よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

オープンソースとVCが織り成す自己組織的マンダラ

2006年10月21日 | 技術経営MOT
SugarCRMの幹部の連中と飲んだときに面白い話になった。シリコンバレーにはベンチャーキャピタリストが有望企業を探してウロウロしているが、昨年から今年にかけてはコマーシャル・オープンソースが有力な材料なのだという。なかでもSugarCRMは立て続けにファイナンスを実施し、巨額の資金をVCから調達しているので、彼の話には信憑性がある。

この図(やや古いが)は、彼の友人のMatt Asayという目利き御仁とその仲間が作ったVCとオープンソース系ベンチャーの直接金融の絵柄。それぞれのVCが、どのようなベンチャーにリスクマネーを投じているのか、VCがどのようなテーマにレバレッジをかけているのか、そしてVC/ベンチャー企業がどのような相互補完の関係性を形成しつつあるのが一目瞭然。じっと見ていると、どのVCがどのベンチャーに触手を伸ばす可能性があるのかも、ほんのり見えてくる。さらにじっと見つめると、この絵図はオープンソース系ベンチャーという枠を超えた、近未来のオープンソース技術経営ロードマップにも見えてくる。

さて大事なポイントがある。たんに単独のVCが単独のオープンソース系ベンチャーにキャピタルゲインを狙って投資するのではなく、投資家は手厚いハンズオンを実施しつつベンチャー企業同士、エスタブリシュされた企業とベンチャー企業の相互補完、アライアンス、ソリューション開発にまで深入りしているという点だ。

このように、オープンソース系ベンチャー支援のエコシステムが自己組織的にダイナミックに形成されてリアルにウゴいている。どこぞの国の「産学官連携で、地域の活性化をはかろう」というのっぺりとしたお題目とかけ離れたリアリティが、「そこ」には歴然とある。

複数の目利きを抱えたVCが相互補完的にオープンソース系ベンチャーに出資することによって、オープンソース系ベンチャー同士の技術・ビジネスレイヤの相互補完、連携が進む。また、新たな連携が新たなソリューションを生み、結果としてオープンソースのユーザがそのメリットを享受するというエコロジーとエコノミーが機能している、あるいは機能させようとしているのだ。

残念ながら日本では、まだこのようなオープンソース界隈での経済生態学的エコシステムは見当たらないが、その萌芽は確実にできつつある。わが社に投資いただいている大学、VC、事業会社が、日本版オープンソース・コスモスの核となってゆくだろう。また、そのようなビック・ピクチャーを描いてゆこうという志やロマンをもったVCや事業会社とおつき合いしたいものだ。




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