よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

地表汚染マップ

2011年05月07日 | 健康医療サービスイノベーション

文部科学省は、米エネルギー省と協力して航空機で放射性物質の蓄積量を測った。その結果の一部が発表されたが、非常に深刻な状況が判明した。

北西方向にセシウム137が1平方メートルあたり300万~3000万ベクレルの汚染地域が帯状に伸びている。

30km圏外でも緑色(1平方メートルあたり60万~100万ベクレルの汚染地域)には丸森町、伊達市、川俣町、福島市、二本松市の一部が含まれてる。

30万~60万(薄い水色)の地域は飯館村あたりから曲がるようにして西南の方向に帯状に伸びている。福島市、二本松市、郡山市などが触れている。

チェルノブイリ原発事故では、セシウム137による汚染が55.5万ベクレル以上の地域が強制避難と移住の対象となった。上図の緑色1平方メートルあたり60万~100万ベクレルの汚染地域)の地域に近い薄い水色の地域(1平方メートルあたり30万~60万ベクレル汚染)は、55.5万ベクレルを越えているだろう。

しかし、これらの地域であっても5/7現在、計画的避難区域ではない。

そのような地域にも、多くの子供たちがいて汚染された学校に通わされている。「年間20マイクロシーベルト以下なら『安全』」なのか???

旧ソ連で強制避難・移住の対象となった地表汚染でも、2011年5月7日の日本ではほとんどケアされていない。・・・ということは、ひかえめに言っても現在の日本は1986年の旧ソ連よりも公衆衛生(public health)を尊重しない国、国民の健康被害を防ぎ、国民の生命を尊重しない国、ということになってしまった。

   だれしもが抱く率直な疑問。

   国と自治体はいったいだれのためにある?

   国民あっての国ではなかったのか?

さて、「直ちに人命・健康には影響しない」という常套文句は、下図の確定的影響を指して用いられるのならばいい。しかし、確率的影響にたいしては、この常套文句の範囲外。

地表汚染で怖いのはしいき値がある嘔吐、脱毛などの確定的影響に直接結びつくというよりも、癌、白血病(急性ではない)、子孫に伝わる遺伝的影響などにあらわれる確率的影響のほうだ。しきい値がないので、どこからどこまでが安全という範囲がない。(資料

国際放射線防護委員会の2007年勧告では、「100mSv程度において、がんおよび遺伝性疾患の発生確率は、最新知見を考慮の上、等価線量に比例するという仮定が科学的に見て妥当である」(下線部は松下)、とされている。わかりやすく言えば、べつに放射線に晒されていなくても、がんは自然にもできる。でも、無用な線量はないほうがいい。そのほうが健康のためにはいい、ということ。無用な放射線を体の内外から浴びないことが転ばぬ先の杖ということ。

こどもならば、20ミリシーベルトを越えなければ心配ない、というのは一見、100mSvの1/5なのでOKなように見えるが、そんなことはない。1/5の確率で危険に晒すことを推奨するということなのだ。そもそも、事故の前には、国際的に妥当とされている標準1mSvを国内で用いていたにもかかわらず、一気に20倍に引き上げた。

幼い子供、胎児、近未来に汚染された人体(傷ついた染色体、DNAを持つにいたった両親)から生まれてくるであろうあかちゃん。感受性が強く、より確率的影響を受けやすい生命を積極的にリスクにさらそうとしている。

とんでもないことだ。将来、健康被害が多く出てくることになるだろう。そうなると、医療費はさらに増加し現在の医療崩壊に深刻な拍車がかかりかねない。

European committee on radiationのバスビー教授は「日本政府は原子力産業を守るために、放射能の健康への被害を過小評価している」と指摘している。その中で、Criminally irresponsible(犯罪的無責任)という言葉を用いている。(Press TV記事

上に書いた「確定的影響」と「確率的影響」などについてはフリージャーナリストの岩上安身さんが、空本誠喜さんにインタビューしたビデオがわかりやすい。


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