みみのアンテナ

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黒地の絵

2007-07-17 00:32:06 | Weblog
黒地の絵

遠くに太鼓の音が聞こえる。ふと松本清張の小説「黒地の絵」を思い出した。 小倉の北方には自衛隊の駐屯地がある、 昔は米軍のキャンプ地だった。その日小倉の街は祇園祭りの最中だったか、或いは競演会に向けて太鼓打ちの練習しきりだったかであろう。かなたで聞こえる太鼓の音は、遠い先祖のジャングルで打ち鳴らす太鼓に似て、野生を呼び起こしたのか、黒人兵が脱出したのである。被害を受けた民家では、夫は抵抗できず妻を襲った黒い男の刺青を、妻の死後も忘れることは無かった。実話に基づいた題材ではなかったろうか。

私は子供時代(年令は覚えていないが)夏の夜の出来事で鮮明に記憶していることがある。夏の夜は窓を大きく開けて、 蚊帳を吊って夜風を取り込みながら眠りにつくのが、その時代の人々の常である。治安のいい時代だった。ある夜町内の大人2,3人がメガホンでおらびながら、小走っていた。何事か覗いた母と姉が「ハイ」と小父さん連中に返事し、電気を消して窓を閉めた。町内の外灯は消され暗い、でも月の光はやけに明るい大丈夫だろうかな?と母と姉。私は何が有ったのか、 戦争でも起こるのかと震えたのを覚えている。

 あの日は祇園祭りか、太鼓打ちの練習が終り夜の帳が下りた日でなかっただろうか。だとしたら、黒地の絵と被るのでないかと思うのである。もう一度この本を読んで見よう!