hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

青山七恵『わたしの彼氏』を読む

2011年07月11日 | 読書2
青山七恵著『わたしの彼氏』2011年3月講談社発行、を読んだ。

大学2年の美男子、鮎太朗は美しい3人の姉にかわいがられ、いじられて育った。天真らんまんで明るい鮎太朗は、女性にももてるのだが、なぜだか女性たちに振り回され長続きしない。ただただやさしいく、自分のすべてを惜しみなく与えてしまおうとするのに、包丁で刺されたり、貢がされたりする。ひたすら彼を愛する可憐な同級生テンテンに対してはどうしてもその気になれない。恋は理不尽。恋は不条理。

同じ大学の美しいリリーにふられたばかりで、一番上の姉の自伝の口述筆記をしている公民館勤めの地味なコドリさんを好きになる。彼女とは互いに身体を痛めつけあう激しい恋愛となる。
スポーツジムのインストラクターをしている3番目の姉から紹介された幸薄い女子高生サッちゃんは、自分を頼ってくるのでついつい望まれる品物を、アルバイトを掛け持ちしてまでプレゼントする。

初出:「群像」2010年1月号-12月号



青山七恵は、1983年、埼玉県生まれ。
筑波大学図書館情報専門学群卒業。
2005年、在学中に書いた「窓の灯」で文藝賞、
2007年「ひとり日和」で芥川賞受賞。
2009年、「かけら」で川端康成文学賞を最年少で受賞。
その他、2008年「やさしいため息」、2009年「「魔法使いクラブ」」。




私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

次の展開の予想がつかず、周りに振り回されっぱなしの鮎太朗の様子が、じれったくも、羨ましくも、微笑ましい。また、登場する女性たちも個性豊かな人が多く、楽しく読める。しかし、才能ある青山七恵さんがこんな作家ならだれでも書けそうな小説を書いていて良いのだろうか。私自身も残り人生でどれだけ本が読めるかと考えると、面白いが読み終わると何も残らないこのような本を読んでいて良いのだろうかと考えてしまう。まあ、たまには良いか。たまに、たまになら良いか!



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