への賛歌を教えてくれる

For the children and the flowers
なぜなら、子供たちと花々は

Are my sisters and my brothers
僕の兄弟姉妹さ

Their laughter and their loveliness
その笑声と愛らしさは

Could clear a cloudy day
曇り空さえ晴れにする

And the song that I am singing
僕の唄は

Is a prayer to non believers
無神論者のための祈りの唄さ

Come and stand beside us
こっちへ来ていっしょに立とうよ

We can find a better way
いいやりかたが見つかるよ

               ***



帯広市の菓子メーカー六花亭が作る「マルセイバターサンド」は依田勉三が設立した晩成社、そして帯広を開拓し、農業・産業振興に多大な足跡を残した偉業を記念したものである。

今風に言えば、晩成社は社会的企業であり、依田勉三は社会起業家だ。



今日の寝床。

温泉料金500円を払えば、キャンプ料金はタダになるという仕組みがいい。

ヨード成分を大量に含む温泉を堪能してから、安藤誠さんにいただいた『釧路湿原の聖人・長谷川光二~永遠なる人間の鏡』(伊藤重行著)を読み始める。

「ウォールデン 森の生活」を書いたヘンリー・D. ソローと長谷川光二の比較考証(p105)が秀逸だ。日本のアウトドア関係者は、ともすればソローを崇めたてまつる妙な傾向がある。

ソローの読者でもある自分にとってやや複雑な思いもあるが、日本、そして釧路湿原には、ヘンリー・D. ソローを凌駕して余りある人物がいたのだ、という論旨には、なるほど、説得力がある。

伊藤重行はこう書いている。すなわち、

長谷川光二とヘンリー・D. ソローの「大きな違いは長谷川は家族をきちっと持ち育てたが、ソローは気楽な独身生活。また長谷川は47年間鶴居に住み続けたが、ソローはウオールデンにたったの2年2カ月」(p105)

「やはり両者の違いは宣伝力の違いによって起こっていると解釈した方が良いかもしれない。私が指摘したようにソローの人生の実験と長谷川光二の一生の実験は良く研究してみれば、長谷川光二の方が多くのことをなしたに違いない。ソローばかりではないが、明治時代からの日本のインテリが紹介した思想が日本の伝統的知や生き方と大差ないにも関わらず、良いように紹介されていると」(p106)

ヘッドライトを頼りに150メージまで読んだところで寝てしまう。

この日の走行距離 61.35km

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