よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

マイクロソフト株式会社にてオープンソースを語る摩訶不思議?

2006年07月26日 | オープンソース物語
オープンソースやコマーシャルオープンソースの仕事をしていると、アンビバレントかつ摩訶不思議な感情を抱くことが多々ある。数日前にそんな一日を持った。新宿のマイクロソフト株式会社で、ケアブレインズの仲間とともに
マイクロソフト製品と連携するSugarCRMの講演を行ったのである。しかもSugarCRMver4.5のSQLサーバ連携は世界初の事例。

ケアブレインズは、かねてから早稲田大学、東京大学、千葉県、千葉市などと連携して産学官連携の仕事に取り組んできている。2年ほど前に、東京大学、千葉県、マイクロソフト株式会社(MSKK)が組成する「アドバンストITベンチャー」にノミネートされて以来、MSKKを含める産学官連携スキームでSugarCRMの日本語化やコミュニティ運営を推進させていただいている。

OSSの歴史、マイクロソフトのオープンソースに対するメンタリティをご存知の方は、上記に大して素朴な違和感を感じるだろう。なにをかくそう、僕も当事者でありながら、当初は違和感を感じていたことを認める。

数日前のブログにオープンソースのカルチャーを評してこう書いた。

・オープンソース遺伝子である反プロパライエタリ・スピリットを濃厚に持つ。
・占有、独占、囲い込み、中央統制を極端に嫌う。
・オープン、共有、共生、分かち合い、エコロジーに共感する。
・自由と義務が表裏一体のコミュニティ参加への持続的意思を持つ。
・不特定多数とのオープンな分かち合いからイノベーションが生まれると信じる。

これを読んで、MSのカルチャーを連想する人はいないはずだ。むしろ対極を想像するだろう。しかし、連想しても、しなくても、このような問いはは、もはや意味をなさない。

今や、プロパライエタリ陣営とて、コマーシャルオープンソースのビジネスモデルを取り込まざるを得ない、というのが正しい認識なのである。ビジネスモデルの下部構造としてのカルチャーも、もはや無視できない。むしろ取り込まなければならないのである。

ひとつの証左として、客観的分析で定評のある米IDCは2005年末に発表した「Predictions 2006」のなかで、こう予測している。2006年以降のIT市場を予測した結果、「Microsoft、IBM、Oracle、SAPのように単独でIT技術を開発する企業は絶滅する」と。

このような時代認識のもと、MSはコマーシャル・オープンソースのビジネスモデルを吸収したり、応用したりする必要性をすでに認識しているのである。そして、ビジネスモデルの下部構造たるカルチャーにおいても、すべてではないが、以下の3点はあてはまるようだ。

・資本主義体制下における利潤動機を楽天的に肯定する。
・オープンソース・ソフトウェアの精神は分かるが、それを越えたい。
・実用主義、プラグマティズムを信奉する。

どうやら、今回のセミナーはこれらの点が交わる場だったように思われる。SugarCRMはオープンアーキテクチャ。よって、基盤ソフトはLinuxでもよいが、Windowsでももちろん動く。ぐんと進化したSugarCRM ver4.5は、もちろんSQLサーバ上で動く。WordやOutlook Expressに対するPlug-inだってある。Windowsユーザにも、オープンソースSugarCRMはプラグマティックに開かれいてる。




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