

久しぶりに芸術の森美術館にやってきた。まずは國松明日香展を見る。実を言うと、最近の國松作品(鉄の円盤と棒を組み合わせたようなやつ)はあまり面白くないと思っていた私である。しかし、展覧会場で連続して作品を見ることで大きく気持ちは変わった。
まず最初の方はスチール版で翼などを表現した作品群。どうしても一般的に人はスチールを見た瞬間に「重そう」と思うわけで、イメージを実現するのは非常に難しいのだろうと思う。
解説に「正面観照性の度合いが強い」と書いてあったが、必ず正面以外からも見るべきだ。作品それぞれが横から見たときにも面白いカーブが見て取れるように工夫がされている。「雪だるまをつくる人」のように抽象の中にも具象的な形(雪だるま)が分かる作品もある。
続いて”風”がテーマ。全て鉄線で作るよりは、平面と線が混じった作品の方がリズム感があって”風”の雰囲気が出るような気がする。平面部が船の帆を思わせるところがあるためかもしれない。
さて問題の最近作品。展示会場に沿って歩くうちに、私は雨・水・音の感じられる洞窟を旅するように、國松ワールドに引き込まれていった。
一番大きな「水脈を聴く」は円盤がシンバルを思わせるため音が聞こえてくるようでもあり、洞窟の奥で水が渦を巻いているようでもある。そこから振り返ると、流れる水を思わせる「水の径」、小さな渦のような「水面の風#11」が見え、洞窟をでると、石畳を水が流れるような「逆巻く水」にたどり着く。
さらにパラパラと降る冷たい雨のような「秋霜」、天上にかかる「北斗七星」が見える。最後の通路にある「THE MILKY WAY」の複雑な脚を見て、余韻を感じつつ展示が終了した。
見ながら感じたことを書いてみたが、すっかり作者の思い通りにコントロールされていることが分かるだろう。なかなか以上に面白い展覧会であった。それから小ホールの國松登展も忘れずに見よう。

さて、いそいで工芸館「日本のクラフト展」を見る。岡本泰男「EXPLOSION」は反応染料を使った作品との説明がある。恐らくベースの色彩に何かの薬品を流すことで、自然に変色させた染色作品なのだろう。チョコレートのようなあさくらやよいの「ペーパーウェイト」も可愛い感じだ。
そして一度行かねばなるまいと思っていた佐藤忠良記念子どもアトリエへ。


何しろ野外美術館の中にあるため結構歩く。野外美術館の閉館中は入館料100円であるから、あまり大層な展示を期待してはいけないだろう。展示作品は十数点だったかな? 子ども(本人の子どもがモデルの作品が多い)の顔や全身像の彫刻と、デッサン画があり、珍しいところでは「おおきなかぶ」のレリーフがあった。童話「おおきなかぶ」の絵本が佐藤忠良画なのである。
帰り道は取り急ぎ野外美術館の一部を見る。予想以上に人がいるし、久々に見た彫刻作品は結構新鮮だ。そのうちに(来年になってしまうが)、あらためてちゃんと見たいと思う。
佐藤忠良作品で締めてみた。
↓



忠良さんの「おおきなかぶ」のレリーフ 見てみたいです。
仙台では県立子供病院にあるのですが、場所柄見に行くのがはばかられるので、芸術の森に行ったら立ち寄りたいです。
返事が遅くなりすみません。
「おおきなかぶ」に関係していることを知らなかったので、ちょっと驚きました。
仙台では病院にあるのですね。
芸森では見やすい所にあるので、ぜひご覧下さい。
その他の彫刻展示は数が少ないので、あまり期待されない方が良いと思います。