散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

最後を飾るのは

2006年09月09日 23時07分48秒 | 飲み歩き・すすきの界隈
ギャラリーユリイカで話し込んでいるうちに、夕方になった。連日飲みすぎとの声も聞こえるが、私の夏期休暇ももうおしまいになる。今日はすすきのの焼鳥屋さん「F」から。なんともクラシックな店である。

まずビール、ガツとタンを注文。焼き場を中心としたカウンターには、私より年配の男性一人客ばかり。注文の声以外全員無言。到着したガツは小さくてペラペラに見えるが、程よい歯ごたえで味がある。タンは大きなサイズから焼きながらカット、少々硬めであるが噛み答えがあり味が濃厚。

炭火にポットで燗つけされている日本酒をもらい、煮込みを追加。煮込みはコンニャクがちょっと多かったが熱々。店の親父の最小限、無駄のない動きにしびれた。

続いて、すすきののバー「N」。最近力を入れているらしい、フルーツシリーズから幸水なしのウォッカマティーニ。さわやかで、はかない香がする。

2杯目は随分お得な値段で出ているロングモーン1976(26年)にした。31年のボトルを見せてくれたので、写真を撮っていると、「こちらもどうぞ」と味見には多すぎるくらいの量を注いでくれた。Nさん、スマン。

3杯目にサイドカー、4杯目にオールボー、マラスキーノ、ライム・コーディアルのカクテルを作ってもらった。サイドカーはすっきり、4杯目のカクテル(名前忘れた)はすっきりと甘さの二重奏といった感じかな。「グラッパベースの甘めのカクテルを思いつきました」と言っていたので、次回頼んでみることにしよう。

これで帰れば良いのだが、3軒目に「立ち飲みB」。白ワイン・赤ワイン、タパスの盛り合わせ(ハタハタスモーク、スモークチキン、カボチャのフラン、ハムペーストのクロスティーニ、砂肝のピクルス)。タパスは少量ずつだが、気のきいたつまみでお勧めである。客が私一人だったので、お店の人と話をした記憶はあるのだが、良く憶えていない。

20060909ギャラリー巡り

2006年09月09日 16時49分24秒 | ART
本日は市民ギャラリー→時計台→たぴお→大同→紀伊国屋→アートスペース→ユリイカとまわる。

市民ギャラリー「新道展」。「ああ、この人の画だ」とすぐ分かる(好きな)作品も多いが、新鮮な印象のものにふれておく。
・香取正人の作品は緑の色使いが予想外
・合田典史の「倉庫のある町並」は落ち着く作品
・すとうえみ「瞬」は丁寧でシンボリックな表現が美しい
・西尾栄司の作品は丸と三角の幾何学模様がすてき
・西田靖郎の作品は上部がアーチ型になった3つのキャンバスのせいか宗教的なイメージ
・森田明志「朝凪のソナタ」は童話的にも見えるが、人の顔がマグリットをちょっと想像させる不思議な作品
(作品展示案内の紙に作品名が書かれていないため紹介しにくいなあ)

時計台ギャラリーでは「矢崎勝美展」。明るいウルトラQのぐねぐねのようなものが面白い。

大同ギャラリー「金沢一彦展」。私の好みからするとメルヘン過ぎるのもあるのだが、単純にそれだけではすまない良い作品がある。

ユリイカでは會田さん、久保さんご本人がいらっしゃったので、話を聞くことができた。私はもともと會田さんの作品がすきなので、本人を前にすると少々照れくさい。「katari-jima」シリーズは島の上に物が描かれ、少し変化が見えてきたように思う。

久保さんの作品は初めてみるかな? 「虫は好きなんですか?」という質問に、ご本人曰く「鬼グモとか大っ嫌いなのですが、作品に描こうとスイッチが入ったら大丈夫です」とのこと。一番大きい作品の中で描きたかったのは「ざとうむし(クモのようでクモでない)」だとのこと。虫が苦手な私は、うーむ…。まあ、画を見る分には大丈夫だが(食べるのも大丈夫なくせに)。

やむなく仕事をした後は

2006年09月08日 22時45分54秒 | 飲み歩き・琴似界隈
本来、今週いっぱい夏期休暇であったが、やむをえない打ち合わせのため、本日午後のみ出勤。会議終了後、皆気を使ってか、飲みに行くことになった。会社の近くの昼は蕎麦屋さん、夜は飲み屋さんの「O」へ。

食べたものはレンコンキンピラ、焼き枝豆(ちょっと風味が変わっていける)、ホッキ貝刺身、イカ刺し、ゲソ揚げ、タコ唐揚げ、葉わさび、最後にもりそば少々。飲んだものはビールの後、そば焼酎「玄庵」という奴。今、値段を見ると安い焼酎だが、結構スッキリして飲みやすかった。

2軒目は一人琴似のバー「D」へ。JRで移動したのだが、ちょうど電車の発射直前で駅員さんに合図してダッシュで乗り込んだため、酒がまわって具合が悪い。ということで、1杯目はジントニックにした。おっ、今日の通しは枝豆の冷製スープか。これは飲む前(1軒目で飲んでるが)にちょっと良いものである。

2杯目はマノックモア12年、3杯目はグレンリベット16年(いずれもSMWS)。一番安いグレンリベットはバランスは認めるものの、少々物足りないものがあるが、この16年ものはさすがに個性的で十分満足できる。

ところで今日は、仲の良いけんか友達というか少々騒々しい2人組が入ってきたのだが、バーの雰囲気で最終的には借りてきた猫のように静かになったのが面白かった。もう1杯新入荷のアブサンを飲もうかどうしようか迷っているうちに、カウンターが混んできたので帰宅。ちょうどよい杯数で帰宅することができた。

休みは続くはずだが・・・

2006年09月07日 14時39分18秒 | 食べ歩き
10日まで夏期休暇のはずなのだが、8日午後、ちょっとだけ会社に行かなくてはならなくなった。何だか腹が立つので、鬱憤晴らしに二十四軒のビストロ「PE」へ。

今日は肉のコースを選択。
前菜は秋野菜のキッシュ、サンマとナスのテリーヌ、秋鮭のスモーク、野菜のエクレア仕立て、肉のパテとピクルスである(料理名は不正確かも。いつもの事ながら、品数が多くて覚えられないのだ)。札幌にかえってくるとやはり長野よりは涼しいわけだが、すっかり秋のメニューである。

続いて、ニセコ夢のコーンのポタージュ。なめらかなスープにフォアグラのテリーヌが添えられているので、途中で混ぜてみたりする。皿が非常に熱々なのも嬉しい所だ。

メインはもち豚のロティ青ぶどうのソース。名前ほどフルーツっぽくはなく、程よく甘酸っぱい味。肉はやや赤身の残る柔らかい状態に焼かれている。

最後に、和梨のスープ、赤ワイン・スパイスのシャーベット、アールグレイのクッキー、チョコケーキ、ブルーチーズムース。カクテルでは洋梨が良く使われるのだが、和梨の風味もなかなかである。交互に食べて味の調和を楽しむ。「デザートは甘い方が良い主義」の私にはチョコケーキが嬉しい。少々残しておいた赤ワインとブルーチーズとの相性も言う事なし。

平日の昼に来たのは始めてであるのだが、想像通りの奥様グループが居た。優雅なことであるなあ(自分のことを棚にあげるが)。

信州の食生活

2006年09月06日 17時41分36秒 | 食べ歩き
信州の味覚で気になったこと色々。

○東丼
ホテルのルームサービスメニューにあり、またホテル近くの食堂のサンプルにもあったので何かと思って、調べてみるとマグロづけ丼のようなものらしい。

【左端が東丼】


○山賊焼き
若鶏もも肉を大きいまま、醤油とガーリック等で味付けし揚げたもの。付け合わせ野菜は、ざく切りキャベツにマヨネーズらしい。デパートでお土産に買ったので、帰り道かばんの中からニンニク臭がするのであった。


○中華料理
松本市には中華料理店が多いような気がした(それだけ)。

○七味
長野市に「八幡屋礒五郎」という専門店があるせいか、七味唐辛子が目立つような気がする。そして七味を使ってみるととても香が良いのだ。

○アサヒビール
今回行った郷土料理店は全てアサヒビールを取り扱っていた。長野県内のシェアが高いのか?

○醤油
松本で使った醤油は「郷土の味としてまろやかな甘口醤油が定着しています」と言うように甘口のものが多かった。かなり違和感があるのだが、馬刺しには合うような気がする。

○いなご・ざざ虫
いなごはスーパーでも売られている。


資料館で見たざざ虫の一種「ヘビトンボ」。勘弁して下さい。


○その他
スーパーには必ず「塩丸イカ」がある。


馬ホルモンも売ってる。


鯉のうま煮も信州の味らしい。

松本紀行 4日目

2006年09月06日 15時48分39秒 | 旅日記
今日はおなじく「ホテルB」にて和風の朝食。おやき、野沢菜などの漬け物類が地元の味か。今日はあまり時間がなく、街中心部の「時計博物館」へ。この博物館は毎朝時間あわせをしているらしく、18世紀頃からの時計がほぼ全て時刻を合わせて動いているのが素晴らしい。



11時ちょっと前になると、突然館長らしき人が現れ「まずあちらのグランドファーザーズクロックが良い音でなります。次にこのフクロウ時計、次に鳩時計がなりますので、お見逃しなく」と見所を教えてくれる。確かに一斉に時計が鳴るところに興味があったので、暫く待っていると、教えてくれた順番に時計がなり、フクロウの口が動き、鳩が飛び出して時をつげる。時計というものは人間の英知が結集した姿だなと感心していた所、館長に「時計、お好きそうですね」と声をかけられるが、あなたほどではありません。普通に興味がある程度ですから。

最終日にしてついに雨が降ってきた。時間が早いが「M」に入り、十割そば。蕎麦は細めだが、かなり硬めで十割そばらしい味。つゆは東京基準でいくと薄めなので、しっかりつけて食べる。ネギ・わさび・のりがついてくるのだが、七味をいれて蕎麦湯を飲むとこれがなかなかの香。



最後にデパートやスーパーでお土産を購入。もっと松本らしさを出した品揃えにして欲しいと勝手なことを思うが、当然現代の市民は私と同じような食生活をしているのだろう。何とか地ビール、子鯉の甘露煮、カップのお煮かけそば(野菜中心の具沢山の蕎麦)、山賊焼きなどを買う。さすがにいなごや、蜂の子の缶詰を買うまでは行かなかった。



松本空港では札幌からの便が雨と霧で着陸できなくなりそうになり、着陸できないと当然私の乗る飛行機もないため焦るが、約30分遅れで帰路に着いた。

松本は程よい大きさの都会で、食べ物も斬新、名バーには事欠かないとてもよい都市だったが、残念ながら大きな本屋が見つからなかったため、住むにはまだ問題があると言っておこう。それから旅行中に信州人の特徴に関する本を買ったのだが、信州人はとても性格が悪く、松本と長野の憎しみあいは根深いものがあるらしい。私が接した人は良い人ばかりに感じたが、実はそうではないのだろうか…。「ざざ虫」と共に課題が残された。

松本紀行 3日目夜

2006年09月05日 21時42分56秒 | 旅日記
松本の日中は30度に達そうかと言う気温だが、最低気温は20度を切るくらいまで下がる。また湿度が少ないため北海道的な涼しさである。ということで、今日は「馬すき焼き」を食べに市内の大通りに面した郷土料理「Y」へ。



ビールと馬すき焼き、馬タタキ(本当に馬ばっかりだなあ)を注文。



【馬タタキ、大葉たっぷり】


すき焼きには桜肉とエノキ、ネギが入り、卵を付けて食べる。馬タタキは鯵などのたたきと同様で、大葉の香が良く効いている。甘く温かい鍋物が今日の気候にはぴったり。飲み物も松本の地酒「鏡花水月」に切り替える。読んでいて分るように、私は旅行中にはかなり地酒中心で攻めるタイプである。長野の酒はいずれも程よくフレッシュな感じで、爽やかな飲みやすい特徴があるようだ。

そうそう、信州3大昆虫食といえば最後の刺客が「ざざ虫」である。これはある特定の昆虫ではなく、水生で食用になるトビケラ・カワゲラ・ヘビトンボの仲間の幼虫の総称である。ぜひこの第3の刺客も倒さなければならないのだが、昨日、上伊那資料館でヘビトンボの幼虫を見てしまったところ、長さ5センチくらいの羽のないトンボとミミズの合体したようなものだったのである。できればお会いしたくないものだと思っていたところ、幸いこの店のメニューには「ざざ虫」がない。「今日はこの位にしておいたるわ」とつぶやく私であった。

ざっくばらんで気取らない店で鍋をやって、次はバー「B」。こちらも「F」のFさんの紹介である。店内に入ると、この店のカウンターも巨大な1枚板で素晴らしいものがある。聞くと、ビル工事の際にあわせて搬入したそうである。とてもビルが完成してからでは入らないわけだ。



1杯目はヘンリーマッケンナを使ったミントジュレップ。ミントをあまりつぶさずあっさり作ったように見えたが、香は非常に良い。2杯目はクルヴォアジェを使ったサイドカー。グラスにも凝っているらしく、非常に薄く切れ味の良いグラスにシャープな味のサイドカーがぴったりだ。最後に「苦いリキュールを使ったカクテルを」と注文したところ、ピンクジンが登場した。昨日のドクターMも酒好きの人向けのカクテルだが、こちらもまた酒好きにしか出せないような味だ。最後にカクテルを作ってくれた人が、Fさんのご紹介の人とにらみ、名前を伺ったところ当たりであった。もう少し早くお声がけすればよかったな。本日はこれまで。

松本紀行 3日目午後

2006年09月05日 16時37分25秒 | 旅日記
松本駅から松本電鉄上高地線というローカル電車に乗り、大庭という駅で降りる。

【松本電鉄の電車】


【驚愕の大庭駅。もちろん無人】


私以外に2人しか降りない所、さらに15分歩いて「日本浮世絵博物館」へ。

【ぽつんと立つ浮世絵美術館】


調査もせずにやってきたが「日本紋様史大成展」という国貞の作品を中心にした展覧会をやっていた。主に、着物の模様にどんなものがあるのか解説しているのだが、時に「渦巻き紋様は自然を表し、エジプト、ギリシャ、シルクロードと伝承、シュメールでは…」と若干トンデモ調の解説にも思えた。

いずれにせよ、オーナーの厚い情熱なくしては維持できない個人博物館である。他には5人ほど外国人の観覧者が来ていた。見終わって大庭駅に帰る途中、ジュースを買っていると、通りがかりの子供が「ちょうだい!」と突然声をかけてきた。反射的に「ヤダ!」と子供のように言い返してしまったが、今どき人懐っこい素朴な子供がいるもんである。

松本に戻り、しばし仮眠。

松本紀行 3日目午前

2006年09月05日 13時32分49秒 | 旅日記
携帯電話を掛けられない夢を見て目が覚める。キーに書いてある文字が象形文字のようになっていて、「まず、最初に人が万歳しているマークを押して…」とか周りの人に教えられるのだが、複雑で憶えきれないのだ。

本日は「ホテルB」でバイキングの朝食。洋風の品を中心に食べる。サラダのドレッシングが特に美味しい。

午前中はまず松本市立美術館へ。上條信山と言う人の書展をやっているのだが、あまり興味がないので常設展だけ見ることにした。まず美術館の前にも巨大な作品が展示されている「草間彌生-魂のおきどころ」という展示へ。

【市立美術館の前はすごいありさま】




このおばちゃん、あまり好きではないのだが、作品には力のあるものも多い。暗い部屋に蛍光塗料の塗られた丸いシールを転々とはり、ブラックライトで不思議に光る空間を見せる作品や、鏡張りの部屋の中央に6角形の物体があり、その中も鏡張りになっており、カラーの電飾が光っているものなどは、視覚的にもインパクトはある。ところで、私は鏡張りの部屋に入ると「燃えよドラゴン」ごっこがちょっとだけしたくなる。



後は高原・山岳をメインテーマにした田村一男の展示と、池上百竹亭コレクション。ちょっと見るものが寂しかったが、「常設の展示部分を特別展に振り替えているので」ということで、入場料は通常の半額200円であった。安い。

次に、風情のある街中を散策しつつ「はかり資料館」へ。



もちろん、色々なはかりが展示されているのだが、なぜはかりが沢山あるかというと昔の養蚕の計量に使ったものらしい。他に観覧客がいないため、館長らしきオジサンが「蚕はオスとメスで微妙に重さが違うため、雌雄選別用のはかりが作られた」とか「繭には黄色、緑、肌色のもあるが、日本の白色のものが最高品質だ」とか「当時は大産業だったので、生糸の仕事をしている人は、スーツを着たりお洒落な人が多かった」と写真を見せてくれたりした。すっかりはかり資料館というより養蚕資料館という感じであったが、なかなか勉強になったなあと思いつつ、松本駅前の洋食「D」へ。

昭和29年開店の市内屈指の有名店である。若干、店内の席で待ち、ハンバーグカレーを注文。



カレーはトマトの酸味があるが、全体的には昔懐かしの味。ハンバーグは大ぶりであつあつ、付け合せのナポリタンも嬉しい、大ボリュームの品である。この店、ボリュームの多さは一つの売り物で、どちらかと言うと若い客が多い。松本市の学生は、初デートは「D」というのが憧れの一つかもしれない。

松本紀行 2日目夜

2006年09月04日 21時24分39秒 | 旅日記
昼のローメンの影響が残っており、今日はまずバーから。松本随一との噂もある「M」へ。



今日も暑かったので、最初の1杯はジンフィズ。マスターH氏のカクテル作りはさすがの手さばきで、氷・水を贅沢に使い、実に爽快な感じに仕上がった。2杯目は「あまりドライでなく」とマティーニを注文。「私の所ではそれほどドライではありませんので、ぜひお試し下さい」と自身ありげに出されたそれはバランスのとれた良い味だ。

実はこの店、銀座の「F」のFさんに紹介されてきたのだが、そのことを話すとマスターも破顔一笑。「18年来の友人です」とのことであった。最後に「苦いリキュールを使ったカクテルを」と注文すると、ウンダーベルク・ピコン・チナール・イエーガーマイスターと4種の薬草リキュールを使ったカクテルが登場した。薬草味がしみ渡り、胃が休まる感じだ(本当か?)。

お通しにスモークサーモン、パテ・ド・カンパーニュ、自家製レーズンバター。それに加えて巨峰をサービスしてもらった。店のカウンターの重厚さ、雰囲気、マスターのお人柄、テクニックと文句の言いようのない名店であった。

やっと胃腸が落ち着いてきて、2軒目は馬肉・郷土料理の店「SM」へ。



ここでも最初の注文はさくら刺し(馬刺し)である。この店では、霜降り・赤身の他に、大動脈ポン酢あえ、たてがみ生姜味噌、馬レバーごま油、心臓がやってきた。大動脈はボイルイカにも似た歯ごたえで、味はポン酢が勝つ感じ。たてがみとは馬のたてがみの下にある脂だが、全く脂くささはなく、とろける触感である。



続いて馬舌煮込み、馬にぎりと馬三昧(やりすぎ?)。





舌は先のほうということで、味付けはあっさりだが、かなりしっかりした歯ごたえ。にぎりは食べやすくスルスルと入る。飲み物は松本の地酒「アルプス正宗」燗をやりながら、信濃珍味盛り合わせも追加。これには塩丸イカ、馬しぐれ煮、わさび漬け、蜂の子、いなごが盛り込まれている。

【左からいなご、塩丸イカ、馬しぐれ煮、わさび漬け、蜂の子】


信州は海なし県であるから、今はともかく昔は海産物がなかなか入ってこなかった(そのため淡水魚や水生昆虫の幼虫を食べるのである)。昔から入ってくる加工海産物の代表選手が塩イカで、文字通りイカに塩をして保存できるようにしたものである。普通に塩味のボイルイカだが、そういう昔からの歴史を知らなければ、「何コレ!?」と言わざるを得ないような平凡な味だ。

それから既に“いなご”を制した私の次の相手が“蜂の子”である。結構姿かたちが不気味なんだろうなと思っていたが、かなり小さい米粒大のものなので、米・麹の類と思えば全然いやな感じはしない。味もまずくない。

信州第2の刺客「蜂の子」を倒した私は、ホテルへ戻った。

松本紀行 2日目午後

2006年09月04日 15時50分32秒 | 旅日記
しばし、伊那市街を散策(訳あり)。「上伊那郷土館」へ行く。



入館名簿を見ると私は3日振りの観覧者であるらしく、親切な館の人が付きっ切りで案内してくれた。まず見ものは水生昆虫・淡水魚などの標本。それから縄文紀以前の「御子柴遺跡」という旧石器時代の発掘物である。この遺跡ほど美しく完成された石器は他に無いらしく、現在重要文化財で、館の人も「旧石器時代のもので初の国宝になるとしたら、これだと言われています」と自慢気であった。しかし、遺跡跡はあっさり水田になってしまったらしい。いいのか!

【天竜川の大なまず】


【縄文式土器】


さて、2時に近くなり、駅前の食堂「N」へ。おそらく2度と来ることが無いであろう伊那市、何としてもローメンを2食食べたいのである。ちょっと暗い店内で、他に客がいないので「シマッタ」と思いつつ、ローメンを注文。ここの店はスープ少な目のヤキソバスタイル、肉は豚肉である(元祖の店はマトンだが、豚肉の店もあるそうだ)。



2食目なので絶対食べきれないと思ったが、意外にするすると入る。さっぱりさせるために酢が欲しかったのだが、この店では七味を混ぜてみてとのこと。ローメンにはスープありスタイルとヤキソバスタイルの2種があるとは聞いていたが、どちらも試すことができたので、満足。

近所のスーパーを見るとローメンが販売されているのだが、胸(腹?)いっぱいで購入できなかった。夕方、約1時間半かけて松本に戻る。

松本紀行 2日目午前

2006年09月04日 11時44分22秒 | 旅日記
松本のクラシックなホテル「K」で、和朝食。



昨日の居酒屋の通しでも出たのだが、ゴボウの煮たものが美味しい(調べてみたが、特に名産でもないようだが…)。ちょっと後の行程を考えて今日の朝食は控えめ。8時38分松本発の電車で伊那市に向かうことにした。

松本に行くことに決めてから、割と近くに伊那市があることに気がついたのだが、伊那市とくれば私の中には「ローメン」という言葉が合言葉のように浮かんできた(知らない人は検索してみて欲しい)。そのローメンを食べる小旅行をオプションとして追加計画したのである。

伊那市までは、ローカル線で約2時間近くかかる(馬鹿みたいだが、贅沢な旅だ)。最初の電車は終点が甲府だし、乗り換えた電車は豊橋市である。あっちこっち行けるんだなと感慨にひたりつつ(北海道から他県には簡単に行けないから)、伊那市駅下車。ちなみに電車のドアは手で開けなければならず、相当腰を入れないと開かないほど重い。

11時の開店と共に、50年前にローメンが生まれた店「B」へ。



私と同時に同じような風体の男2名も店に突入(皆、写真を撮ったりしており非常に恥ずかしい)。早速、店のおばちゃんにローメンを注文した。ローメンにはドジョウローメンや冷やしローメンといった変わりメニューもあるのだが、まずは普通のやつだろう。

【メニュー】


【食べ方】


野菜の香ばしい香がしていたかと思うと、こんもり盛られたローメンが到着した。お店お勧めの食べ方にそってソースと酢を一回しかけて食べる。味は「極太のホンコンやきそばに、昨日残ったジンギスカンとキャベツを入れて作ろうとしたら、水を多く入れすぎたのでやむを得ずソースを入れて味を調整した」ような感じだ(この表現、北海道の人なら分かるかな)。麺の歯ごたえが微妙な感じだが、だからと言ってまずいわけではない。キャベツはシャキシャキ、マトンの風味もこれを好きな人にはたまらない。最後に残ったスープには野菜と肉のエキスが出ているせいか、絶妙なB級風味がするのだ。



途中で酢をさらにかけてみたが、酸っぱくなるのではなく味が良い感じにマイルドになる。ニンニクをちょっとだけ混ぜてみるのも効果大だ。おばちゃんに美味しかった旨を伝えると、「どこから来たの」と聞かれ、「札幌から」というといたく感心された。

松本紀行 1日目夜

2006年09月03日 21時03分39秒 | 旅日記
到着したのが遅かったため、市立博物館の見学も時間切れ。残念ではあるが、本来の目的に切り替えよう。松本と言われて私が最初に思い浮かぶのは「馬」である(変か?)。それも「馬刺し」等の食べる馬だ。信州以外にも熊本・福島・青森などの馬肉を食べる地域はあるが、今回は松本を訪れてみたくなったのだ(熊本、青森は行ったことがある)。

松本駅前方面に行き、季節料理の店「B」へ。



暑い中行動していたのでまずビール。アサヒのスーパードライしかないようなので、ハーフ&ハーフにした。それから馬刺し3種盛り。馬の部位を選べるもので、霜降り・ひれ・ふたえご(バラ)を注文。早速登場した馬刺しは赤身と脂身の色のコントラストがきれい。もちろん生肉だろう、ちょっと甘めの醤油にニンニク・生姜・ネギの薬味とあわせると実に旨い。

【絶品の馬刺し。左からひれ・ふたえご・霜降りかな?】


続いて、あゆ塩焼き、馬ねぎま、あん肝豆腐を追加する。あゆは天竜川の名物(養殖だと思うが)、馬ねぎまは赤身の部分と脂の入った部分があり、特に後者はかむとジンワリ味がにじんでくる。

【馬ねぎま】


あん肝豆腐はあん肝だけでは味が少々くどく感じられる向きには、和らいだ風味と滑らかな感触を楽しめるので良いだろう。

フレッシュで旨い松本の地酒「善哉」原酒、甘酒のような風味の大雪渓にごり(これも長野)を飲むうちに、私の気持ちはふっと緩んできた。それまではあえて頼む必要も無いと思っていた“例の奴”を注文してもよい気持ちになってきたのだ。“例の奴”とは…、そう、長野にはこの地方特有の食生活が根強く残っており、その一つが「いなごの佃煮」である。私はほとんど好き嫌いがなくなったとは言え、「虫は苦手だなあ」と思っていたのだが、ここまで来て食べないわけには行かない。

【写真用に取り分けたいなご(写真ボケた)。もっと大量に食べた】


注文すると、大きなプラケースからこんもりと“いなご”を盛ってくれているようだ。到着してしげしげと眺める。うーん、頭も足も羽もついてるな…。しかし食べてみると甘辛い佃煮味なので、小魚の佃煮と違いはない。なーんだ、これなら全く大丈夫というか、むしろ美味しいと思え、信州第1の刺客「いなご」をばくばくと食べてしまった。

最近は旅の初日に勢いがつきすぎて撃沈するケースが多いので、ホテルに戻る。途中、これまた長野の地酒「七笑」を購入。結局、結構酔っ払う。